ヌメ氏の事例に学ぶ「匿名」意見の取り扱い論

はじめに

この文章は以下のnote記事とそれにまつわる騒動について取り上げたものになりますが、

筆者であり騒動の中心人物であるヌメ氏に対して届けようとしている文章では一切ないです。

タイトルの通り、ヌメ氏のnoteおよびその主張を用い、匿名意見への扱いについてを述べていきます。

……他のわかりやすい問題性についてはもう飽きるほど言われているので、あえて触れません。

そしてもう一点、実在の人物の関わる創作を隠れてやるかどうかの是非についてこの記事では一切触れません。こちらは論点がごっちゃになって、ややこしくなるからです。思うとこがないわけではないので、もし私に余裕があれば別記事を書くかもしれませんが。

あらかじめ断っておきますが、今回の記事でのヌメ氏の文章のコピペ引用は、著作権上認められている引用の条件を満たしていると考えております。

またこの記事は引用要件を満たしていれば自由に利用して頂いて結構です。まあ引用要件満たしてなくても転載は別に構いませんが。なるべくURL載せるなりして意図的な切り抜きはご勘弁ください。

1.動機と先取り結論

なぜ私がこんな文章を書くに至ったかというと、note公開から何日か経ちどうやらヌメ氏の行動について指示と賛同の声が(結構声の大きな方でも)出てきたらしく、どうやら匿名意見についての賛同らしいと。

しかし、ヌメ氏のnote内での「匿名意見の取り扱いの矛盾」について触れられている方が見当たらなく、危機感を覚えました。

本当に、このヌメ氏のnote内でも「匿名意見の取り扱い」に問題はないのでしょうか。

一応先に結論を言いますと問題はあります。私のこの文章では、

・ヌメ氏の批判理論には矛盾が生じている
・そしてその矛盾に気付かないまま同様に匿名意見を取り扱うことには大きな危険性がある

とこのような結論になぜ至ったのかを述べたものになります。

2.その「匿名」意見の差は何か

まず、ヌメ氏も発端だと言っている、マシュマロ投稿はこちらです。

これに対してヌメ氏は、

私はめっちゃ怒っていた。
「あなたの行動が好きじゃない(あるいは間違っている)から変えろ」という要請を匿名で行ったこと。さらにその要請を行う上で「あなたのことが好きなので」という言葉をわざわざ使ったこと。
私を嫌いたくないからなのか、こうして燃やされないためなのか知らないけど、好意を人質にした上で匿名ということにめちゃくちゃ怒っていた。
なので、せめて名前を出せと言った。ちょうど一か月後に東京でのイベントを抱えていたので、そこに来るなら話に来いと言った。
何度も言うが、めっちゃ怒っていた。こんな誠意のない卑怯な方法で私のことを好きだ~なんて言うやり方が嫌いだったから、強い言葉で対面で話そうと言った。(ツイート参照ください)
無礼な人に丁寧に返す義理はないとずっと思っていたから、その点についても別に間違った対応をしたとは思っていない。

(章番号振りなし、冒頭文より)

と、このように怒りをあらわにしています。

ヌメ氏がこのマシュマロを不快に思った理由は上記の通り
「あなたの行動が嫌いor間違いだから改めて欲しい」と言われ、さらに「あなたのことが好きだから」という立場を名乗ったこと
を理由としており、この主張はnote全文を通してされています。

態度が悪いとか「お前」って言ったことについてとか色々言われてますけど、あんな下手に出る振りして自分の身分も明かさず保身だけはしたまま「好意を盾に」お願いしてきたことに怒っているんです。
私は今も、最初にマシュマロを送った人に怒っています。
好意を人質にして匿名の手段に頼ったこと。こそこそ影から名前を隠したまま言うしかできないくせに、よくもこんなに燃やしてくれましたね。
自分の正しいと思ったルールに従うよう要求するなら目を見て言って。せめて名前を明かしてください。

(いずれも5章より)

匿名で、好意を盾にしたお願いは誠意がない、こそこそしていて無礼だとも繰り返し表現しています。

そうです。「匿名で」あることに誠意がない、とヌメ氏は主張しています。こちらをよく覚えていてください。

そして、ヌメ氏のnoteの8章では、発端のマシュマロ投稿に反応しバズった後でも、「応援メッセージ」がたくさん来ていてヌメ氏も涙するほど嬉しかった、とのことが書かれています。

ここから以下は、届いた別のメッセージ、この件に関する指摘されているような危険はないと判断している意見について少しだけ紹介します。書ききれない量なので一部ですが、どうか、ご容赦ください。
なるべく色々なジャンル、活動場所が違う人からのメッセージぽいのを選んで書きます。
以下、ご参照ください。

(8章より)

との前置きで、マシュマロ投稿が7つ掲載されていました。7つともほぼヌメ氏の行動や思想に「危険性、問題はない」との主張が共通しています。すべて掲載すると縦幅をとってしまいますので、詳細はヌメ氏のnote8章(結構下の方です)を参照ください。

こちらの投稿、マシュマロによる投稿ですので、もちろん匿名です。

……あれ?

