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バターナッツかぼちゃ

秋刀魚やきのこ、さつまいもに栗、かぼちゃもいい。それぞれが主役を争ってにぎやかな日本の秋の食卓。秋の味覚は、なんだか特別感がある。

アメリカの秋の味覚はなんだろう。思いつくのは、ターキーと付け合せのクランベリーソース、パンプキンパイ、アップルサイダー。そうだ、忘れてはいけない、パンプキンスパイス。アメリカで秋のはじまりを教えてくれるのは、間違いなくこれ。秋がはじまると、ラテやドーナツ、キャンドルの香りまで、そこいら中がパンプキンスパイスになる。このスパイスの正体は、シナモン、ナツメグ、クローブ、ジンジャーなどの香辛料を合わせたもの。かぼちゃの味を引き立てるために使われたからこの名前がついたらしい。私はてっきり、かぼちゃの味がするスパイスだと思っていた。随分ややこしい名前をしている。

おいしそうな話題で盛り上がる中、アメリカ人の友人が教えてくれた秋の味覚は、バターナッツかぼちゃのオーブン焼き。かぼちゃといっても、緑の分厚い皮をまとった両手からあふれる大きさのあの子とは違い、片手サイズのひょうたんみたいな形ですべすべの肌触りをしたバターナッツかぼちゃ(butternut squash)。外はトレンチコートみたいなベージュで、中は鮮やかなオレンジ色。

まずはオーブンをあたためて、バターナッツかぼちゃを半分こに。種とわたを取り除いたら、塩コショウをして、バターとシナモン、メープルシロップをかけてオーブンで20分焼く。シナモンの甘い香りがすでに幸せ。自然に甘いであろうかぼちゃにさらにメープルシロップで甘味を足すところがアメリカ風味抜群。

香ばしく全部がやわらかくなったバターナッツかぼちゃは皮までおいしい。バターの塩気は甘味を引き立ててくれて、口の中が甘くてとろける。この料理は、とにかくやわらかくて甘い。そして間違いなく秋の味。パンプキンスパイスとともに、きっと来年も思い出す。

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