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ポルトガル文学

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ポルトガルの文学作品について書いた記事をまとめています🇵🇹 ハッシュタグ一覧から作家別に検索もできます。
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2020年10月の記事一覧

フェルナンド・ぺソア短編集

ポルトガル・リスボン出身の、国を代表する作家フェルナンド・ぺソア(1888-1935)による7つの短編が集められた一冊。暗い感じだったり皮肉的だったりする内容が多い短編集だなと思いました。 独創的な晩餐会静かに物語が進むのに怖い話。ホラー好きの方、複雑ではない短いホラー話を読みたい方はどうぞ。 ある日、世にも独創的な晩餐会が開かれることに。 開催者は、いつも人を笑わすような実に陽気な人。しかしながら彼自身の表情には何かしら影が見えるような人物。決して怒ったことはなく争い

『世界で一番大きな花』ジョゼ・サラマーゴ

虹色で良い香りの花が丘に咲きました。それは男の子が救って、生き返った花でした。 とっても優しさにあふれた心温まるお話で、でも詩的でリズミカルな素敵な1冊でした。♡🌼 ジョゼ・サラマーゴ (1922-2010)はポルトガルの代表的な作家ですが、子ども向けの本も書いたのですね。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 「僕は子供向けの話をどうやって書けばよいのか分からない。昔作ったお話を書く能力があったらな、、。書きたかったけど書かなかったその物

『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ

#ポルトガル文学 #ジョゼ・サラマーゴ 視界が真っ白になるという謎の失明感染症が発生し、パンデミック状態にある世界。その中での人々の様子を描いた作品。 本当に良かった!!フィクションであるのに怖いくらいリアリティがありました。常に緊張感のある物語が進行していきます。 なぜこんなリアリティがあるのだろう、と考えてみたとき、それは極限状態に置かれた人々がとる行動の野蛮さ、残忍さ、自己中心さ、弱さ、愚かさ、苦しさ、悲しみ、そうしたものが私たちが現実に持っているものと変わらない