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インフラエンジニアが住宅性能にこだわった家を建てるならどうするか妄想してみた

最近注文住宅についての記事を読む機会が多く、僕も自分の欲望を書いてみたくなった。
なんせ、みんな機能要件ばかり。使いやすいだのオシャレだの便利だの、Web系のキラキラエンジニアかよ!非機能要件はどこに行ったんだよ!という謎の叫びが心の奥底からふつふつと湧いてきたのである。

非機能要件はメンテナンスのしやすさや、住宅性能などのことである。たとえば壊れやすいものやクレームになりやすい部品は使わずに安全に長持ちする住宅を目指す。
たとえば以下のような窓は注意が必要である。


シンプルな引き戸ではなく、前後に開いたりギミックがついているものは隙間なく開閉させるのが難しい。現代の高気密住宅ではわずかな隙間が残るだけでも風が通る音が気になってしまい、クレームの元となる。
そういうのを避けつつ、住宅性能を確保することをテーマに書いてみる。

外壁

https://www.lixil.co.jp/lineup/solar_roof_outerwall/dan/feature/

外壁は、僕の好みとしてはバリバリ金属感があるスパンサイディングのようなものが好きだが、リンクのようなセルフクリーニング機能がついたものを選びたい。15年保証など、昭和の数年おきに塗りたくってた時代では考えられない性能である。雨や光で勝手に綺麗になっていくのはもはや奇跡である。
ただし、壁については予算がない場合は思いっきりケチるポイントでもある。予算があれば太陽光発電を壁発電で検討する余地もあり、考えるポイントが高い。断熱材が壁と一体化になってるものとそうでなく内側に別途つけるタイプなど設計の幅も大きい。
ちなみに、金属系サイディングは少数派で世の中のマジョリティは窯業系である。
外観を思い切りケチって中身に予算を集中させるのも玄人みがある選択肢である。安いものの欠点はダサいことである。性能を補完するだけならやりようはある。

屋根

壁と同じく屋根も現代ではメンテナンスが驚くほどいらなくなってる。今どき屋根をペンキで塗り直す光景はめっきり見かけない。
僕が好きな住宅は長方体である。シンプルな形は構造的に強い。作りやすいのでコストも抑えられて合理的である。豪雪地帯出身なので、傾斜があって雪が落ちる住宅も嫌なのである。なので、いわゆる無落雪の形が好きなのである。
屋根の形をトリッキーにすると、換気棟を現場で加工する必要があったりと、職人の技術力で住宅の品質を左右することになりかねない上に欠陥があってもわかりにくいのでシンプルにすべし。

ちょっと脱線するが、雨樋の性能を極限まで高める場合はタニタハウジングウェアのユキノキという製品はおススメである。

このように雨どいにカバーついていて、葉っぱがたまらないし、雪も積もらずに落ちるようになっている。しかし、雨水だけはカバーがついてるにもかかわらず、表面張力を利用した特許技術によって雨どいの中を通る。
自然環境が厳しい立地でどうしても雨どいをつけたい場合はこれがおススメである。

基礎

こんな地味な文章を誰が好き好んで読むのか不安になってきたが、誰も気にしないところを拾っていきたいのが発端なので気にせず続けていく。
ワイヤーメッシュは鉄線径6mmで100mm角のものを使いたい。

拾い画のは150角にも見えるけど、僕はケチらずにいきたい。鉄とコンクリートの組み合わせが最強なのは令和でも同じで、課金して行くべきである。基礎は雨の日にやらないように張り付いて見張りたいくらいだし、保険をかけるなら防湿シートも使いたい。水分によりひび割れや諸々のリスクを回避するためである。基礎も後から手直しすることは大変困難なので、知り合いの基礎屋さんに発注したいくらいの気持ちである。

ちなみにアンカーボルトはM12の400でいいんじゃねーかと思う。昔450のボルトを納品したことがあるけど、現場の大工に文句を言われていた。ボルトは長ければ強度が高いわけではないし、99%使われない使い方をするのはどうかなぁと僕も思う。
ケミカルアンカーの話もしたいが、誰もついてこれないと思うので次に行く。

