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なぜSKYSEA Client ViewはCMとして正解だったのか

最近「マーケターとして生きろ」という本を読んで、CMの考え方が変わった。そして、なぜ藤原竜也がSKYSEA Client Viewと名乗るCMがあれだけ話題になるのか答えを知ることができた。

一応リンクを貼ると、これである。はっきり言って中身が薄い。製品の内容はほとんど伝わらない。まあ、ぶっちゃけそんなにむちゃくちゃすごい製品ではない。導入したから評判になるものでもない。

だが、新卒の説明会では人が殺到するほどの人気企業になってしまった。ひとえに藤原竜也効果である。

他にもIT企業のCMはたくさんある。いっぱいある。みんなが好きなSIerもテレビCMをやってる会社は結構ある。しかし、印象に残るものは皆無だ。それどころか、見なければ「ああ、これね」と思い出すこともできないのではないか。もしかしたら見ても「こんなのあったっけ?」みたいに印象に残らないものも数多くあるだろう。

たとえばこれ。

トップクラスの有名企業と比較したらフェアじゃないので、社員数的に似たような規模のIT企業と比較する。
このCMは企業の形をそのまま表していて、社員全員が主役ですごく真剣に顧客のために仕事をしているというようなことを表現してるのだと思うが、やはり中身は薄い。

しかし、抽象的で伝わらないのはSKYSEA Client Viewも同じだ。だけど、SKYSEA Client Viewだけが印象に残るのはなぜなのか。

企画は接待

「マーケターのように生きろ」には、企画は接待、あるいはエンターテインメントは接待ということが書いている。
つまり、顧客を満足させること、すなわち企画は「相手からスタートする」とある。

テレビCMといえばほとんどの視聴者にとってつまらないものである。それを面白く作らなければ見てもらえるはずがない。
であるのに、失敗するCMが後を絶たないのは「自分が伝えたいこと」をコンテンツにしてしまうからだ。
テレビCMは確かに自分が見てほしいものを、お金をかけて30秒の枠で表現するものである。だが、自分が言いたいことだけを言うような独りよがりなものを人は受け入れない。

その点、藤原竜也は立派である。製品の説明よりもCMのインパクトを優先した。普通なら製品を導入したらどんな体験があるのか、そういうことをメインに構成するだろう。しかし、藤原竜也が名前を尋ねられて、SKYSEA Client Viewと名乗るだけの謎を残す反面、シンプルでわかりやすいCMになっている。
どう考えても藤原竜也を無駄遣いしているようにしか見えない。しかし、「自分からスタート」する企画になると失敗する。自己主張を抑えてインパクトが勝つバランスだから成功したのだ。そのバランスこそが、SKYSEA Client Viewの成功の正体なのである。

まとめ

よく考えるとCMの明暗は大きい。マンションの世界だと野村のプラウドは圧倒的に成功している。マンションに興味がなくても野村と積水くらいはトップブランドとして認知されているはずだ。
しかし、同じくトップブランドの東京建物はどうだろうか。CM数も相当多い。

おそらく認知度は圧倒的に低いと思う。CMの出来栄えは素晴らしいしブリリアも東京建物も超一流である。歴史も実績も申し分ない。しかし、それが全く伝わっていない。

世の中には知名度と実力が比例しないものがたくさんある。しかし、それはマーケターの企画によってつくられた結果も影響してると思うと、世界は面白いなぁと思うのである。







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