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NOT A HOTELのプレ・セカンダリー・マーケット始動。最大30%高値、1週間で4.2億円の取引が成立

NOT A HOTELのセカンダリー(中古)取引プラットフォームの構築を目指し、2024年1月に始動したNOT A HOTEL2nd(以下、2nd)。創業時、この事業にかける想いをCEO 江藤大宗が語ったnote「目指すは“不動産のメルカリ”」から半年が経過した。

セカンダリー取引プラットフォームを一言で表現すると「2次流通の不動産をスムーズに売り買いできるプラットフォーム」。プライマリー(初期の販売)の売りやすさを中心に不動産市場が形成され、長期的な価値の維持、向上を見据えた2次流通がつくられていない現場に終止符を打つべく、立ち上がったのが2ndだ。

2025年12月にセカンダリー・マーケットの構築を目指す2ndだが、既にPOCとして「プレ・セカンダリー・マーケット」を始動させ、NOT A HOTEL内での買替えを中心に取引実績を積み重ねている。直近の実績を聞くと、プライマリーの価格よりも約30%高値にも関わらず、1週間で完売。取引総額は4.2億円に達した。

創業からわずか半年。2ndにはどんな動きがあったのだろうか。買う/売るの二択ではなく、「泊数」の一部を残す新しい所有のあり方など、CEOの江藤にセカンダリー・マーケット構築の進捗と展望を聞いた。

プレ・セカンダリー・マーケット、販売開始1週間で完売


ー2ndが始動してから半年が経過しましたが、現在の状況を教えてください。

江藤:現在は、“プレ”・セカンダリー・マーケットを開始しています。NOT A HOTELの物件の買替えニーズを対象に、2ndが物件を買取り、新しいオーナーに再販をするというものです。2025年12月のセカンダリー・マーケットの正式リリース時には、一定の取引実績がある状態を目指しているので、それまでにマーケットとしての地ならしが終わっている状況にしたいと考え、“プレ”というかたちでスタートしました。

ー早くも買取再販の実績が出ているのでしょうか?

江藤:最初に手掛けたのは、 NOT A HOTELのなかでも初期に建てたNOT A HOTEL AOSHIMAの物件になります。12口(360日)のうち7口(210日)をオーナーより2ndが買取り、新しいオーナーに再販しました。​​プライマリーよりも約30%高値にも関わらず、7口すべてが1週間で完売。取引総額は4.2億円分となりました。

ー1週間で完売という結果は、ものすごいニーズがあったという証ですね。ちなみに、オーナーはどんな狙いで再販したのでしょうか。

江藤:AOSHIMAの物件は、1人のオーナーが12口(360日)所有されていて、今回はその一部の7口(210日)の権利を売却され、NOT A HOTELの別の物件をご購入いただいています。NOT A HOTELをご利用いただくなかで新しい物件にもご興味を持っていただけたことは嬉しい限りです。

選択肢として「すべての権利を売却する」or「すべての権利を持ち続ける」という0か1でなく、必要な利用分だけ残して一部だけでも売却出来るのはNOT A HOTELの特徴のひとつです。

ー買取再販を繰り返すなかで、新たな気づきはありましたか?

江藤:一方、今回新たにオーナーになられた方のなかには、(すでに完売している物件だったため)キャンセル待ちの方や、NOT A HOTELの別の物件から本物件への買替えの方がいらっしゃいました。買替え時に、また別の物件が再販対象となるので、セカンダリー・マーケットそのものに連鎖反応が起こりつつあるのが現状ですね。あるオーナーからは「あの物件がセカンダリーで再販する際は、教えてくださいね」という声もいただいています。

ーNOT A HOTELを売る側も買う側もアップグレードしてくださってるのですね。

江藤:「セカンダリー」や「売却」と聞くと、NOT A HOTELというコミュニティからの離脱を想像しがちなのですが、買替えを通じてNOT A HOTELのコミュニティに留まり続けてくれています。その意味で、増え続けていくNOT A HOTELの拠点内で、一定拠点を使ったオーナーが新しい拠点に移り、新しいオーナーが入ってくる連鎖反応が起こっています。