匿名であることは、誠意がなく、無礼ではなかったのでしょうか。

匿名で「あなたの意見と行動は間違っているからこうしてほしい」と言うことと、匿名で「あなたの意見と行動は間違っていないからそのままで問題ない」と言うことに、違いはあるのでしょうか。

「そりゃあ違うでしょ。自分の意見否定されるのと肯定されるのじゃ、不快感が違う」

と思われるかもしれません。

しかし、人間の意見とは、常にずーっと同じ、というのものでしょうか。

極端な例ですが、あなたが小学生のとき、または10年前のとき、あなたの意見や考えは、今と全く同じだったでしょうか?

ほとんどの方は、違っていると思います。

意見や考えは、他の人間の影響を受け、常に変化するものです。

そう考えると「あなたの意見と行動は間違っているから変えてほしい」「あなたの意見と行動は間違っていないからそのままで問題ない」という主張は、等しく「お願い」であるのです。
「そのままで問題ない」というのは「そのままでいて"ほしい"」と同義です。

つまり、発端のマシュマロへのヌメ氏の怒りは、8章で挙げられていた危険はないと判断しているマシュマロにも、向けられるべきものであり、ヌメ氏の主張には矛盾が生じています。

3.「匿名」意見の本心を考える

「いやそんなこと言われても、自分が不快になったかどうかなんて他人にどうこう言われるもんじゃないけど……」

と思われるかもしれません。もっともです。しかし、「匿名の意見を、内容によって扱いに差をつける」ということは、この事例においては問題を生む可能性が大きいのです。

ここで、ヌメ氏が8章で挙げていたマシュマロのひとつに注目してみます。

……ここでそのマシュマロのURLを掲載しない理由には、上で述べた縦幅を取るという以外にもあるのですが、後々判明するので一旦置いておきます。

そのマシュマロは、ヌメ氏の行動が問題ないという主張は他と同じですが、ヌメ氏の創作に対し、真逆の創作の実例を挙げご丁寧にその真逆の創作作品のある場所まで詳しく指定し「こういうものがあるから問題ない」「あなたに文句をつけている人間がこの真逆の創作を許しているのはおかしい」と、また「性的消費」の観点からも違和感があると。全文から「ヌメ氏へ批判をしている人間が憎い」という感情が隠されていません。

(詳しい参照を行っていないのは、上記の通り本文に問題のありすぎるマシュマロだからです……ヌメ氏は「実在の人間の創作」は隠れるべきだとのスタンスは持っていらっしゃるようですが、でしたらなぜこのモーメントを公開してしまったのでしょうか……)

つまり、「ヌメ氏を肯定している」というよりも敵の敵は味方理論で「私はあなたのことを好きかわからないが、私が嫌いな人間に批判されているから、意見を曲げないでほしい」と主張しているわけです。ヌメ氏への好意は一言も書かれていません。……発端のマシュマロは実際がどうかは置いておいても一応「好意」を表わしていることと比較してみると余計に異質なことがわかります。

全く見知らぬ他人「匿名」で、代理戦争を望まれているわけです。その見知らぬ他人は安全圏にいながら

これ、ものすごく怖いことではないでしょうか?

例に挙げたマシュマロほどわかりやすければまだ良いです。
仮に、「あなたの行動も意見も人格も大好きだから是非そのままでいて!」と、ヌメ氏に匿名でメッセージが届いたとします。このメッセージの送信者が、心の中で「ヌメ氏のことが大嫌いで大嫌いでこの行動が間違っているとわかってるけど自滅を望んでいるからこのままでいてほしい」と思っていないと、「ヌメ氏の行っている創作(ジャンルや性質、規模は問いません)が憎くて仕方ないからこのまま問題のある主張を続け騒ぎを大きくし丸ごと潰れてほしい」と思っていないと、送信者本人以外に、誰が言い切れるのでしょうか。

