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鍼灸師が考える「ある範囲内」

自律神経の書籍を読んでいて感じたことがあったので、ひたすら書いてみようかと思います。

「内部環境の恒常性の維持こそ、生命維持の基本である」

鈴木郁子/やさしい自律神経生理学/中外医学社

つまり、体内の環境は「一定」というよりは「ある範囲内の状態」にゆらぎを持って保たれている

鈴木郁子/やさしい自律神経生理学/中外医学社

鍼灸師や東洋医学に関わる者は、「未病治」や「養生」の重要性を知っています。

実際の施術でも、鍼灸施術以外に「運動指導」や「食事指導」「睡眠の質」等をアドバイスし、患者の状態改善に努めています。

この書籍を読んで感じたことは、患者の「未病治」や「養生」を達成するために鍼灸師の患者に対する「許容範囲が狭くなっていないか」ということです。

「一日どの程度、運動してますか」
「週に何日、運動してますか」
「食事の量は」
「お酒の量は」
「何時間寝ましたか」

上記の質問の解答に対して、「この程度ならいいか」よりも「もう少し・・・」というアドバイスになっていると危険だな。と感じたのです。

我々の体温は寒い日でも暑い日でもだいたい37℃に保たれているが、決して37℃というピンポイントに定まっているわけではない。1日のうちでも早朝の睡眠中には最も低く、その後少しずつ上昇して夕方にピークを示す。その差は1℃程度である。

鈴木郁子/やさしい自律神経生理学/中外医学社

人間には「サーカディアンリズム」があり「ある範囲内」に、体温だけでなく、血圧や水分の量、塩分、糖分等が保たれています。

健康診断の血液検査の結果も「ある範囲内」かどうかで「異常なし」か「再検査」と判断されます。

その検査の「ある範囲内」は、結構な幅を持った範囲内だと思いますが、「未病治」「養生」の達成となった途端に「ある範囲内」が狭くなっていないかと思うのです。

血液検査データと運動や食事、睡眠を一緒にするのはどうか。という意見もあるかと思いますが、「未病治」「養生」のハードルが高くなった途端、患者が感じることは「ストレス」で、自律神経は「ストレス」に敏感です。

医師や看護師の前に座ると緊張して血圧が上がるように。

鍼灸師が「患者」に求め過ぎたがために、それが「ストレス」とならないように、求める内容にもアドバイスへの行いにも狭過ぎない「ある範囲内」を持つことが大切であると思います。

神様かキリスト様か、人間に与えた「ある範囲内」は、意外と余裕があると思って今後、施術に活かしていきたいと思い、noteを書いてみました。

ちなみに、「ホメオスタシス」はギリシア語で「似たような状態」という意味だそうです。

「ある範囲内」よりゆとりのあるように感じます。

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