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ワンピースから考える採用人事の“スキル”の話

こんにちは。
すんごい AI 開発力を有しているスタートアップで人事責任者をしています、Taka です。

齢30歳でまさか未だに週刊少年ジャンプを読んでいるなんて、10代の頃の自分には想像もできなかったでしょう。あの頃と違うのは「画に興味はなく内容以外は不要」と、漫画を全否定するような思考の持ち主だと気づいたことでしょうか…(極論ですが内容を把握したいだけなので、誰かが今週の〇〇とテキストでサマってくれたものでも構わないのです)とりあえず毎週月曜日が楽しみな大人です。

そんなことはどうでもいいんですが、つい最近の話。
趣味でキャリア相談に乗っていた大学生から発された言葉。
「私、人事(≒採用担当)がやりたいんです!」

そうかそうか。やるといいよ、頑張れ。
「人事に必要なスキルってなんですか?凄い人事ってどんな人事ですか?」

人事…というか採用をやりたい学生さんって、割と多い。学生に限らず第二新卒にも多い。自分の就職活動で関わる機会も多く、仕事のイメージがしやすいのだろう(まあ、あくまで見えてる部分での話なので、ギャップも生まれやすいのが実態だけど)。

「じゃあまず、採用ってどんなことやるんだろうねー。」
こんなことを聞いてみると、多分「学校とかに説明会行ったり、学生や中途の方の面接したり、あとは入社してからもフォローしたり…」といった回答が来ることでしょう。

別に間違ってはない。間違ってないのですが…まずは「何をするか」ではなく、主語から定めていきましょう。主語を定める。それは=採用における「仕事の相手」は誰か?を設定すること。「誰に」があって「何をするか」です。

それで言うと、①候補者 ②社内の関係者 ③エージェントや求人広告の営業担当などの社外の人あたりですかね。今回はわかりやすく① と ②を相手にする際にどんなスキルが必要なのか?を、本日のゲストへのインタビュー形式で一緒に整理してみたいと思います。

それではお入りください!本日のゲストはこの方っっ!!

引用:ONE PIECE / 尾田栄一郎  ー集英社

"海賊王の右腕" "冥王"シルバーズ・レイリーさんです!!
異名の厨二病感でバランスをとっていますが、イケてるお爺様ですね…!!

それでは早速、その伝説的な経験を基にインタビューに応えて頂きましょう。


ー 学生さんが採用担当を目指しているそうです。どんな力(スキル)がいるのでしょうか…??

そうだな…まずは君たちに「覇気」を教えるとしよう。
覇気とは全ての人間に存在する力…“気配” ”気合" "威圧"…。

相手の気配をより強く感じ、時には少し先の未来まで視ることもできる「見聞色の覇気」

戦闘では攻撃にも防御にも用いることができ、“どうにかする”ための基本となる「武装色の覇気」

鍛えることはできないが…この世で大きく名をあげるような人物が秘めていることが多い「覇王色の覇気」

これらの「覇気」を修得し、鍛えることを強く勧める!それが答えだ。


ー  えー…すみません。海賊のキャリアがなかったり、新世界出身者が少ないのでもう少し、違った説明をお願いできますでしょうか?

ふむ…では少し表現を変えてみよう。

まずは「見聞色」とは、察する、そして見立てる能力のことだ。ざっくりと言うなら精度高く「かもしれない」を掴むこと。

察するとは相手が本当に言いたいこと、相手が隠している…あるいは黙っていること、それらを振る舞いや所作・言葉の端々から感じ取ることで「かもしれない」をつくることを云う。

よく「ヤバイ匂いがする」と言うセリフがあるだろう。あの「匂い」は、感じ取っている何かで、まさに何かを察したと言うことだ。

主語が①候補者の場合で考えてみよう。面接という場には、残念ながら本音と建前が存在する。全ての情報をありのまま伝えられることはない、人によては口下手故に伝えきれないこともある…「嘘」がまじることすらもあるだろう。

そういった状況で、候補者の実態を捉えようとする。それが察するということだ。これは①候補者だけでなく、②の社内のメンバー相手にも重要になってくる。「人事」という役割は複雑でな。社内のメンバーですら「本音」を見せてくるとは限らない。そういったメンバーの真意をどれだけ察せるか…。この精度を高めることは、特にネガティブな情報を察すること、これは非常に重要なスキルとなる。

もちろん、100%の精度で察することなど、不可能に近い。それはもはやエスパー、そういう能力者の類だ。だから最初は「なんとなく」でもいい。ネガティブな情報であれば、なおさら、気のせいで終わってもいい。要は察するためのアンテナを、常に張っておくことが大事なんだ。

