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ぼっち在宅介護の褥瘡対策マットレスの選択

『褥瘡』ジョクソウ
聞いたことない言葉でした。床ズレのことです。要介護4だった父に褥瘡ができ、マットレスを交換した時の話です。

両親が介護申請をしてしばらくして、認知症の母は転倒し入院しました。
一人で入浴をした後、脳梗塞を起こし転倒したからです。脳梗塞自体は軽微だったので意識もしっかりしていましたが、頭を打っているかわからないので、そのまま入院をしてもらうことにしました。

ケアマネさんと相談し、母の入院中に2階にある母の部屋を1階に移すことにして、介護ベッドをレンタルにすることにしました。
ベッド本体にはモーターがついていまして、そのつき方にも種類がありました。

母のベッドは、2モーター
①ベッドの面の高さが上下
②上半身が起き上がる

母は、認知症はあるものの、脳血管性認知症と言って、小さな脳梗塞で傷ついた脳の部分が死んでしまって、そこが司るところが苦手になるというもので。いわゆるまだら認知症だった。コミュニケーション能力は高く、体は膝が痛いとかその程度だったので、当面は、2モーターで乗り切れるだろうという判断になった。


父のベッドは、3モーター
①ベッドの面の高さが上下
②上半身が起き上がる
③下半身を上げ下げできる

父の場合は、気難しい性格と自分でトイレをしたいこだわりから転倒を繰り返していた経緯を踏まえて、ケアマネさんがベッド自体の途中交換は難しいと判断、3モーターを当初から導入してもらった。

マットレスは、、、当初、どちらも一般的だったと思う。


母が退院してくると、もうほんとに何にもできなくなって帰ってきて焦った。
上げ膳据え膳、車椅子生活だったせいで、かかり切りになってしまった。


それを見ていた父は、さらに、自分だけでも手をかからないようにと、一人トイレをチャレンジを続け、また転倒して骨折…しばし、寝たきりになるのだけれど、そこで『褥瘡』という言葉を知った。


ケアマネさんに
『褥瘡』ってわかります?」と聞かれて

「じょ、ジョクソウ?知りません、わかりません」

「ま、床ずれなんですけど」

というやりとりから、『褥瘡』の説明がはじまった。
寝たきりになると、背中がずっとベッドにつくので、一番当たるところに傷ができて、慢性化するとその傷が大きくなると言う話で。
ケアマネさんの経験からは、体調が悪くなっていくと、熟れた桃のキズのように膿んで、そこから周りの部分も傷んでいくという話で。 
ホラーじゃん的な。。。
あまりに目の前になかった話すぎて、桃がぐじょってなった感じしか想像できなかった。

「その予防のために、マットレスを変えましょう」と言われた。

予備知識もないし、選択余地がないし、早くしたほうがいいと言われるしで、勧められるままエアーマットレスに変更した。

エアーマットレスは空気の浮力で体圧を分散し、同じ部位に圧力がかかるのを防ぐそうで。
寝返りのサポートや座位の保持など、いろいろ機能はあります。
が、基本、自動運転。エアーを送り続けてもらって、お下ケアの時だけ、「クイックハード」というエアーを一定にかためる状態にして使っています。

ただ、デメリットもあって、体圧が分散されるために、自身での寝起きに対して腹筋とかが使いづらくなって、自分で起き上がることが下手になってくると言う。あまりに初期に導入すると完全寝たきりになることも考えられました。


けど、がむしゃらに自身で体を起こし立とうとしていたオヤジの腰にはかなりデカい褥瘡ができてしまっていて、焦る気持ちにその痛みもあるため、どんどん苛立ちがピークになりました。
もともと高血圧ではあったけど、当時は200越えはザラだったから、脳梗塞の心配もリスクを考えると、ケアマネさんも苦渋の選択をしてくれたんだと思います。


けど、私にしてみれば、母は母でさらに転倒しててんやわんやだったし、夜な夜な父から「おーい、おーい」とトイレに起こされてて、常時睡眠不足の私は、3モーターも2モーターもよくわかってなかったから、「エアでもなんでもマシになるなら入れてください!」ってお願いする感じだったと思います。

結果、父の褥瘡はみるみる回復し、きれいな肌に戻ることができました。
その反面、エアーマットの体圧分散のせいで、体に力が入らないため、筋力がぐっと落ちてしまいました。

自分の筋力だけでは、上半身を起こしづらくなってきたため、ストレスがマックスに。
主治医や看護師さんに相談すると、「普通マットレスにもどしてみる?」という話になりまして…


普通マットレス➕父の状態
🟰褥瘡またできるかも

その覚悟の上で、父なりのQOL(自分で自分の上半身を起こす、寝返りを打つこと)を優先してみる決断をしなければいけなくなりました。

その後、しばらくは、普通マットレスを使って褥瘡をつくりながら、ベッドの上で過ごしていましたが、せん妄だとか、体調不良で、大きく深い濁そうができ、しかも真っ黒に皮膚が壊死した状態になり、再度エアーマットレスに変更しました。

これは、「治らないかも…」「切開しないとあかんかも」と言うひどい褥瘡でしたが、誰もが驚く回復を見せて、治ってしまいました。もちろん、食事を口から入れていた事や、食事を諦めなかったことなどの複数の要因もあってです。主治医も看護師さんも皆驚いていました。

ただ、もちろん、一気に筋肉が落ち、さらに自力で立つ座るはできなくなりましたけど。
父は、それ以降、エアーマットレスで過ごしています。


自力で歩きたい、トイレに行きたい、筋肉を落としたくない…気持ち

褥瘡ができない、痛くない。立てない。でも、怪我しない。安心して、食べたり飲んだりを楽しめる…気持ち


エアーマットレスは、どちらかを選択することにはなってしまいます。
そこのリスクを考えて、タイミングを見て導入できたら、結構、介護を手伝う側としては強い味方です。


エアーマットレス

〈メリット〉
使えば褥瘡はできにくい。
できてしまっても、体調が良ければ治ることもある。

〈デメリット〉
マットレスがふわふわして力が入りにくいので、寝返りが打てない。筋力も低下しがち。



普通マットレス

〈メリット〉
自分で自分を支えやすい。筋肉を使える。
筋力があれば寝返りが打てる。

〈デメリット〉
体圧がかかるため、褥瘡ができやすい。
筋力がなくなってくると、体が痛い。


エアーマットレスには、メリットデメリットがあります。

終末期にはメリットが強くなるが、
まだ自力で寝起きができる場合は向かない。
使用するタイミングや目的を見極めなければなりません。


が、わたしは助かりました。
そして、父がまだ食べること、リハビリ、その他をやめないでいられているに、ホッとしております。

自由に歩き回りたい方には向かないかもですが、1アイデアとして、参考になればと思います。



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