一生いられる会社ってなんだろう

特に何かあったわけでも、重たいテーマがあるわけでもないんだけど急に書きたくなった。

なぜ僕は今までの会社にいられなかったのか。
何があれば長くいられるのか。

という話を書いてみる。最初の商社だけはちょっと毛色が違うのでIT業界に来てからの話を書く。散々本にも書いてきたネタも含むので、リラックスして読んでください。

手取り14万でテスターをした会社

この会社は確かに給料は安かった。それなりにつらいこともあったが、営業の仕事をしてた頃から比べれば天国だった。命の危険がない仕事。だからこそ無茶もしたかもしれない。
社長から直電で怒られたこともあるし、取締役役員から本社に呼ばれて説教されたこともある。本部長とケンカのようなこともあった。
今思うと私にも悪いところがあった――などとは1ナノミリも思わない。
私は誠実な仕事をした。それだけだ。

安い給料も独身ならなんてことはなかった。友達と遊びに行っても、同じお金の使い方ができない。なんてことはない。
でも、結婚してからは別だ。妻に我慢を強いる。病院代を払えない。家賃に手を付ける。カードで支払いを先延ばしにする。親に借金する。こんな生活はダメだと思った。到底自立した生活ではない。

とはいえ、辞めなくても昇格試験に受かれば収入が100万上がるらしいとのことだったから、残る道はあった。
だが私は落ちた。でも、それで良かった。役職がなければ家族を不幸にする会社なら、私は働けない。自分だけが良ければいいのだろうか。そんなはずあるものか。一般職でも幸せでなければならない。

辞めて仕事が見つからなければ、あるいは見つかっても給料が上がらなければ切腹して死ぬしかない。それは嘘だが、家族には絶対に給料が上がるからと大見得を切った。それを短期間で決めねばならなかった。退路はない。失敗もできない。

私をインフラエンジニアにしてくれた会社

何もスキルがない上に30歳。当然のように転職活動では苦戦した。
しかし、一社だけすごく私を評価してくれる会社があった。私を二年後のリーダーにしたいという。面接でそんなことを言うのである。昇格試験を落とされたばかりの私は、扱いの違いに戸惑った。インフラの経験がなくても、大丈夫だという。
内定時の金額は420万である。オペレーター経験しかなかった私にとっては破格の条件だった。この金額は本にも書いていない。だからツイートして拡散しないようにお願いしたい。
世の中のエンジニアの参考になるかもしれないので残しておくのだ。大企業なら何も苦労せずに手に入れられる金額だし、最下層の下請けなら一生手に入らないかもしれない金額でもある。
本当に初年度から420万払ってくれたのも誠実さがある。これは会社によって違っていて、業績によるとか、評価によるなどで、内定金額通りに支払ってくれない会社もたくさんある。

この会社は本当に人を大事にする会社で、抜群に居心地がよかった。エンジニアのためにあるような会社だ。技術力のある先輩ばかりがいて、誰もが頼りになる。長くいるつもりだったので、いろんな人と交流をもって仲良くした。ここで活躍することも可能だったし、そういう人生の選択もあり得たと思う。

だが私は辞めた。長い間評価されなかったからだ。本にも書いたがボーナスは5期連続で下がった。目標を達成しても結果を出しても無駄である。前職より給料が上がったとはいえ、余裕はどこにもない。
家族への負担も大きかった。常駐先が頻繁に変わる。保育園の送迎もできる場合とできない場合がある。先の予定も立てられない。夏休みにどうなってるかもわからない。部署内で二番目の若手だから、そういう現場に入りやすいのだ。
もうダメだった。家族を支えることができなかった。
悩んでる間にも、中途で私よりも技術と経験がある先輩が毎月入ってくる。

プライムで勤務先が変わらない会社

現職のことを詳しく書くのも初めてである。だから内容を拡散せずにこっそり読んでほしい。
エージェントに転職にあたって条件をつけた。
1.客先常駐ではないこと
2.家から1時間以内に通えること
3.残業が少なく、保育園の送り迎えができること

もう、家族のことだけが優先である。内容なんかどうでもいい。
エージェントには紹介できる3大ホワイト企業の一角を紹介してもらった。その企業に落ちたら、条件を少し妥協してくださいと言われた。が、妥協するわけにいかない。それでは何のために辞めるのかわからない。

私が独身なら、稼げることを優先して選んだと思う。気力も充実していたし、インフラエンジニアとして歯を食いしばって少しは実力を身につけていたつもりだった。

現職は入社してからも前評判通り、いい会社だった。人を大事にはしないが、環境はいい。
たとえば、私は家族のことを理由に残業をしないし、AzureやDockerが未経験で技術的にも貢献できなかった。全くの役立たずだった。育てる会社ではないので、私が立ち上がるのも遅れに遅れた。

