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ぼっち在宅介護 お風呂はもういいと言ったのは父の巻

昨日に続き、父のお風呂に入らない話をもう少し書きたいと思います。

父は、もともと普通にお風呂好きでした。
畑仕事を終えると、汚れた作業着を脱ぎ、真っ先に風呂へ行く人でした。

高齢になり、風呂に入りたがらない時もたまにありまして、母は大層嫌がっていましたが、父自身は気持ち悪くなれば入っていたし…
「ちょっとくらい入らなくても死なないよ」とほっときました。

介護認定を申請した時は、
母は認知症でスネをストーブで火傷していて両足に水膨れがあることがわかり…
父は転倒して骨折していたのに隠して引きこもっていたりして、事情聴取で事態が発覚!
慌てて役所へ走って行った感じです。

そんな状況下で介護がはじまりましたので、
一番最初に今と同じような寝たきり介護を受けることになりました。

身体は足が良くなるまで清拭(せいしき)で、トイレも歩けるまでテープ式オムツで。

これらの介護に関して…
父としては、
足は痛いし、早く治さないとと思いも強く、
嫌々ではありましたけど、デイサービスは利用したくないということで、渋々受け入れておりました。

が、まだまだ完治を目指せるくらいに頭もしっかりしていましたし、筋力もあり、寝返りに寝起きもがんばれていたものですから、、、
焦ってしまいまして…
たびたびこっそり起き出しては転倒を繰り返してしまい、、、床に倒れていたり、廊下にいたり…隠れ骨折が発覚したり…

その当時、母もだんだん壊れていって荒れてましたから、父も正気の沙汰ではなかったんでしょうけど…

結果、片足が治らないまま、無理がたたり片側の股関節が歪んでしまいました。


そうなると、お風呂はドクターストップ。
水場での転倒事故をさけることになり、
看護師さんと私とで車椅子でお風呂まで行き、シャワー浴という方法になりました。
体の大きな父でしたので、可愛らしい看護師さんではかなり負担のある仕事で、看護師さんを選ぶサービス利用者になってしまいました。

父に筋力があるうちはまだ浴室で椅子にすわれていたんですが、寝たきりで腰やお尻に褥瘡が出来はじめたため、褥瘡予防にエアーマットレスを導入していただきましたら、今度は筋力が減ってきてしまい…
そのあたりから、父がシャワー中に椅子にすわってられなくなってしまいました。
看護師長さんから、転倒事故防止のためシャワー入浴の中止の相談を受けました。
「しばらくおやすみしませんか?」と。


そのまま父に話すと
「風呂はもういい」といいました。
そっから一度もシャワー浴やお風呂は求めませんでした。

正直ずっと不安やったんやと思います。

自分より小さな看護師さんが必死に支えになりながら身体を洗ってくれてることが。
自分の体のサイズが看護師さんを危険にさらしていることが。

自分がしっかり座りもできないのに、若い人たちにこんなにしてもらって、それでも頑張りきれない…

自分にできることは、
「シャワーを諦めること」
それ一択だったんだと思います。


父は、デイサービスという考えだけは最初から全くありませんでした。
みんなで集うことが苦手だし、人に迷惑をかけるのも苦手。だから、最初から行かないときめていました。


訪問入浴とかも考えたりしましたが、当時のケアマネさんは、すすめてくれませんでした。
デイサービスが嫌な父が、何人もの人に囲まれて入浴するなど、まず受け入れ難いと判断してくださってたんだと思います。


そして、今、清拭のみで3年やってきて、肌が整うというこの事実…本当に介護も人体も面白いです。

最初の最初に寝たきりと清拭を体験できていたから、受け入れられたのかもしれませんが。

周りも自分も危険にさらすことなく、痒みや臭いがとれていて、安心安全に清潔を保てていることを父自身が実感しているんだと思われます。


昔、父に怒られたりした時、

「テメェのことはテメェで考えろ」
「やらんやつは口出すな」

とよく言ってました。
(バリバリ関西人なのに、怒る時の決めセリフは江戸っ子風)


だから、介護がはじまり、寝たきり状態の最初の最初、ふてぶてしい父に言ってやりました。

「テメェの介護はテメェでやってな。私は手伝うことはできるけど何でもかんでもはできんで。半分は自分でやる気でおってもらわんと。オヤジの身体は私1人では動かせん。文句いう前にやることやってな」

蛙の子は蛙ですね。

なもんで、早い段階から体位変換などは、声をかけて強制的に協力を仰いできました。
このスパルタのせいか、協力動作を今でもやってくれています。



お風呂に入りたくないのは、、、

不安要素のあるところに行きたくない、怖い。
転んだり、服を着間違えたり、失敗したくない。怒られたり、笑われたくない。周りに迷惑をかけたくない…そんなんとかかも…

実のところは、
ただ、何ごともない場所で安全に過ごしたいだけなんかもしれません。


私でも、水気のあるところで、自分が自分を支えきれない体力なら、まず怖い。
しかも、全体重をかける人が自分より小柄な人となると、かなりゾッとします。

なら、お風呂に入らないでもいい気がします。
無理したくないです。


「お風呂はもういい」と言ったのは父
のお話でした。

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