負の遺産への向き合い方
どんな仕事場にも存在する負の遺産へ向き合うときの心構えの話。
66日ライティングマラソン。12日目。
負の遺産とは
ここでいう「負の遺産」とは、遺産相続での負債ではなく、
仕事の現場に積み上げられた「簡単には解決しようのない問題」
のことです。
起業した場合は負の遺産も0からのスタートです。しかしたいていの仕事は過去から継続されているため必ず負の遺産が存在します。
もちろん #新入社員 #中途入社 などで入ったばかりの人たちには負の遺産は目に見えないかもしれません。しかし働き続けるにつれてそれらに触れざるをえなくなっていきます。
負の遺産は仕事が継続されてきた証
仕事を進めていくにあたってはさまざまな課題が出てきます。
少し考えるとわかるのですが、仕事が今まで続いているということは出てきた課題を誰かが解決してきたからと言えます。
負の遺産はその課題の解決の仕方によって生まれ、築き上げられていきます。そして負の遺産を作り上げた担当者の転籍・退職などにより強固なものとなる。
つまり仕事が継続できていることは、負の遺産を積み上げ続けていることと同じになります。
負の遺産の量は、仕事が継続されてきた長さにほぼ比例します。
超めんどくさい負の遺産への対応
負の遺産への対応って超めんどいんですよ。
例えば、過去にすごく仕事ができる人がいて、仕事上の課題もバンバン解決していって会社の業績にも貢献していく。
そんな中で仕事ができる人が退職。残された人たちは仕事ができた人の後を追わないといけなくなる。
でも退職した人は仕事ができた人だったから業務の属人化がすごい(属人化とはその人しかできない形態の仕事のこと)。でも追わなければならない。
こうなってしまったら、仕事ができた人が残した結果がもう負の遺産なわけです。仕事の結果が負の遺産?というと理解しにくいですが、
誰かがやった『属人化が激しい仕事』の後追いほどしんどいものはない
ということです。
どんなに業績アップ・効率化に貢献した仕事でも、属人化が激しい仕事であるならばそれは負の遺産になってしまいます。
たとえその仕事がどんなに良い結果をもたらしていたとしても。
仕事とは負の遺産を解決していくこと
ほとんどの人は、仕事を始めたら既存の仕事場に放り込まれます。ということはその時点からあなたの仕事は、誰かの負の遺産で成り立っている環境でやっていかなくてはなりません。
私は過去、火消しの仕事をしていた時期がありまして、あ、火消しといっても消防隊ではございません(笑)。
火消しとは、
進行中のプロジェクトで起きている炎上を消して回る仕事
です。
炎上具合はほんっとにさまざまなんですよ。
単なるスケジュールの遅延から、能力不足メンバばかりでのやっつけプロジェクト、リーダー不在で仕事場雰囲気最悪の現場など、それはもういろいろでした。
で、どの現場でも確実に負の遺産がはびこっているんです。この頃から
「負の遺産の解決が仕事の本質の一つである」
ことに気づき始めました。誰でもできる仕事ではありませんし、実際いうと、汚れ仕事です(笑)。
そして負の遺産へ対応できる人がいろんな現場に呼ばれるという^^..
解消ではなく解決と書いたのは意図があります(最後に書きます)。
負の遺産への向き合い方
私の仕事場では自分以外に火消しをしていた複数のメンバーがいました。それぞれいろんな現場に放り込まれていましたが、よく同じ現場で遭遇しました。
そしてこう言葉を交わします。
「ブルータス…お前もか」
あ、ちょっと言葉の使い方を間違えてますね(笑)
いやでもね、現場に送り込まれた火消したちの胸中なんてこんなもんです。
「また(会いたくない場所で)会っちゃたね」みたいな。
でも送り込まれたからにはサボるわけにはいきません。炎上を止めないと評価されないわけですから、どうにかして炎上を止める施策を考えて実行するわけです。
そのときに大切なのが「負の遺産への向き合い方」。
いろいろありますがわかりやすく3つだけ。
①負の遺産ができた背景を徹底的に理解する
負の遺産にはそれが生まれた背景が必ず存在します。背景に良し悪しはあれど、その背景を理解しないで負の遺産の解決には近づけません。
現場レベルの徹底的な聞き込みとコミュニケーション、現場の外からその現場がどう見られているか?までに視野を広げて負の遺産の背景を理解します。
②負の遺産の解消を狙わない
負の遺産とはいえ、それがもたらしているメリットが必ず存在します。負の遺産だからとその解消自体を目的にしてしまうと、既に得られているメリットを失うことになります。
負の遺産は、消すというより、どう解決して負にならない遺産にするかに注力します。
解決とは、解いて、思考・判断して、決めること。
解消とは、解いて、消すこと。
負の遺産は決して、消してはなりません。
③何より現場のメンバを大切にする
これが1番大切。
渦中の現場にいる人のほとんどは負の遺産を作った人たちではありません。誰かが作ってきた負の遺産が存在する現場に居合わせた、負の遺産とは関係のない人たちです。
ですから現場の人たちの心情に寄り添って理解し、解決案を提示して議論し、彼らの意識を持ち上げながら火消しを行う必要があります。
場合によっては火消しを送り込んだ偉い人と、現場の人たちをよく知る火消しの立場から対決をしないといけないかもしれません。そしてそのときは決して怯んではなりません。
負の遺産がない仕事
負の遺産の積み上げがない仕事はありません。
必ずどの仕事の現場でも負の遺産は存在します。そんなのないよという人がいれば、それは見えてないだけですね。
とはいえ、負の遺産が0に近いことは素晴らしいことです。
現場でがんばっている人たちには、存在する負の遺産から目をそらさずに向き合ってもらい、
仕事をこれから作り出す人たちには、負の遺産を産まない仕組みをしっかり考えてもらう。
この2つが両立していけば、その仕事と現場はうまくまわっていくと思います。
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