そんなめんどくさいことをする奴がいるのか? と思われるかもしれません。が、そういう人間は確実に存在します。自分の利益のため、本当の目的を隠し嘘をつく人間が存在しなければ、今ごろ詐欺犯罪はゼロになっているはずです。詐欺とは大げさな、と感じるかもしれませんが、自分の本当の目的を隠し嘘をついているという点では同じです。

匿名意見であろうと、いえ、匿名の意見だからこそ、受け止め方は精査しなくてはなりません。

……ここまで散々かたいことを言ってしまいましたが、

「マシュマロ公開しておきながらマンセーしか受け付けないのどうかしてる」って言葉も見かけました。
いや、ポジティブであったかくて嬉しいメッセージしか、私は要りません。
万人の意見を聞かねばならない義理もないし、イヤです。要らない。絵だって褒めてほしいし、まんがが面白かったよとか、そういう元気になるやつがほしくて設置してるんです。
だからわざわざ、「マシュマロ」を選んで設置したんです。

(5章より)

とヌメ氏も述べていることについて、絵や漫画といった作品をほめている言葉は素直に受け止めてよいものです。匿名によって作品を批判する言葉は、望まない言葉であれば、まったく切り捨てるべきです。

「匿名意見」と一括りにしてしまっているために問題がおかしくなっている方が多々見られます。このように、創作に対する「意見」だとしても、まったく属性の異なるものを同列にすべきではありません。

耳あたりのよさで意見の正しさや間違いを判断することは、大変危険です。

4.まとめと終わりに

ヌメ氏の述べている通り、今となっては発端のマシュマロの送信者がどのような意図でマシュマロを送ったかはわかりません。もしかしたらヌメ氏の性格を把握した上でここまでの騒ぎとなるよう企んでいたのかもしれませんし、言葉の通り老婆心で心の底からヌメ氏のことを心配していたのかもしれません。

また今回、匿名意見についてのみ焦点をしぼりましたが、匿名ではない人間による発信であろうとその本心を考えるべきですあなたのことを肯定して持ち上げてくれる人間は、本当に裏がなくあなたのことを肯定しているのでしょうか? たとえ素性がよくわかっていたとしても、です。匿名でない、というのは確かに信頼性はありますが、素性をよく知って知られているからこそ隠す本心もあります

こういった深読みといいますか、言葉の額面通りに受け取るかどうか判断する力って、創作するオタクにおいて結構重要だと思っているのですが、創作以外となると力が鈍る方が多く見られるような気がしています。

このヌメ氏の騒動と私のnoteをきっかけに、匿名メッセージが本心を隠しているかもしれないことを、少しでも考えて頂ける方が一人でもいればいらっしゃれば幸いです。

何か質問や疑問点、指摘などありましたらコメントやツイッターへどうぞ。反応は遅くなるであろうことをあらかじめご了承ください。

……もちろん、このnoteも実質匿名みたいなものですからあまりすべてを真に受けずに。



最後に1つだけ、匿名意見とはズレますが、警鐘を鳴らさせてください。

ヌメ氏はこの騒動について以下のように述べていました。

こんなの、あくまで最初のマシュマロ主と私の喧嘩だったんです。
こんなに燃やされ遊ばれ尽したせいで、もう喧嘩をすることすらできなかったけど。

(5章より)

あくまで、マシュマロ投稿主に対しての発言であり、そのほかの人間に言われる道理はないだろう、と。しかし、そもそものインターネットというものを勘違いしています。

身内だけに向けたものだと発信して批判にさらされた、という事例は数えきれないほどあるでしょう。「バカッター」という言葉が一時期話題になりましたね。

バカッターは犯罪性のある行動を多く指してしますので、全く同じではありません。しかし、犯罪性がなくとも、インターネットに、ツイッターに書いた時点で、その言葉は誰でも見ることができ、それについて常識的な言葉づかいで言及することを止める権利は発言者本人だとしてもありません。

常識から逸脱した罵詈雑言は確かに多くみられました。しかし、普通の言葉選びで、匿名や捨て垢ではなく普段使っていると簡単にわかるアカウントからヌメ氏の騒動に意見している方も少なからずいらっしゃいます。

散々意見を受け入れる危険性について述べましたが、「面識がなくジャンルも関係ない人間である」というのも受け入れるかどうか判断の一因です。

どのような言葉に耳を傾けるべきなのか、意見の氾濫するネットにおいては、とても重要な問題ではないでしょうか。


参考:
ある日突然放火された話|ヌメ|note、 https://note.mu/_n_ume/n/n638d4f0b4d5d 、参照日2019-07-12

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