トリプルファイヤー愛とKing & Prince愛が共存する精神世界はこちらです

いい加減みんなトリプルファイヤーに興味を持ってくれ

私はツイ…Xで、フォロワーのキンプリオタクの皆さんに散々主張してきた。
トリプルファイヤー最高だぞ?と。

現時点で、目に見えるリアクションはない。
トリファイ勢、サイレントマジョリティーすぎ。
唯一「イベントでトリプルファイヤー見て気になりました」と言うマシュを下さった姐さんが居たのみだ。
一応、今フォロワー850人いるのに…

追記:つい今し方、「トリプルファイヤー好きです」という姐さんが現れてぶち上がった。支持率が2/850に跳ね上がった。

なんでだよ。
なんでなんだよ。
トリプルファイヤー、めちゃくちゃいいじゃん。かっこいいじゃん。文学じゃん。
ボーカルの吉田靖直氏、「ブラック校則」でめっちゃいい役(森先生)やってたじゃん。

いい加減トサカにきたので、改めてnoteでトリプルファイヤーの魅力を語っていく。
なお当方音楽理論にはからっきしなので、予め「楽器隊めっちゃ上手くて、音数少なくてでも凝った構成になっててかっこいいよ」とだけ言っておく。
今回は詞メインの話をしていく。

トリプルファイヤーとの遭遇

トリプルファイヤーを初めて知ったのは、「CONNECT歌舞伎町」という、歌舞伎町の複数のライブハウスを使ったフェスのサイトだった。
そのフェスの出演者リストの中に、トリプルファイヤーの紹介文が載っていた。

吉田 靖直(vocal),鳥居 真道(guitar),山本 慶幸(bass),大垣 翔(drums)
2006年結成、2010年に現在の編成となる。
「高田馬場のJOY DIVISION」「だらしない54-71」などと呼ぶ人もいた。
ソリッドなビートに等身大の歌詞をのせていてかっこいい。人気がある。
メンバーはみな性格が良く、友達が多い。

すごい。後半2行多分嘘しか書いていない。
ちなみにアー写がこれだった。

絶対おもろいやつじゃん。

ちなみにちなみにだが、このアー写を探していたら、なんと吉田氏と尾崎世界観御大との対談記事を発見した。

ほら!!!!!
ほら!!!!!!!!!!
尾崎世界観が認めた男やぞ?!!!!!!
海人担よ、刮目せよ!!!!!!!!!!!!!

「スキルアップ」 ーフリ落ち完璧の代表作

興奮して話が脱線したが、この紹介文に心を奪われYoutubeで検索し、見つけたのが「スキルアップ」だった。

衝撃だった。イントロでわかる無駄に高い演奏力。そして歌い出し。
なんて歌声だ。唐突すぎる。うん、なんか、唐突としか言いようがない。他の形容詞だとちょっとネガティブな印象が出てしまう。しかしこの曲には間違いなく、この歌声だと思わされた。
こんなに歌声歌声言ってるんだから、これ読んでるトリファイ知らない勢は絶対YouTube見てね?

詞の内容としては、

ピーって笛が鳴ったんで 
一番大きいボタンを押した
(中略)  
壁の穴に棒を突き刺す 
棒を突き刺す 棒を突き刺す 棒を突き刺す
スキルアップ

のように、意味不明な作業描写が続いた後、「スキルアップ!」と叫ぶ、でワンパッケージだ。
そして最終的にこう締めくくられる。


以前はこうして棒を突き刺したり風船を膨らませたりする毎日に
なんの意味があるのかなんて考えたこともあったけど
指導力のある上司や充実した設備のお陰で確実にスキルも付き
ここまで大きな現場を任されるようになりました
ありがとうございます ありがとうございます
ありがとうございます ありがとうございます

多分これ、社畜の歌だ。そう思った。
もっとマイルドにいうと、非合理的な業務に従事し、おかしいと思いつつもそこに適応していってしまう労働者の歌だ。
そう、プロレタリア文学している。
ずっとずっと意味不明な描写が続いて、まるでコミックソングの様相を呈したところで一気にオチまで持っていき、しかも社会風刺をしている。
この人たち、只者ではない…

即AmazonちゃんでCDを購入し、1週間後に開催された、吉田氏が出演する大喜利イベントを観覧した(なぜ)。

注)なお主催はスラッシュパイル。だが情の山ちゃんのマネージャー“高山さん”こと片山勝三氏が代表を務める興行プロデュース会社だった。
その約一ヶ月後だったか、初めてライブに行き、観客含めた会場の絶妙な温度感(21℃くらい)に魅了され、足繁くライブに通うこととなる。

「パチンコがやめられない」 ー天才の目の解像度

「スキルアップ」は2ndアルバム「スキルアップ」に収録されている。
そして次は1stアルバム「エキサイティングフラッシュ」から、3曲目「パチンコがやめられない」。
内容はまんま、パチンコがやめられない話だ。
なお当時の音楽性は今と結構違っていて、パンク寄りと言うのか。激しめだ。
楽器隊の上手さと、ボーカル吉田氏の独特の歌唱は変わらない。

この曲の詞の素晴らしさは、風景描写の角度と、解像度の高さである。
冒頭Aメロの詞にそれが表れている。
シチュエーションとしては、朝パチンコ屋に並んでいる側を通行人が通り過ぎていく。
これを凡人が書くと次のようになるだろうか。

  “朝からオジサンオバサンに混じって パチンコ屋の列に並ぶ
  側を通り過ぎる通行人の目が痛い 俺はどうしてこうなったのか”

天才・吉田靖直が書くとこうだ。

  “あー今、健全な高校生が自転車に乗ってこっちを見ている
  目を合わせたら 運気が逃げる
  無言で 小汚いおっさん、おばはんの列に加わる俺
  その瞳には 小学生の頃人気者だった面影はもうない”

パチ屋の列に並んだことのない私でもその場の空気感や匂いまで感じるような、とんでもない解像度。
そして、“目を合わせたら運気が逃げる”。言いがかりもいいところだ。
同じ境遇の者を平気で小汚いおっさんおばはんとこき下ろす。
(おっさん、おばはんという呼び方も良い)
もはや朝からパチ屋に並ぶことへの後ろめたさはない。
いや、あるんだけどそれを攻撃性にすり替えている。

一方で、変わってしまった自分への客観的な視点はある。
外部への冷めた攻撃性と、同じくらいの温度感での自己批判。
この対比が4行に込められている。

そして終盤。

  “俺の若き日々と俺の野心が パチンコ屋の爆音に掻き消され
  弛緩した思考の中になり続ける確定音”

もう私小説だ。パチ屋で無為に日々を過ごしている、と言う情景をここまで叙情的に表現する必要があるのか。
いや、必要性などはどうでも良かった。
ちなみに曲に乗せると、前1行はラップかのように早口の叫び、
後1行は対照的に噛み締めるように、間を取って歌う。
このパチンコ屋の喧騒と、「弛緩した思考」の対比を反映したような歌いぶりも好きだ。

この一曲に、吉田靖直の文学性が結集されている。
そして、日常の一瞬の感情を穴が空くほど見つめ(そうしていなかったとしたらますます天才としか言いようがない)、詞に焼き付ける描写力。
完全に吉田靖直の才能に魅了された瞬間だった。


一旦ここで終わるが、まだ紹介したい曲はいくらでもある。
いらんと言われても私は書く。
絶対にだ。