アサルトリリィ Last Bullet(ラスバレ)の各種規約にはNew Relicの分析コードが挿入されることがある
前回の記事を書くために『アサルトリリィ Last Bullet』(ラスバレ)の各種規約などのAPIの検証を続けている中で、おかしな挙動を発見した。同じAPIに対して同じリクエストを行っているのに、数回に1回程度の割合でレスポンスの内容が変わるのだ。
これがその時の「資金決済法/特定商取引法に基づく表示」のHTMLソースである。
HTMLソースを比較してみると、ヘッダーに
<script type="text/javascript">
(window.NREUM || (NREUM = {})).loader_config = {
licenseKey: "82536f49ca",
applicationID: "1322554305"
};
window.NREUM || (NREUM = {}), __nr_require = function(t, e, n) {
...(以下略)
から始まるJavaScriptコードが、そしてフッターに
<script type="text/javascript">
window.NREUM || (NREUM = {});
NREUM.info = {
"beacon": "bam.nr-data.net",
"licenseKey": "82536f49ca",
"applicationID": "1322554305",
"transactionName": "blFTMUJRCxZYAhdcC1cbchBDRAoIFhYGV0tVUVYEXHQKBkwMBlsQFlNUEWJZAg1NLwxBBU1dXgs=",
"queueTime": 0,
"applicationTime": 15,
"atts": "QhZQRwpLGBg=",
"errorBeacon": "bam.nr-data.net",
"agent": ""
}
</script>
といったJavaScriptコードが追加されている。一部の特徴的な文字列を抜き出して検索してみると、ラスバレとはまったく関係のない他のWebアプリでも同様の事象が報告されていた。
どうやらこれはパフォーマンス分析プラットフォーム「New Relic」が自動挿入するBrowserモニタリングのパフォーマンス分析コードのようだ。
実際にWindowsでラスバレのDMM GAMES版の通信をキャプチャしてみたところ、確かに”bam.nr-data.net”というNew Relicの所有するドメインへ少量のデータを送信していることが確認できた。
このキャプチャではページの表示速度に関するFirst Paint (FP)やFirst Contentful Paint (FCP)が報告されていると推測できる。当然、利用者の端末型番やOSバージョンを含むブラウザUserAgentやIPアドレスも併せて収集されることになる。New Relicの解説によれば、UserAgentやIPアドレスは訪問者の地理的分類に利用されるようだ。
しかし、ラスバレを運営するポケラボがどういったデータをNew Relicに転送するのかについて利用者に開示されている情報はない。ラスバレDMM GAMES版のプライバシーポリシーでは
と「Google Analytics」については説明されているものの、New RelicのBrowserモニタリングについては触れられておらず、意図的に記載していないのか、記載忘れなのか、あるいは分析コードが挿入されていることを認知していない可能性も考えられる。
Windows用のDMM GAMES版を例に挙げて説明したが、分析コードが偶に挿入されるにもかかわらずプライバシーポリシーに記載がないのはiOS/Android版でも同様である。
この件についてはポケラボ側に問い合わせ中のため、続報があれば追記する。
問い合わせと回答(9月13日追記)
9月7日午後に以下のような内容で問い合わせを行った。
9月10日午前にポケラボから以下のような回答が届いた。
Facebookについては別記事にまとめているが、いずれについても残念ながら問題を理解してもらうことができなかった。
New RelicのBrowserモニタリングは、その名の通りブラウザのパフォーマンス情報を収集するものであり、サーバの負荷情報を取得しているというのは明らかに虚偽の回答だ。サーバの負荷情報を取得するならvmstatコマンド等を使えばいいだけの話である。
現在のWEBページはAjaxをはじめとしたフロントエンド技術の発達により様々な処理の主体がサーバサイドからクライアントサイドに移っている。ブラウザ上のJavaScriptでエラーが発生してもサーバ側ではそれを知ることが出来ないため、Browserモニタリングのような分析ツールが重宝されるわけである。
また、個人情報は取得していないという言い訳も苦しいものがある。確かに日本の個人情報保護法の下ではIPアドレスやUserAgentに含まれる利用機種名/OS情報はそれ単体で明確に個人情報だと定義されているわけではない。しかし、個人情報に該当しないとも限らない(例えば利用機種名に免許証番号が含まれていたらどうする?)。ラスバレのプライバシーポリシーでは「2. 個人情報の取得、利用目的」の中で
と「IPアドレス」「利用機種名/OS情報」に言及しており、ポケラボ側もこれらが個人情報に該当する可能性のあるものとして認識していることが伺える。
また、各プラットフォームのアプリストア規約においては、日本法で定める個人情報に限定せず、
と、デバイス情報も含めて処理方法を明らかにするよう求めていたり、
と、データが匿名であったとしても利用者の同意を得ることを求めている。
ポケラボには速やかに正しい説明と是正を求めたい。