「国境」は「こっきょう」それとも

先々週、雪国の「機関車」について書きました。
「雪国」についてもう一つ。

「国境」のよみは「こっきょう」なのか「くにざかい」なのか。
これまで色々と論じられています。

中村明の『語感辞典』をみて、ある程度すっきりしました。

「くにざかい:国境」について次のように記載されています。
「・・・「こっきょう」より直線的なイメージはなく、境界線の内側まで含むとしてとらえて・・・」

「こっきょう:国境」は「・・・「くにざかい」より厳密な感じがあり的なイメージでとらえやすい・・・」としています。

 清水トンネルは一直線のトンネルではありません。ループがあります。行きつ戻りつしながら進むのですから、境目を超えたり戻ったり、というような感じではないでしょうか。

「くにざかい」のほうが実態にあっているように私は思います。

 旧国名を使うことはあります。出身地を尋ねるのに、「お国はどちらですか」という聞き方、以前はよくありました。お国自慢という言葉はまだ廃語ーいわゆる死語ーにはなっていないと思います。
 しかし、日本の国内で「こっきょう」というのはなにかしっくりしないものがあります。

 両国橋は武蔵の国と下総の国に掛かる橋。
  こっきょう に かかる橋 
  くにざかい に かかる橋

作者の意図はどちらであったのか知りたい気もしますが。わからないのがいいですね。
「国境」という一つの言葉から、人それぞれ、思いや考えを巡らすことができるのですから。

蛇足です。東海林太郎のヒット曲「国境の町」
題名は「こっきょうの町」ですが、歌の中では「くにざかい」。

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