引用:ONE PIECE / 尾田栄一郎  ー集英社

さて、併せて必要なのが「見立てる」こと。見立てるとは、問題の根本に(解くべき問題か否か含め)たどり着くために、物事を構造的に捉え、分析することから「かもしれない」を掴むこと。「察する」が感覚に近いものだとすると、こちらは思考の話だ。

①候補者が「年間目標に対し120%達成という成果を残した。コミットメントが強みです!」という話をしたとしよう。年間目標の難易度は?同じレイヤーの社員は平均何%なのか?市況など外部環境の影響は?(売りやすい?売りづらい?)上司や他関係者のチカラはどう働いたのか?そもそもそれ以前はどうだったのか?など状況を精緻に把握すること。その上で、本人の性格・資質・強み弱みなどの分析を行う。

もしかしたら「120%達成した」のは実は外部環境が甘め(競合がやらかして自社は大幅値下げなど売りやすい環境だった)、且つクロージングは上司が行っていた(会社判断で確実に摘むため)、さらには在籍5年で年間目標100%は初めての達成だった、などが解れば「コミットメントが強み」というのは違和感が残る。そうなってくると、この候補者の本当の強みは?性格は?と次の見立てを行う必要がある。

言葉1つから、正しく相手の実力を測ることが、見立てるとということだ。

②社内関係者でも同じだ。彼方此方から、さまざまな声が上がる。その声の中から解決すべく問題か否か、それを見極めるにはやはり状況把握と分析だ。気をつけなくてはいけないのは、社内関係者の抱える「問題」の方が複雑で、解くべき問題だったとしても「人事が(会社として)解くべき問題」のケースと「現場で(MGなどが)解くべき問題」のケースが存在したりする。こういうことも含めて思考し「見立てる」ことが重要なんだ。

とはいえ、見立てる、というのも簡単なことではない。思考というのは、自分の中にストックされている情報と知識の中で行われるものだ。自身の引き出しが広がらない限り、限界がくる。日々の鍛錬が何より大切だ。

察すること、見立てること…感覚と思考。どちらも「かもしれない」を掴むものだが、アプローチは別物。得意不得意はあるかもしれないが、両方を上手く・高いレベルで使いこなせるようになると「かもしれない」が予知のような精度になっていく。海賊王…人事にも必要なスキルだろう。

見聞色とは「“かもしれない”を掴む」力。感覚的に”察する”ことと、思考(分析)的に“見立てる”ことがポイント。

ー  なるほど。続いて武装色の覇気とはどんなものでしょう?…人事の方は、恐らく殴り合いなどはしないと思いますが…。

はははは…!!安心しろ。そのあたりの事情は心得ている。そうだな…ふむ。「武装色」のポイントは疑うこと、そして組み立てること。それらを総動員して、挙げるべき成果をあげるために「どうにかする」力だな。

ー 以前、麦わら帽子の若者に「”疑わないこと” それが "強さ”だ !!!」みたいなことを伝授していませんでしたっけ?

引用:ONE PIECE / 尾田栄一郎  ー集英社

それはそれだ(バッサリ)。いいか?人事に限らず、仕事をする上で「疑うこと」は非常に大切なことだ。自分の思考・決定に対し「本当か?」と疑い、他者の言葉や情報を「本当に?」と疑う。この工程を1ついれるかどうかで、君たちのアウトプットの質は大きく変わってくる。疑うこと、それが強さだ。

話を戻そう。疑うこと。それは何も「疑惑を持て」ということではない。むしろ疑惑を晴らすために、疑えということだ。柔らかい表現をするなら「仮説を作れ」だな。面接を想像してみよう。候補者の言葉に対して「本当にそうなのか?」と、疑う。これは実は難しいことだ。仮に候補者が「御社のことが本当に好きで、どうしても入りたい」と。その後、それっぽい好きな理由を熱く語っていたとすると?

面接を担当している者は悪い気はしないだろう。恐らくそれで合否は決めることはないだろうが、次の話題(設問)に移るだろう。ここに大きな罠が潜む。ここで「疑う」ことができると?この人物が本当に自社を好きだとしたら、ここまで調査しているのではないか、そこまで調査しておらず表面情報でのめり込めるのは逆に危険だろう?もしくは、熱くなりやすいということは冷めやすいだろう?冷めるに至るまでの期間や条件が何かあるはずだ、それは自社で起こり得ないのか?などの疑惑が生まれる。そしたら次は疑惑を晴らすための情報を引き出せばいい。

見聞色で作り出した「かもしれない」と似ているが、そうだな…疑うという姿勢(状態)になることで、はじめて「かもしれない」を掴む為の、真の情報を引き出せると考えるといい。そして「疑う」に必要なのは「こうだろう」という軽い決めつけから入ってみることだ。もちろんそれを悟られることなく、且つ自身がその決めつけに左右されないようにしなくてはならないがな。とにかく自身の見聞きしている情報、人の言葉や反応に対して期待しないこと。健全に疑うんだ。それが信じるための第一歩だ。

