[ライナーノーツ] Abstracterのはなし
こんにちは。 久しぶりのライナーノーツです。
先日主催が出禁になったコンピでお馴染み、
「LIBEREX 002」
に提供した曲について
構成やミックスについてはもちろん、
制作下での環境、心情をすべてここに書き留められれば
と思います。
そして、フル音源もアップロードしましたので、併せて聞いてくれると幸いです。
それでは早速解説していきます。 よろしくどうぞ。
1.テーマ
・具体的なテーマは
「清涼感、疾走感のあるハードコア」。
・清涼感のある曲作りを一切経験してこなかったので
本当に苦労した。
・自分の得意とする騒がしい要素は、音を歪ませたり音をガツガツ重ねていくかなり見かけが単純なやり方なのだけど、
清涼感ははっきりどれがこう!とか
これは違う!とかの
明確な基準が自分の中で定義できずそのライン極めに
本当に迷った。
・結果として
・リードはあまりハイを出しすぎない
・シンバルを抑え目にかつステレオを広げる
・歪んだキックを使わない←マジで気をつけた
という感じで条件を出しつつ、
MEGAREX産ハードコアを聴きながらメロディを
製作した。
2.曲の構造・内容
・次は曲の構成。
・音ゲーのハードコアではなくクラブのハードコアを意識した4小節単位で制作した。
買っていただいたみなさんにDJとか
いろんなところで使っていただけるようにです。
ぜひ使ってください。
・前回yaoyorozuの構成もある程度汲んでいる。
(ブレイクの2小節メロディから落として再ブレイクとか)
・中盤のドロップ、後半はMEGAREX特有の神聖さを意識したChoir(チョイアー)をカットアップしている。
といった感じで他のところはいつも通り作った!
結局変わんないじゃん!という気持ちもなくはない。
・今回コード進行はかの有名な王道進行に7thや9thを重ねたりしたものを使っている。 この進行を使うだけで曲になるのだから本当にすごいと思う。
・この打ち込んだデータはサビ前のビルドアップ・サビの時にSupersawを薄くかけたものを使っている。ちょっとスケールとズレているように感じもするが、この方がなんだかハードコアらしいのかなとも思う。
3.それぞれの部分ごとの解説
〜0:22 イントロ
・あまり個人的に使ってこなかったトラップ系のスネアと普段使っているスネアをビートを分解して使っている。
・トラップ系の方は刻んだビートで普段の方は四つ打ちにした、結構わかりやすい。
・あとはピアノにBitcrasherかけてコードをジャンジャンやってるし、Pluckのような音色もどうにか作ってみたりと音の情報量の裏の努力量が垣間見える所。
0:23〜0:45 ブレイク1
・メインメロっぽいけどメインメロじゃないメロディが流れているが、これはサビメロの没だ。没。
・今回とくに耳に残り、かつ単純なメロを作るため何回もメロディを練りに練った。そのためたくさんのメロが埋葬されそのうち表層に残った一つが該当するメロディである。
・独特なアーメンの刻みがされていたり、Jersey clubの銃声などジャンルレスな自らのスタイルをある程度「抽象化」したような内容になっている。 ちなみに今考えた。
0:46〜1:03 ビルドアップ
・前述した通り、初めて王道進行を使った。 いい感じでもあるし、ズレもあると思っている。 でもそれが自分なのだし音楽=自分を投影するスクリーンと表現すればなんら違和感はないと思う。 あるわバカ
・クラップのリズムは完全にDJ Noriken - Screw 'n' Twisty に寄っている。 好きだもん、32分でクラップならして4beatで鳴らすの…………
・段々サビメロが上がってきてエモ〜〜〜〜〜い展開のあとサビに突入する形だが、サビ前の数小節はとくに裏打ちのベースにも注目して欲しい。
・イントロとリズムは変わらないが音数が細かくなるにあたってベースそのものリズミカルな印象を強く受けることができると思う。
1:04〜1:26 サビ1
デカ〜〜〜〜〜い!!!!!!!!!!!!!!!!