耐震・免振

まず前置きから。
どういう工法が地震に強いのかとかよく聞かれるが、材料や工法による差はない。木造住宅は弱そうな印象もあるが、実はそうでもない。震度7相当なら最近の住宅はみんな耐える。耐えられないなら欠陥を疑う。木造は素材が軽いので強いのである。(その代わり揺れるけど)
建築基準法で耐震性能は決められているので、どうやって建ててもだいたい強さは一緒なのである。安いハウスメーカーが必ずしも弱いということはない。
耐震性能をシンプルに高めるには、壁や柱を厚くすることである。太い柱や鉄筋を使えば確実に強くなる。だが、それをするとお金がすごくかかるだけでなく、部屋が狭くなってしまう。そうなると家を販売するにおいて不利なので、どこも過剰な性能で作ることはないのである。
現実には設計通りの性能が実装されてない場合もあるので、いろんな実力差は出るわけだけども、それはそれ。

で、免振はそもそも住宅を揺らさない技術のことである。地面が揺れても住宅を揺らさないのである。いっぱいパターンがあるが、ゴムを挟んで浮かすものはメジャーである。ゴムというと弱くて劣化が速そうであるが、交換不要でかなりの性能を発揮するらしい。実際に売ったことがないので詳しくはないが。
免振住宅だと、そもそも地震が起きても気づかないことになる。みんながTwitterで「ゆれ」とつぶやいてるときに、一生仲間はずれなのである。
しかし、メンテナンスフリーで長持ちするという本記事の目的のためには採用すべきである。真剣に見積もりしたことはないが、200万くらい予算を確保して検討すべきな感じだと思ってる。(段々調べる気もなくなっている)

断熱材

断熱材9種類を比較するという誠に都合のいい記事を見つけたのでリンクを貼る。

グラスウール、ロックウールはお勧めしない。一般的な素材でその辺のホームセンターにもおいてるくらいメジャーなものだが、リンク先の記載にあるように湿気に弱いという大きな欠点がある。
壁の間に敷き詰められた断熱材は、家を壊すまで隠れた状態になる。もし施工不良があって壁の間に水分がたまった場合、グラスウールはそれを吸い込んで縮んでいく。壁に断熱材の隙間ができるとそこから熱が逃げる。こうなると断熱材の意味をなさない。
絶対に私なら使わない。大手3社のあまり健康的ではない売り方を目の当たりにしてきたこともあって、高くても他の物を選びたい。

予算が許すなら、硬質ウレタンフォームなどの発泡プラスチック系を使うべきだ。隙間には吹き付けるタイプのウレタンを使えるし、誰が施工しても性能が確保しやすいという利点がある。素材の安心感は半端ない。
ただこの辺の性能を気にする人は比較的多い反面、断熱材にはこだわりがないハウスメーカーも多いので、注文するときは営業の知識をしっかり確認すべきだ。話が通じる人ときちんと打ち合わせをすべきだ。
熱が逃げにくいQ値の性能の高さを売りにするのは一条工務店である。ここで一定の知識を仕入れるのが学習の一歩目として手っ取り早いかもしれない。

窓はもっとも熱が逃げる場所なので、最大限に気をつけるべきポイントである。窓枠は樹脂やアルミ、複層ガラスは2層や3層になってるものを選ぶべきである。魔法瓶の水筒と同じで、層があると熱が逃げないのである。
もしローコスト住宅を買う場合には、すべての部屋が同じ性能であることを確認しよう。タマホームなんかは、リビング以外は単板ガラスの窓だったりする。一か所だけ弱い作りをやってしまうと、熱の逃げる場所が単板ガラスに集中して結露が起きる。恒常的に結露すればカビも生えるし腐ってしまうかもしれない。
そして、窓はシンプルなものを選ぶべきである。メーカーはYKK一択である。

キッチン

システムキッチンは売る側としては非常に儲かる。お風呂とキッチンは利幅も大きい。
なので、買う側はなるべくミニマムに買うべきである。収納部分などは大工さんに設計して特注した方が安くなる可能性すら高い。

