ル ビ

 いま逢坂冬馬の『同志少女よ、敵を撃て』を読み始めています。タイトルの「敵」は「てき」です。

 最初の方に主人公のセリフで次の記載があります。「敵を皆殺しにして、敵を討つ!」最初の「敵」は「てき」ですが、次の「敵」には「かたき」のルビが振ってあります。最初の敵は見ず知らずの相手、次の敵は見ず知らずの敵ではなく、主人公が対峙しなければならない相手のことを指しています。誰なのかがはっきりしているのがわかります。(自分勝手な解釈なのかもしれませんが)

 「敵に塩を送る」の「敵」に「とも」というルビが振ってあったのを何かで見た記憶があります。同じ漢字でも、作品や場面・状況によって、作者の意図などがルビをふることによって表現できるのは面白いことだと思います。

 この「ルビ」をいま少し使われるようになってもいいのではないのかと思います。

 午前午後の「午」の読みに「ひる」があります(常用漢字表にはありません)。ひるの前だから「午前」、ひるのあとだから「午後」になるわけです。

「午」に「ひる」のルビを振って使われてもいいような気がします。「午前・午後」の漢字のことがよく理解できるのではないでしょうか。

(日本語を習得したい外国の人にとって、一つの漢字に多数の読みがあることは習得を困難にしている大きな要因の一つで、教えることに苦労してはいるのですが)


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