私の話。友達不信っぽくなったきっかけ。

幼稚園の頃から仲のいい友達がいた。仮にAちゃんとする。Aちゃんとは家も近かったのでお互いのお家に遊びに行ったりしていて、仲のいい関係だった。
3年生になった頃かな。Aちゃんとクラスが離れて、いつのまにか私とAちゃんはあまり喋らなくなっていった。
私は新しいクラスで友達を作った。仮にCちゃんとする。1人しか仲のいい友達が出来なかったわけではないが、ここでは登場しないので割愛する。

そして、高学年になった頃、私とAちゃんは再び同じクラスになった。そのクラスにはCちゃんもいて、まだ話したことない子もいるけど、この間のクラス替えの時みたいにすぐに仲良くなれるだろうと思っていた。
この時の私はまだ気づいていなかったのだ。このクラスで、自分の人生を変える出来事が起きるということに。

小学校高学年というのは、女子ならばほとんどの人が経験したであろう、いわゆる「仲良しグループ」というものができ始める時期だった。
その「仲良しグループ」という概念が、当時の私にはわからなかった。鈍感で成長が人より遅かった私は、そんなものができているなんて全然気づかなかった。だって、そんなこと授業で教えてもらえなかったから。

私が仲良しグループの存在に気づき始めたのは、修学旅行の班決めの時だった。当時の私は本当に呑気で、まあくじ引きとかで決めるんだろうな、と思っていた。しかし、班決めの時間になって始まったのはくじ引きではなく話し合いだった。私が仲良しだったAちゃんとCちゃんは、別の仲良しの子とのグループを既に決めていた。人数もいっぱいだったから私が入る余地なんてなかった。気づいたら他のグループも決まっていて、結局私は人数が足りてなかったグループの班員になった。
別にその時の班員の子が嫌いだった訳じゃない。仲良しだと思っていた子たちに選ばれずに最後まで残ってしまったという事実が受け入れられなかった。私は誰からも選ばれなくて、そこの班だけ人数が足りなかったから私が入ったかのような、そんな感じにモヤモヤとした気持ちを抱えていた。
モヤモヤしながらも私は呑気で、修学旅行もこのメンバーで仲良くなろうと思ってけっこう楽しんで、帰ってくる頃にはモヤモヤした気持ちも忘れていたんだと思う。

ちなみに、Aちゃんの仲良しグループの子たちは、みんなGAPのパーカーを着ているような、ちょっとおしゃれな女の子だった(当時の私の中でのおしゃれの基準は、GAPを着ているか否かだった)。AちゃんもしっかりとGAPを着ていた。そして顔がかわいかった。
Cちゃんが1番よく喋っている子は、面白くて、そしてGAPを着ていた。CちゃんはGAPを着ていなかったけど、Aちゃんのグループの子たちとも仲良しで、面白い子だったから男女問わず人気があった。
対して私は、お兄ちゃんのお下がりの男モノのトレーナーを着ているような女の子だった。今の私が多少お洒落に気を使っているのは、この頃のトラウマが少なからずあるからなのかもしれない。でも、ちょっと前から同じクラスで仲良くしてくれていたCちゃんは、そんな私でも何にも気にせず仲良くしてくれていたと思う。放課後一緒に帰って無駄話をするような友達だった。

そんな呑気な私が遂に「仲良しグループ」の存在を完全に認識する日、その後の私の人生を変える日がやってくる。
それはある日の掃除の時間だった。私はある男の子と体育館のカーテンの下を掃除していた。本当は掃除の時間に喋ってはいけないけど、どうせばれないから他愛のない話をしながら掃除をしていた。
どんな話の流れでそんな話になったのか忘れてしまったけれど、男の子は確かにこう言った。

「Aたちってお前のこと嫌いなんじゃなかった?」

私はびっくりした。そんなこと考えたこともなかった。あんなに仲良しだったAちゃんに嫌われているなんて。
男の子も私の表情を見てまずいと思ったのか、あれ、違ったっけ?って言いながらその場を去ってしまった。
なぜかわからないけど、私は男の子の言葉が妙に本当のような気がしていた。Aちゃんが私のことが嫌いなら、色んなことの辻褄が合うような気がして。Aたちって言ったから、Aちゃんの周りの子が私のことを嫌いなだけかもしれない。本当は間違いなのかもしれない。そんなことを思ってみたけど、自分がAちゃんに嫌われていると思って接しているうちに、Aちゃんとの接し方がわからなくなってしまった。
さらに、私はCちゃんとの接し方もわからなくなってしまった。CちゃんもAちゃんと仲がいいのは知っているし、一緒になって私のことを嫌っているんじゃないだろうかと思った。私だけが知らないみんなの世界がある気がして、私はCちゃんのことも少し遠くに感じていた。ずっと一緒に帰っていたけど、帰り道で話している時もちょっとだけ上の空だった。

CちゃんやAちゃんとは、中学校も一緒だった。
Aちゃんとは部活が一緒だった。Aちゃんは普通に話しかけてくれていたけど、私はモヤモヤした気持ちをずっと抱えていた。一生懸命普通に笑えるように頑張っていたけど、本当に笑えていたのかはわからない。
Cちゃんとは塾が一緒だった。塾のメンバーで仲が良くて、いつも塾が終わったあとはみんなでおしゃべりをするのが日課だった。みんなと一緒に喋っていたから、Cちゃんとはちゃんと友達に戻れた気がする。時々私が勝手にあの時を思い出してちょっと辛くなることもあるけれど。

このことについて、誰が悪かったとは思っていない。私は鈍感で周りの変化に気づかなかっただけ。Aちゃんは普通の女の子のように何か変化があって仲良しグループを作るようになっただけ。Cちゃんはなるべくみんなと仲良くしながら、変化に気づいて上手に適応できただけ。男の子のあの言葉がなければ、一生私は鈍感だったかもしれないし。
誰の所為でもないけれど、私の選択が違ったらちょっとは変わっていたのかなと思う、今でも心の片隅に居座っているモヤモヤとした黒い霧のようなお話でした。

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