メーカー各社を気合入れて紹介しようと思ったが疲れてきた。キッチンは適当に選べばいいんじゃねって気持ちにすらなってきた。
注文住宅の場合はショールームであちこち見学すべきだ。高さも身長に合わせて注文できる。毎日使うところだけに、使う人の感覚で選ぶべきだ。
個人的にはステンレス製のシンクが好きだ。人工大理石を選ぶ人もいて、確かに昔より質はあがっているが、割れる可能性がゼロではない。それと重たい。丈夫さではステンレスが最強である。

それとキッチン周りにはモイス素材も相性がいい。ホルムアルデヒドなどの有害物質対策になるし、湿気やにおいも吸収してくれる。
アレルギー対策のエコカラットと並んで、ポイント導入を検討したい製品である。

トイレ

トイレはTOTOとINAXがほぼ5割ずつシェアを持っていて、どちらも世界屈指の性能を持っている。水回りは汚れにくい方向に進化しており、それぞれセフィオンテクト・ハイパーキラミックという塗装技術で汚れないように加工されている。個人的にはトイレを焼く前に加工してるTOTOのが少しいいと思った。
さらに節水性能も高くなっているので、トイレもいいものを買った方がコスパがよい。
トイレを節水するとちゃんと流れないのでは?と思うのは杞憂だ。タンクの水を高いところから落とすことで勢いをつけたり、渦巻きのように流れを作ることで流しやすくしたり、下から引っ張る仕掛けを作ったりと、涙ぐましい努力の末の節水なのである。
ショールームに行って便器の中触って確かめてくるといい。

お風呂

これもTOTOがいい。高性能でたくさん特許を持っていてオシャレである。水が残らず流れるカラリ床を発明したときはすごいと思ったよ。
日本のモノ作りはすぐ他社がまねをするので、特許戦争なのである。そこで少し勝ち続けてるのが俺的にTOTOなのである。
湯船の保温効果も高く、性能は申し分ない。
コスパで考えるならタカラスタンダードを検討すべし。タカラは流通の過程で利益を載せにくく価格のギャップが起きにくく、ホーローの性能は一定の評価をすべきだろう。だけど、バスルームが鉄の箱なので、お風呂でスマホをする人は電波が悪くなるかも。鉄は電波を吸収しちゃうんで。

音の出る部屋の作り方

いわゆる趣味部屋であるが、ホームシアターなど音量をそこそこ出して楽しみたいものは住宅の中心に配置して、少しでも外に漏れにくいように工夫をする。スクリーンは白い壁を一面利用すればコストは圧縮できる。

僕のように家で楽器をしたい場合は、防音室の検討をするだろう。だが、防音室を作る予算があったら地下室を作る方が安いかもしれない。地下室なら相当騒いでも近所への迷惑になりにくい。ワインを並べて地下にバーを作るのもいいだろう。建売では地下室なんかつけないのでみんな検討しないのだが、注文住宅をするなら検討してほしい。窓のない部屋は物置とでも申告すれば税金が少し安くなるかもしれないし。(自治体のさじ加減)

オール電化のすすめ

私はオール電化住宅に住んでいる。実家もそうだ。はっきり言ってオール電化はコスパがいい。都心部では長時間の停電なんてほぼ発生しないし、リスク分散はせいぜいカセットコンロでも用意すれば足りる。
妻は料理にこだわるので相当真剣に考えていたが、IHキッチンにあっさり馴染んでいる。
電気とガスを一本化した方が安いのは明らかなので、コスパを優先するなら考慮すべきだ。

それが高じて太陽光発電システムを入れるかどうかという点もあり、今はコロナの半導体不足で供給が追い付いてないものの、屋根の面積がそれなりに取れるなら検討の余地はある。場合によっては壁でもいいけど。
ただし、浮いたお金はきちんと貯金してメンテナンス費用を確保していけるような計画性のある家庭に限るが。

まとめ

住宅に求める機能は一切考えずに、コスパや性能だけで長々と駄文を書いてしまった。機能なんかいらないんだよ!という気持ちが成仏できた気がする。それと僕は住宅が好きなだけの素人なので中身の正確性には一切責任をもてない。
でもマニアックすぎずに比較的誰でも読める内容になったのではなかろうか。知らんけど。
万が一評判が良かったら100倍マニアックな沼編も書くかもしれない。


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