もちろん、オーナーのライフスタイルも変わりますし、初回の購入からベストな選択が出来るとも限りませんので、サービス提供側としては出来る限り柔軟に対応出来る状態をつくりたいと考えています。例えば、30日分の宿泊数を持っているオーナーが10日単位で売れるというように、自分にとって最適な泊数を残してもらったうえで、余剰分だけ売っていただく。そんな仕組みを整えていく予定です。

江藤 大宗:慶應義塾大学卒。JPモルガン証券にて投資銀行業務に従事。M&A、株式引受業務の実務を経て、エグゼクティブ・ディレクターとしてインフラセクター企業を担当。2020年8月NOT A HOTELに参画。執行役員CFOを経て、2024年1月、NOT A HOTEL2nd CEOに就任。

プレ・セカンダリーから見えてきた“勝ち筋”


ー共有持分の不動産のセカンダリーは一般的に難しいと言われていると思います。なぜ、それが今回のPOCで受け入れられたと思いますか?

江藤:理由は2つあると思います。

一つは「建築費等の高騰により、不動産の小口化がトレンドになる」という点です。これは仮説ですが、建築費の高騰により、数億円の別荘1棟よりも小口化された権利の方がオーナーにとって手に取りやすく、価格も上がればそれだけ二次流通もしやすいという仮説があったためです。

二つ目が「土地を含め唯一無二性の高い建築である」という点です。NOT A HOTELは世界的な建築家やクリエイターと協業することで、新たなものづくりや常識を超えた“建築体験”をつくりだしています。NOT A HOTELの商品そのものが唯一無二でありセカンダリーの価値にもポジティブな影響を与える商品だからこそ、結果的にニーズや価格が上がり、再販開始からわずか1週間で完売したのだと思います。

ー今後、買取再販の実績を重ねながら、2025年12月のセカンダリー・マーケットの正式リリースに向け、どのような部分を磨き込んでいくのでしょうか。

江藤:現在、プレ・セカンダリー・マーケットで行っているのは買取再販のみなので、正式リリース時には、メルカリのような仲介市場(オーナー間での自由売買)のサービス設計を検討しています。NOT A HOTELの売上が伸びると、値上がりする物件も出てくるはずなので、その際には新しい値付けが行われやすくなると良いなと思っています。

加えて、2ndとしては急な物件売却を希望されるオーナー向けの買取プログラムを用意し、底支えが出来るかたちを取りたいと考えています。

これまでオーナーが売買をされる市場を前提に会話を進めてますが、より多くの方がNOT A HOTELを使い続けてくださるサービスを目指しています。ただ、ライフスタイルや利用方法において“変化を求められたい時に、選択肢をより多く提供”できるようにしたい。それが一番の狙いです。

NOT A HOTELは全国に拡大を続け、これまでに9拠点の販売開始・開業を実現している

「泊数」を所有することで、体験価値を高める


ー創業当初、2ndの展開としてはリゾート会員権や別荘のセカンダリー(中古)取引プラットフォームの構築を掲げてきましたが、取り扱う商品の拡張はありえますか?

江藤:これも現在進行中なので答えづらいですが(笑)、その前に一つだけお伝えすると、私がセカンダリー・マーケットを手掛けたいと思う根源には「オーナーが権利を売りやすくする世界をつくりたい」というよりも「オーナーに持ち続けてもらう際に、安心感を持っていただきたい」という願いがあります。

オーナーに長く愛されるサービスにすべく、持ち続けているものの資産性が見えやすくなったり、ライフスタイルを変える場合に買替えがしやすくなったり。こういう状態を目指していきたいと考えています。

そのうえで、NOT A HOTELを所有することで得られる体験の幅を広げていきたいと考えています。今は使わなかった「泊数」はNOT A HOTELが買取り、ホテルとしてご提供するかたちですが、この「泊数」が他のことにも使える世界が実現できたらより面白くなると考えてます。

ー「一泊」を利用してNOT A HOTELに宿泊するのではなく、「一泊」が他の体験に代替されていくということでしょうか?

江藤:そうです。「サービスに立体感を出す」をキーワードに、前々回のnoteで伝えた「第二次日本列島改造計画」にも通ずる新サービスの開発を行っています。このあたりは次回のnoteで詳しくお話させてください。

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