[mindfulness最前線no.6]-企業マインドフルネスの先駆者Aetna
全米企業の全てがマインドフルネスを行うまでそう時間はかからないでしょう。
この種を蒔いた企業Aetnaを今回はお伝えしていきます。
Aetna(エトナ)とは
Aetna(エトナ)は、1853年に設立された170年の歴史がある全米第三位の医療保険会社です。2018年時点では総従業員約50,000人の大企業です。今ではAetnaの代名詞は"企業マインドフルネスの先駆者"です。
マインドフルネスのスタートはCEO
Aetnaを企業マインドフルネスの先駆者にしたのは、2010年よりCEOに就任したマーク・ベルトリー二氏です。きっかけは、スキー事故。2004年、スキー中に頸椎5箇所を骨折し、左腕の神経を断裂してしまいます。手術を重ねますが、以前のように一日集中して仕事をすることはできず、そこでヨガやマインドフルネスを代替療法として取り入れ、結果、仕事への復帰を果たします。この経験から、社の従業員はもちろん、顧客にも良い効果をもたらすのではとCEO自らプランを練り始めます。
プログラム
まず、経営陣とのMTGで簡単な瞑想を行うところからのスタートでした。2010年に全従業員を対象に無料のヨガと瞑想のプログラムの提供が始まります。CEO自ら従業員全員がヨガと瞑想を行えるようあらゆるツールを準備します。2015年までに、全従業員の約1/4に当たる13,000人以上の従業員がヨガもしくは瞑想のどちらかのクラスを体験しています。ただ受講の機会を与えるだけなのではなく、きちんと効果測定も行っています。
取り組みの結果:従業員
この社内マインドフルネスの取り組みの結果は:
- 平均してストレスレベルが28%減少
- 20%の睡眠の質の改善
- 19%の痛みの軽減
従業員の心身の健康だけではなく
- 従業員1人あたり月間4時間の生産性の向上
- 従業員1人あたり年間3,000ドルの医療費節約
と、仕事にも良い効果がもたらされることが報告されています。
ビジネスへと広がる社内マインドフルネス
このリサーチ結果を受け、Aetnaは顧客にも同様のマインドフルネスプログラムを提供し始めます。ここでも、参加者は自覚的ストレスレベルとさまざまな心拍数測定において有意な改善を示し、身体がストレスに上手く対処できるようになったことが実証されました。 加えて、このマインドフルネスプログラムは対面式でもオンランでもどちらで受講しようとも改善は実現されることが発見されています。
プログラムの結果:企業利益
社内マインドフルネスが企業自体にもたらした利益は:
2010年 マインドフルネスプログラム開始
2015年 株価が3倍に上昇
年間売上高 約580億ドル
顧客数2350万人越えに成長
2016年 年商1775億2600万ドル(約17兆7526億円) 前年比15.8%増
純利益は1.5%増の53億1700万ドル
2018年 全米大手ドラッグストアチェーンと合併(ほぼ買収)により
全米ヘルスケア部門で最大手に
まとめ
CEO自らの経験が、企業内でのマインドフルネス取り組みへの熱い思いへとなり、結果、従業員の心身の健康が守られ、パフォーマンスは向上し、歴史ある大企業がさらに大きく飛躍した。また、マインドフルネスの持つ力を世界に立証してくれた企業ともいえます。Aetnaの従業員は、自分で自分の管理ができている、その結果企業も更なる成長を遂げている。その背景にある一つは、確実にマインドフルネスプログラム。
You Are Your Own Manager !
References:
https://www.aetna.com/about-us.html
"The 8 Types of Mindfulness Companies"
Mindful text 2023/02/11
"At Aetna, a C.E.O.'s Management by Mantra"
David Gelles 2015/02/27