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#55 the monogatary | Sun(5)

※前回のお話はこちら▼

【第五章】

旅は続く。我が生きている限り。

大学

★★★

<5-1>

さて…。これからどうしようか…。

ドラキュラとして生きる日々。多くの挫折を経験してきた。それでも。我は立ち上がることが出来た。そのような意味では。きっと我は恵まれているのだろう。

あぁ…。まもなく夜が明ける。夜が明ければ。人類の活動が始まる。ゆえに。我は偽装する。ドラキュラは睡眠を必要としない生命である。ゆえに。24時間。この時間をフルに活用することが出来る。我はスキルを持たない。しかしながら。我の唯一の取柄。それがこの変身技術である。

大学生として生きる日々。それも案外悪くない。思えば。この国の受験戦争は苛烈である。それでも。勉学こそが。我を繋ぐ唯一の光。ゆえに。我は没頭した。ドラキュラとして身銭を稼ぎつつ。そのお金を受験資金として運用する。それが我の日課である。

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「ピンチョン。時には息抜きも大切ですよ。」

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師匠の言葉が蘇る。息抜き。ドラキュラにとって。これほど難しい課題は存在しない。人類にとっては簡単な事だとしても。我にとっては難しかったりする。息抜きをするために。我は文献を漁った。しかしながら。中々有効な資料が見つからない。悩む日々。それでも。希望はあるのだと。もがく日々。そんな毎日が愛おしい…。

物事には終着点が存在する。永遠など。この世には存在しない。ゆえに。「今を全力で楽しむ」。この思考こそが。幸せへの近道である。今を蔑ろにしてはいけない。なぜなら。この瞬間の積み重ねが未来を形作るのだから。

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「健康を疎かにしてはいけません。衣食住。基礎が固まっているからこそ。私たちは物事を応用することが出来るのです。」

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師匠の言葉はいつだって我を救ってくれる。師匠はもうこの世にはいない。それでも。天国で再会する際に。土産話をたくさん話すことが出来るように。我は今日も謳歌する。多くの時間を要するかもしれない。それでも。上を向いて歩むことが出来るのなら。きっといつの日か…。

<5-2>

大学とは。学びの宝庫である。モラトリアム。ある者はその期間をこのように評する。社会人として。社会に貢献するために大切なこと。その1つが学生時代の過ごし方である。もちろん。勉学に励むことも大事である。ドラキュラであれば。己のスキルを磨くこと。それは至上命題である。しかしながら。我はスキルを持たない。ゆえに。我はスキル以外の武器を身に付ける必要がある。我は生きて良いのだと。証明するために…。