では続いて「組み立てる」について説明しよう。これは解り易い、ゴールまでの筋道を速く、正しく築くことだ。

例えばAという経験を持つ人材(しかも内面も素晴らしい人材)を10人採用しなければいけないシーンがある。しかも数十万〜数百万という予算という制限の中で。その時に、どこからどれだけの人材と会い、会うための時間設定や会ってからの導線などを組み立てたりすることが必要がある。

他にはそうだな…例えば面接という状況で、候補者に対して「こういう状況での行動傾向が知りたい」と思ったとしよう。そのまま「教えてください」と言ってもいいが、悟られないようしかも数パターン違った角度から聞いた方が精緻な情報が得られる場合もある。そういった時に欲しい情報をどういうステップで引き出すか?どういう言葉・ニュアンスを用いるか?などを出来るだけ速く導き出す。会話を組み立てる。人事本人だけが、それができても仕方がない。他の面接に関わる者たちが、誰もが同じように、一定の精度でそれができるように構造化しておくことも重要だ。

面接という場所は、そうだな。我々の世界でも「仲間集め」ということをするが、それに近いだろう。お互い「この船に乗るか/乗せるか」を見定めている時間だ。しかもそのクルー候補は今は他の船やコミュニティに籍があって、なんと他の海賊船からも誘われている状況。その中で「この船に乗ってほしい」と自分達が思えたときに、その人物からも「この船に乗りたい」と思ってもらう必要がある。それにはどうするか?どのメンバーに合わせておくのがいいか?夢を語るのがいいか?それとも我々の”名”を語るのがいいのか?夢の先に得られるものを伝えるか?自分の「ついてこい」で口説ききるのか?その人物が、自分達の船に乗ることにを持てるよう絵図を組むことも、組み立てるということだ。

もちろん現代において、出会いたい人材と出会うためのアクションも必要だ。もし君の船に忠誠心の高い且つ有名な実力者…そうだな、”不死鳥”マルコ君や“火拳”のエース君、シャーロット・カタクリ君などを迎えたいなら、そういう人材に会う為の組み立てが必要になる。私のような隠居中の老いぼれや、革命軍のような所在地不明な者たち、閉鎖環境にいるであろう侍のような謎の実力者たちに会いたいなら、その為の組み立てが必要になるな。私は嫌いだが白ヒゲのとこの見習いだった、黒ヒゲのような四皇と呼ばれる奴を採用したいなら…同様だ。

社内関係者においても同じだ。採用には仲間の協力が必要になる瞬間が必ずある。ただ社内関係者が必ずしも、人事と同じくらい面接が得意とも限らなければ、勧誘活動に積極的ではなかったりする。想像してみて欲しいが、“麦わら”のルフィ君は勧誘活動に積極的だが、恐らく面接は不得意だろう。彼は感覚的すぎる。…それが彼のいいところだがな。“黒足”サンジ君、彼は誰かを積極的に勧誘することはないだろう。ただ彼はきっと面接は上手いだろう。人をよくみているし口説きもできる。…女性相手でなければ問題ないだろう。ゾロ君も同様だ。ただ彼は人を見る目はあるが、候補者によっては圧迫と感じてしまうだろうな。

引用:ONE PIECE / 尾田栄一郎  ー集英社

彼らの採用における役割を間違えたら、悲惨な結果になるだろう。それを理解し、採用活動に組み込み、採用を成功させる。それが「どうにかする」ということ。時には彼らを静止することも仕事だな、それが船長…経営に携わる者だとしても。

引用:ONE PIECE / 尾田栄一郎  ー集英社

採用を主戦場とする人事は、まずは適した人材を船に乗せることから始まる。(適した人材、についてはそうだな。ニコ・ロビン君を想像するといい。彼女はきっとクロコダイルの船では幸せにならなかっただろうが、ルフィ君の船では幸せそう、ということだ)

乗せた後にどう活躍するか?この考えはもちろん大事だ、この視点なしに人事はできないだろう。だがまずは「乗せること」だ。そのためは疑うこと・組み立てながら目標(上げるべき成果)を果たすために「どうにかする」ことが必要だ。真偽が混じる情報や、人の感情が大きく影響する仕事である中、いかに「どうにかする」かだ。

武装色とは成果を上げるために「どうにかする」力。疑いを持つ、組み立て流、これらでゴールまでの道を作り・走り切ること。

ー ありがとうございます。すでに5000字を超えていますね…最後の「覇王色」…?について、お願いします。

そうだな…それでは手短に済ませよう。覇王色とは「他者の心・身体を動かす」力だ。惹きつけられるような、オーラ…カリスマ性…そういう類の魅力を兼ね備えた、経営者などいるだろう。そういう「他者へ影響できる魅力」を指す。

ー …雰囲気ということでしょうか??