となるリードだがPoison-2024本で構成されている。
上から
・アタックの強いキャラクターの役割
・リバーヴの強いエレピ
・ほんのりリバーヴをきかせた2xosc的Saw
・オクターブを重ねた音ゲー系のSupewsaw
という構成で、Supersawが何本か使われているのは前回のyaoyorozu同様変わりないが、前回5本に対し4本に減っている。 前回あった8bit的なChip tune readを今回用いていないからだが、音色はより像が広がった印象を受ける。
1:27〜2:20 ドロップ
一番頑張った。 マジで。
・これにどれだけ時間をかけたか。
・カットアップの手法は今年初めのリリースから試してみている手法だが今回は頑張ってパンも振ってみた。 飛び道具のFXをじゃんじゃん入れてみた。
・あと、後半入りの8小節はなんか神聖な感じにしたかったので適当なボーカルサンプルを刻んでデカい低音を入れてる。 ガバキックじゃない。 誰がなんと言おうと。
・あとは裏でめちゃくちゃ刻まれてるTrap系のスネアが個人的に好き。 体が縦ノリになれて最高。
2:20〜 ブレイク2
・ここはサビのメロを鳴らしつつ裏でコードを鳴らしつつ、うす〜くパーカスを鳴らしたり最初の時のブレイクと比べてだいぶノリがアッパーな感じに仕上げた。
・そこからブレイク1と同じようにメインシンセがゆっくり現れてくる内容になっている。
・ブレイクの強化版的な雰囲気に仕上がったので、いいんじゃないかな、と思う。
サビ2
・また一気にフェイクを挟んでからサビに突入するが、ここで個人的に気に入っている部分がイントロなどでながれるピアノのメロディである。
・一応同じスケールではあるためサビに導入してみたが、なんかいい曲っぽくなったので採用した。
・そのサビを終えたあと、ブレイクのエレピのメロが入ってくるが、さわやかな4ビートにしてFutureジャンルの雰囲気を醸し出してみている。
・そのあとサビ用のキャラクターのあるシンセが共にメロを奏でていく構成になっており、これは自分の中にある「いい曲あるある」のそれである。
ブレイク〜おわり
・ここでイントロの構成が戻ってきたそのまま終了という流れ。
・終わりはずっと終わらせたかったのでシンバルもそこそこに切り取った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…以上がAbstracterの曲についての解説である。 このことからわかることであるが、
P0cketは完全にフィーリングで作曲をしている
のである。
なんもわかんないから、だからこそ感覚に身を委ねている。 なので今回の曲は奇跡だ。 奇跡によって、または偶然と虚構の自身によって生み出された一曲なのである。
4.製作時の環境・精神状態
・一番みなさんいらね〜な〜ってとこ。
・でも書く。
・おれが辛くなった時、これを乗り切った時を思い出せるように。
・過去最大級のスランプ到来
・この曲ができる前、鳳凰火凛-𝐒𝐡𝐢𝐧𝐢𝐧𝐠 𝐋𝐢𝐠𝐡𝐭𝐬 𝐟𝐞𝐚𝐭.𝐏𝐒𝐘𝐐𝐔𝐈 (𝐏𝟎𝐜𝐤𝐞𝐭 𝐑𝐞𝐦𝐢𝐱)という曲を作っていたのだが、その時期ごろ志望校1の試験がちょっと近く、時間をどうにか割きながらの作曲で作り終えた後だいぶ燃え尽きた感覚があった。
・そもそも7月目立ったリリースがなかったのはそもそもそこからスランプに入っていたからだ。yaoyorozuで完全にメロディの判断ハードルが、NEW STYLEで音色の判断ハードルが上がり、それをうまく越えられなくなっていた。
・そして締め切り2週間ほどを迎える。
・志望校1の試験が残念ながら失敗し希死観念が毎日沸々とするころで、どうにも筆が乗らず苦しい日々が続いた。
・先述する通りメロディも何回も没にし、かつ構成時も締め切りギリギリまでドロップにカットアップを用いるか渋っていた。
・その一番作曲人生で苦しみそこを打開するためにAbstracterが生まれたとも言えるし、苦しみの原因がそれであったとも言える。
・作曲は苦しみしかない。 だが苦しみの先には幸せが来るもので、作り終えた時にはありえない達成感や希望を感じたものである。
タイトル「Abstracter」について
・タイトルのAbstracterの意味は「抽象化」。
・正直なところを言うが名付けた時は意味を持っていなかった。
・なんかかっこよかったからだ。
・後から決めたことがあって、長くすると「P0cketというコンテンツとP0cketから見る近年のハードコアの抽象化」と言うことにしている。
これがAbstracterである。
5.これからの展望
・以上でP0cket-Abstracterの解説は終了、ここからこれからの自分の人生の話をする。
・一番関係ないじゃん。 詐欺かよ。
・まず、ありがたいことにこれからも何度かコンピレーションに参加できることになってます。 ありがとうごさいます。
・なのでまだ何曲か出ます。
・リミックスを二曲ぐらい作っています。
・本当はいろいろmidとかあるのでガツガツやりたいとこですが、個人制作もやりたいので交互に出すことになりそうです。
・あと、来年の1/14で成人を迎えます。
・ここまで生きてこれたのは日々私の音楽やTwitterを見てくれたり、聞いてくれる皆さんのおかげです、本当にありがとう。
・残念ながらその誕生日の前後がえげつないことになっているのでサンプルパックとか、EPとか、そんなものはないと思いますが、現在製作中のリミックスとか出せればいいなと思っています。
・あとほしい物リストを多分掲載するので、祝いたい方は是非お願いします、ほんとに
・2月〜3月の時間を使ってEPを制作予定です。 去年も言った気がする。
・まあいいか。
・一度店じまいをしようと思ったこのP0cketという商品はまだリリースされ続けそうです。 これからも末長くよろしくお願いします。
了
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