涙をえくぼに注ぐ


家が部費や楽譜を払えなくなって、私は大好きなフルートを辞めた。




私が辞めたフルートの穴でお母さんが豆苗を育てた。

私のため息を吸って育ったアロエをお爺ちゃんがちぎってポケットに入れた。

私の荒れた唇の皮をネズミがチーズにふりかけて食べた。




お母さんは顔にシミが多くてトルコ行進曲の楽譜みたいになっている。(黒ギャルを辞めそびれたため)

お爺ちゃんは、お婆ちゃんと襖の間に腰をぶつけてヘルニアとかではなく外傷で腰を痛めている。(女子大の大学病院に通院)

ネズミは軽度の中耳炎だ。


お母さんはSK-Ⅱぐらい美肌効果を持つ豆苗を育てて食べた。

お爺ちゃんは左手でそのアロエを腰の外傷に塗った。(右手でチャーハンを作っていたため)

ネズミは味変チーズを食べて2、3日ぼーっとした。


たまご肌になって、腰が治って、中耳炎も治った。


お母さんは地元のイオンにママフルが出来た時ぐらい喜んだ。

お爺ちゃんは数独が全部埋まった時以来の笑顔を見せた。

ネズミはミッキーぐらい歯を見せずに笑った。


私はフルートを辞めた。

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