ざっくりと言えばそういうことだ。「この人についていきたい」という憧れ・尊敬・陶酔…それに畏怖のような衝動を作りだしたり、「この人を助けたい」というような応援・共感・伴走という類の魅力を作り出したりする力だな。前者だと白ヒゲやカイドウのような奴らだな。…誤解もあるだろうが赤っ鼻もだな。後者はルフィ君や“赤髪”あたりか。

彼らは皆、意識・無意識、アプローチこそ違えど、この能力が高い。ビジョンを話し熱狂させる、あるいは他者理解(存在肯定)を通じて得る共感…なんにせよ、他人を動かすこと、他人を巻き込むことが得意なんだ。

実は人事にとっても、この能力は必要になる。候補者に「この人と働きたいな」と思ってもらうこと、社内のメンバーに「〇〇さんが言うなら協力するよ!」と快諾を得られること、これらは仕事を円滑に迅速に進めていく上で、大きなアドバンテージとなる。

一方でこの能力は、先天性…キャラクターによるものが大きい。もちろん所作や普段の仕事・成果で作ることもできるが…。やはり「魅力的な人材」であるためには、本人のキャラクター(人間性)を磨き、高めていくことが大事だろう。そういう意味では見聞色の覇気や、武装色の覇気と違って、持っている/持っていない、開花させられる/させられない、そして伸ばせる/伸ばせないが顕著に出るチカラといえるな。

覇王色は「他者の心と身体を動かす」力。人を巻き込む・人が巻き込まれるだけの魅力にあたる、ナニカ。

ー なるほど。それぞれのスキルを鍛えていくうえで、いい方法はありますか?

ふむ…。日々意識し、やってみるということが一番ではある。しかし、それぞれの「色」を全て極めている者は少ないだろう。もちろん、全てを高いレベルで使いこなしているものは一定いる。が、それでも得意なものに偏りが出るのは仕方がない。それを補うためにチームがあったり、社内・社外の協力があったりするからな…。

1つだけ、言えることがあるとすれば。これらのスキルは必ずしも「人事をやっていなければ」身につかないスキルではない。持て生まれた気質や、これまでの人生で培った性格からできるものもあれば、全く別の職種で培った経験から発現することもある。例えば、その会社に「営業」として入ったとしよう。その役割を全力で全うすることで、社内の信頼向上・仕事のやりがいや難しさを解像度高く説明できるようになる。この人物が「営業」から「人事」に移ったとしよう。その経験は、いつかその人物の「覇王色の覇気」となって発現するかもしれない。会社の特徴が特に「コミットメント」にあったとすれば、きっとそこの営業では「武装色の覇気」の素地が鍛えられるだろう。

見聞色(かもしれないを掴む力)、武装色(どうにかする力)にしろだ。他の経験があるからこそ、強いスキルとなって開花することも多い。人事以外の経験をしっかりと積むことも、人事としてやっていく上では大事なことなんだ。

引用:ONE PIECE / 尾田栄一郎  ー集英社

多くの若者はとにかく焦っているようだ。社会の先人達が必要以上に「夢」や「やりたいこと」を持つことを煽り、奇しくも“ソレ”を手にした若者達の輝いている姿と自身を必要以上に比較してしまう。「人事がやりたい」その言葉が本当に「やりたい」から来ているものなのか…それともイメージできるものの範囲から「やりたい」と思おうとしているのか…。そんなことは自身にもわからないだろう。いつか解れば、それは幸運だ。

残念ながら、社内で「人事」の役割を担う者の数は多くはないだろう。全社員のたかが数%だ。例えば社員数が3000人を超える会社、毎年300人採用する規模、なら選任の人事は3名で充分、と考える会社もあるだろう。社員数が200人、採用人数が年間10~20名、採用しかしない人事ならば1名でも充分だ。そう考えると、会社内で人事の役割を担う人間の割合は1%~2%程度だ。その枠を、初期配属から担えなかったとしても落ち込むことはない。その期間でしっかり覇気の基礎にあたる経験を積むといい。

そしていつか、本当に「人事がやりたい」と思えたならば、改めてチャレンジするといい。それが叶った時にも、もしかしたら君たちは戸惑うのかもしれない。だが臆することはない。戸惑いこそが人生であり、戸惑うからこそ、人はその戸惑いを越えるために、力を発揮させるのだ。君たちの今後の人生、人事としての活躍を心より期待している!!

ー ありがとうございました!本日のゲスト、"冥王"シルバーズ・レイリーさんでした!!



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