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『きんとうか』感想③ 逢己宗定ルート

幼い頃の色鮮やかにきらめいていた思い出を辿って幼馴染に再会する名作『きんとうか』のネタバレ有感想です。
未プレイの方は是非アニメイトゲームスでDL販売されていますのでご検討ください!多くの方がこの人に優しいゲームをプレイしてほしいと朝に夕べに思っています。

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最初に吐き出してしまうのですが、ハートフルな話が好きで、キャラ達が疑心暗鬼で傷つけあうハートフルボッコは得意ではないので、宗定ルートはなかなかにしんどかったです!!!!!

宗定さんはスペックが高すぎる。非の打ち所がないスパダリ童貞なのだが、プレイ後の感想としては「宗定さん、いい男なんだけどさ……」だ。宗定に愛された85%の人間は絵にかいたような幸せを手に入れられるはず。ただ颯太は残りの15%だっただけ。前途多難な二人の恋路にハラハラし続けたルートだった。

初夜を迎え結ばれた二人が世界の全てから嫌われることが確定したこのシーンね。

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以降はアルコールを入れながらプレイしてた。とにかく悲しかった。恭や愁ルートでは颯太に信頼を寄せてくれる夏子さんに否定されること、あたたかかった島の人から嫌がらせを受けること、愁ルートではおっとり熟女などと評された浅倉仁美から蛇蝎のごとく嫌われること。人の良いので万人に好かれるタイプの颯太があからさまな悪意を、それこそ知らない仲ではない人からも向けられてしまうのは本当に悲しかった。恋路を否定されて狂気に飲み込まれていく宗定も悲しかった。祖父や実父が身を亡ぼすような恋におちたように、当代の主も地獄の門をくぐった。それは逢己の呪いと呼ばれ、継承されていく。

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宗定ルートは人の心のままならなさ(闇)をあらわしていると思っていて、好意を悪意で返してしまったり、理性的に振る舞いたくても激怒してしまったり、傷つけたくない人たちを自分たちの行いで取返しのつかないほどに痛めつけてしまったり、そして愛することをやめたいのに想いがどんどん深くなり破滅へと突き進んでしまったり。

恋はロジックじゃないから仕方ないね(涙)。
これまでの人生にそこそこに満足していた二人が欲というものを知り溺れていく姿は、楽園から追放されたアダムとイブだと思った(涙)。でも納豆は豆腐には戻れないの(涙)。茶化して書かないと心がしんどい(涙)。

でも浅倉仁美から死んでほしいとドスを渡されるシーンは、正直興奮した。実母を追い詰めて自殺させたおばあさまですら慕い、猫に愛され自分も猫を愛する、おっとり熟女の浅倉仁美から恨まれる……。救いはないんだな(涙)。神であるご当主が喪中の家で逢瀬を重ねること、逢己が鈴村の者を愛すること、男同士であること、子をなすことができないこと、それによって当主が島の者から悪し様に言われること。浅倉仁美にとって宗颯は地雷CPだったわけです(涙)。包丁を研いでいる時の浅倉さんの心境を想像するに、死を覚悟した後の行動だから静かなものだったのだろう。颯太を殺して自殺するための刃を磨いていたわけだし。とても好きなシーンです。

おばあちゃんの玄関マットさんが汚されるなどの犠牲はあったが、颯太が決死の覚悟で逃げることで宗定に冷静さが戻る。
夏子と路夫の恋が知られるものとなり、逢己タカに集められる颯太たち。しかし渡利愁のファインプレーと颯太の口から語られる千恵子失踪の事実、そして宗定の大岡裁きのような名演説でこの場は収まり、そしてエンディングへ。

前後の謎は置いて、いや~~~~~~~ラブラブエッチみれてよかったです。ほっとした。平成に置いてきたBL商業誌のようなセックスをする宗颯、推せる。次はスイートルームのクソデカキングサイズベッドで頼むな。雨の夜に雑居ビルの間で二人辛い顔をしながらのエッチでもいいよ、いや駄目、幸せなエッチをして。

ここまで辛い辛いとしか話していませんが、「あやとり」が流れる一連のシーンは普通に泣きました。一ノ瀬舶人の真実もオイオイ~~~~~~~~!!!!!という感じで、どこにでもいるような幸せなカップルが人の悪意に押しつぶされて、擦れて、拗れて、失意のまま終わることの理不尽さに泣いた。宗定は愛されているのに、その愛を知ることができなかったことも泣いた。くそばああ……となりましたが、愁ルートを終えていたので憎しみは多少軽減できました。推奨攻略順を教えてくれたネットの集合知ありがとうな。宗定ルートを初めにやっていたらこのゲームを積んでいたかもしれない。

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渡利夫妻どうして……こんなにも仲睦まじいのに……。逢己宗春の叶わぬ恋→タカの嫁いびり→逢己夫妻の不和→柏木泰博の密告(本人に悪意なし)→渡利夫婦の不和→渡利兄弟の確執いや~人間界は地獄か?


ここからは宗定ルートで好きなセリフのことを!

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童貞が丸わかりになる愛しさ爆発のこれね。でも宗定はなんでもそつなくこなせる男だから颯太もあっという間に翻弄されるだろうな。種族値600族かつしあわせたまごと経験値マシン持ってっから。
『宗定さんの男としてのプライドを傷つけてしまうかもしれない』のくだりもとても笑った。

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あしたゆうべに、綺麗な日本語だ。宗定ルートにおける”月がきれいですね”や”愛している”に代わる言葉なんだけど、颯太のエブリデイ、エブリナイトに例えるところは正直笑った。鈴村颯太、感性が独特で好きすぎる。

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またこのルートを代表するような名言。宗定√の感想を書いている人の8割は言及していると思う。千恵子さん、賢くて美しくて非の打ちどころのない女性なんだよな。そんな人も運命に抗えなかったことがただただ切ない。

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このシーンもちょっと泣いちゃった。切ないね。春夫と千恵子の関係をなぞるように悪化していく状況だけれど、宗定は母の真意を知り、奮闘して二人の未来を勝ち取る。

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あとこれ。ネームドでないモブから寄せられる無垢な信頼。これがあったからこそ宗定は人の心を失うことなく、島の王様として立ち直れた。この若い漁師は大岡裁きでの渡利愁と並ぶ、宗定ルートでのMVPです。
島と颯太の二兎を追うために血のにじむような努力をしたんだろうし、その一端が少しでも知れたならば良かった。

宗定ルートはどのような善人でも悪人になりうる可能性を示している。ちょっとした不幸が続いただけで、これまでの善行全てが否定されてしまったり心証が覆されてしまうのだ。そして人の和から外れ孤独ゆえに人を貶めて傷つけてしまう。しかしながらどのような悪人にも憐れむべき過去や人のあたたかみがあったはず。司ルートはひたすら司が辛い目にあう過去が判明するが、宗定√を踏まえると、彼らをかばう司の心境もわかるのだ。司は人を一方的に恨むことができない、という一見お人よしすぎて感情移入できない事実を、このルートを通じて何となく理解する。愁ルートとあわせて、きんとうかからは欠かせないお話なのです。


とうとう次は司ルートの感想を書くのか……。ルートの中盤から涙をこぼし続けた話でした。せっかく三人分の感想をかけたので、司ルート分も頑張りたいです。


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