そういうわけだから、試用期間が終わっても社員にしてあげられるかわからないと人事が言っている、と上司が言うのだ。どうだこの扱い。君たちは言われたことがあるか。あったら仲間だ。それでも社員になれるのだからホワイトである。しかし、初年度は内定金額には遠く及ばない給料だった。

評価が低くても気にしてられない。家族が限界だったのだ。救急車で運ばれて、家庭内はガタガタだった。保育園の送り迎えも全部私がした。ずっと。
定時が7時間と、非常に短いものだから、そこに最大限甘えた。入社と同時に有給が付与される優良企業だったのだが、それも使いきった。
裁量労働制なので、2時間くらいでも出社すれば出勤扱いになるので、休みが足りなければそうしなさいと言われた。

その状況で仕事で活躍できるようになるためには、効率よく勉強することが必要不可欠だった。そこでオンライン学習のコミュニティ活動を始めた。会社で誰にも聞けないことを、そこで解決した。

今ではクラウド基盤の面白さはひしひしと感じるし、プライベートで何か作ったりウェビナーを受けたり、オンプレエンジニアの脱却は済ませたとは思う。

今の会社は長くいたいと思う。でも、今までだってそう思って働いていた。が、前職も前前職も約5年で辞めた。5年後はどうなってるかわからないが、私も転職回数が多い方なのでもういい。長くいたい。

では何があったときに辞めるのか

自己分析すれば、生活ができないとき、会社から評価されないときに辞めている。
まあ、確かに私にも生活があるので長期間低い評価をもらっていると感じたら辞めるかもしれない。今の私は、BマイナスとB評価を交互にもらっているのだが、Bマイナスが続くならちょっと考えると思う。

幸いにも今のチームはそんなに悪いところではない。それなりに仕事をさせてもらえるし、面白い部分に関わっているというありがたさもある。
社内勉強会もさせてもらってるし、全社横断活動もしている。ちょっと充実している。上司にも恵まれて、執筆活動もオープンにできる。
しかもこのご時世なので、ずーっと在宅勤務である。子育てを考えると一番ありがたい形である。
辞める要素が何もない。(だからこそ、低評価が続いたらショックかもしれないが)

では、誘われたらどうするか

最近は名前が売れてきたので、稀にリファラルで「うちの会社来ませんか」と誘われることがある。条件がいい会社だと夢のような話だとも思う。

しかし、苦しいときに甘えさせてもらったわけだから、私も自社にそれなりのことをやり抜いておかないと気が済まないのである。
それに、生活がどうしようもなく辞めた今までの経緯とは違う。必要に迫られないから、条件の良さだけではなかなか移る気にもなれないのだ。
現職でどうしても思うように活躍できなかったら考えると思うが、やっぱり私の感覚だと5年はいたい。

しかし、誘われたらそのことは覚えてるし、将来的にどんな縁があるかわからないからありがたいとは思う。

おまけ。円満退社するには

私は退職時にもめたことがない。
どうしようもない事情だと相手も知ってるからだ。
たとえば「稼げる現場に入れてください」とか「保育園の送り迎えあるので、それが可能な案件に入れてください」と相談をしている。が、そんなのは無茶なのである。しかし、無茶を通さなければ家庭が成り立たない。その辺の健康なところと違うのである。

相談したけどやっぱり駄目だった、どうしようもなかった。
だから転職だったのだ。だから引き留められないのだ。

強力な理由を説明できれば、自然に進む。きちんと話をするのは私の誠意だ。内定が決まれば、もう誰も何も言わない。

先のこと

今ぼんやりと考えてることを書く。
在宅勤務が続くなら、今の仕事はぜひ続けたい。

というのは、将来は家で仕事をしたいと思っていたのだ。執筆活動もその一つだが、やっぱり家族のことを考えると、家にいる時間が長いほどありがたいのだ。

もう一つは独立の道である。会社に在籍するよりもメリットが大きくなったら(そんなことはないかもしれないが)、いずれ独立するかもしれない。

もし別の会社に行くとしたら。どうせ誰も読まないので書くと、マイクロソフトなら挑戦したいと思うことがある。この業界にいれば憧れる会社だし、私が望むものの多くを満たせる会社でもある。

しかし、基本的に所属に関係なく、インプットやアウトプットを自分のペースで続けていきたい。プライベートの活動は常に充実していたい。そして10年後もそれが幸せだと感じるエンジニアでいたい。

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