私の話。恋。

彼氏いない歴=年齢、という言葉に耳が痛く感じるようになったのはいつからだろうか。遠い昔のような、割と最近のような。私はまあイコール年齢の人であるのだが、そもそもなかなか人を好きになることがない。
そんな私の、かつてのキラキラした淡い感情のお話。この感情を恋と呼んでいいのかいけないのか、今でもわからない。これはただ私の懐かしい思い出のお話だ。


その頃の私が好きだったのは、国語の先生。若くて可愛らしい女性の先生だった。
はじめましての時からなんとなく好印象で、そこからずっと好きだった。

眩しい笑顔がかわいらしいけど、服装はいつもきちんとして大抵長いスラックスをはいていて、黒板に書く文字が綺麗で、私よりも少しだけ背が低い。シャーペンやボールペンではなく鉛筆を使っていたのにキュンとしたのを今でも覚えている。
廊下で会って挨拶をしたり、授業のあとに雑談をしたりする時間がなんかすごく嬉しくて。今日は会えるかなって毎日のように考えて、会えるチャンスを探して。会ってもどうせ挨拶するだけか他愛のない話をするだけなんだけど、それだけでも嬉しかった。

—————

何か特別な出来事があったわけじゃない。
先生も私のことを普通の生徒として扱ってたし、それに対して辛いとか思うこともなかった。逆に普通の生徒として扱われる方が嬉しかった。

私はこの感情を恋とは名付けたくなかった。
相手が先生だから、同性の人だから躊躇してるってのもあると思う。
でもそういうことじゃなく、この感情は恋よりも純粋だと信じている。
なんの見返りも要らなかった。ただ顔が見れればそれでよかった。大切な思い出として心の中にしまっておくだけでよかった。その人がいるだけでいつもよりほんの少しだけ日常が華やぐ。そんなささやかで淡くて美しい感情。例えるならアイシャドウの細かいラメみたいな、夜空に輝く星みたいな。
恋愛とかじゃなくてもいいから、あの時みたいに感じる人がまた現れてくれたらいいのにな。そうしたら私はあの人を忘れられるのに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?