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たまごの緒

大阪府出身の作家、瀬尾まいこさんのデビュー作である『たまごの緒』には2つの短編、「たまごの緒」と「7's bloods」が収録されています。

はじめて瀬尾さんの作品を読みました。読みやすくてそしてとても暖かみのある文章でした。二つに共通するのは家族愛。親子愛と姉弟愛。

優しい自分になりたいとき、心が疲れてるとき、温かい気持ちになりたいときに、手に取りたい1冊です。

「たまごの緒」

血縁関係のない母と10才の息子。けれど、どこの親子にも負けない絆で結ばれていて、お互いに信じあっている関係が素敵でした。

「母さん、育生は卵で産んだの」と真顔で言う母親、へその緒の代わりに卵の殻を見せられる男の子。自分の家では卵の殻が親子の証かと問う息子に母は「本当バカね。証って物質じゃないから目に見えないのよ」と。
お茶目で明るい母親と素直で優しい息子の絆と愛が描かれる、心温まる一作でした。


「7's blood」

腹違いの姉弟、七子と七生。仲の良し悪しを問わず、きょうだいを持つ本好きの人に是非読んでほしい一冊。

私には一人妹がいますが、きょうだい間のつながりは、何とも比べられないもののように感じます。親子とも友達とも恋人とも違う。

事情があって、七生は腹違いの高校生の姉と共に住むことになる。二人がだんだんと打ち解けあっていく様子が良かった。新しく作った友達と日に日に仲良くなる、というのとはまた違うものだと感じた。きょうだいってこういう感じだよな、と。自分と妹との間に流れる感覚と似ていて、不思議な気持ちになった。他の家庭のきょうだい達も、こうしたような、比類ない何とも言い表せないつながりというものを持っているのかしら、と思わされる。


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