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トイレットペーパーを補充しない男たち ①

大阪城ホールのアリーナエリアの真ん中には大きな海賊船。それを360度囲む観客席の通路から登場したのは、シンガーソングライター松任谷由実だ。アリーナ席に座る観客たちが一斉に立ち上がり、手をふる、拍手喝采! 歓声を浴びながら、海賊船に軽やかに乗り込んでいく。

デビュー50周年を祝う全国アリーナツアー『50th Anniversary 松任谷由実コンサートツアー The Journey』に行ったときの様子をここに記しておこう。わたしにとっては初見なのだから。
 
新米の船乗りの日記をもとに構成された舞台ステージ。80年〜90年代に流行した名曲の数々が繰り広げられる。「船長はもちろん、ワタシ〜!」と茶目っ気たっぷりみせる一面も、あ〜ユーミンらしいな。はじめてみるけど、もう知っている気分なのである。ユーミンのなにを知っているのか。なんもわからないし、ユーミンをずっと追いかけてきたわけではない。でも“彼女らしさ”がなぜかわかる。メジャー級とは、そう思わせてくれる存在なのかもしれないな。
 
海賊に扮したダンサーたち、何色も重なるレーザー光線、宙に浮かぶイルカ、火をふくドラゴン…あ〜豪華すぎるぞ。とくに驚いたのが、ペンライトの進化版「フリクラ」(無線制御式LEDライト)。腕に装着してスイッチをON。すると赤や青など、音楽にあわせて光の演出を自動的に光が放つ。ふだん、小規模のライヴにしか行かないわたしにとって、手首に巻いたフリクラが演出の一部になるなんて感動もの。スタンド席の、天井に近いところまでお客さんがいるからブルーに光り輝く会場は、そう、「海」を表現したかったんでしょうよ。
 
アンコールでは、フルネームでスラスラ〜とバンドメンバーを伝えていくユーミン。わたしならば5人目の名前で詰まるよね。ごめんよ〜ってきっと笑ってごまかす。だからやっぱユーミンは凄い。最後までメンバーの名前を言い切ったことに拍手。ファンのみならず、スタッフにも支持されている理由、お人柄が見えた。
 
「私はいつまでも新米の船乗りでありたい」。
50周年を記念するコンサートを締めくくるユーミンの言葉に励まされる。いつまでも好奇心を追い求める印象。パワフルだ。
 
「旅をする心のまま」「ゲームオーバーにはさせない」「目にうつるすべてのことはメッセージ」。歌詞のフレーズに励まされるんだな、ユーミンの歌って。よし、明日も頑張ろうって、ユーミンのコンサートを体感して素直に思えた。

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