見出し画像

🎁#59 the monogatary | 僕の弱さ

※前回はこちら▼

【プロローグ】

この日々はいつまで続くのか。

アーニャ

【第1章】

<1-1>

あれからどれだけの年月が過ぎたのだろう。私は1人前の大人になれたのだろうか。盗んでは売る。その繰り返し。この富は一体何なのだろうか。分からない。何もかも。何が善で。何が悪なのか。あぁ。どうして私はこんなにも。中途半端なのだろうか…。

<1-2>

母親はいない。私を産む際に亡くなった。父親は知らない。物心ついたとき。私は孤児院にいた。同じ境遇を持った子供たち。そこでの日々は競争だった。たまに現れるお客さん相手に対して。媚びを売る。その結果。引き取られるもの。残されるもの。あぁ。世界はなんて。残酷なのだろう…。

★★★

『進撃の巨人』。完結済みの作品である。本作の主人公はエレン・イェーガー。彼の穏やかな日々。それは鎧の巨人と超大型巨人の襲来によって。突然として木端微塵に破壊される。そして母親は彼の目前で。巨人に喰われてしまう。

この世の何もかもを恨むエレン。そんな彼はミカサと共に立ち上がる。巨人を駆逐するために。ミカサもまた。エレンに窮地を救われた1人。ゆえに。彼女は彼の為に。尽くすのである。

<1-3>

どうやら世間では『スパイ・ファミリー』が流行しているらしい。彼らは皆。自身の素性を隠している。アーニャ。彼女にまつわる謎は多い。孤児院で暮らすアーニャ。彼女は人の思考を読むことが出来る。しかしながら。その能力を他者に隠している。

アーニャは精神科医(本職はスパイ)のロイド・フォージャーに拾われる。彼女をイーデン校に入学させる為。ロイドは公務員(本職は殺し屋)のヨルと疑似結婚を行う。そうして。3人の物語は始まるのである。

★★★

私の境遇はアーニャと似ている。彼女は劇中において。人生を謳歌している。勉学に励む日々。それは辛いことなのかもしれない。しかしながら。彼女にはその頑張りを支える仲間がいる。アドラー曰く。人の悩みの大半は人間関係。それでも。幸せの種もまた人間関係にある。ヨル氏とロイド氏がいる限り。彼女の人生はきっと幸福なのだろう。

それに対して。私はどうだろう。アーニャが笑うように。私も笑って良いのだろうか。否。私は笑うことを禁じられている。お代わりを要求すれば。当然のように非難され。きっと私はまた孤児院を追い出されるのであろう。パンの耳。それこそが私にとっての支えである。毎朝。この食事の為に。私は労働するのである。