
宗教?マルチ?情報商材? 友だちの誘いにご用心!
20年以上会っていない「友だち」から突然の連絡があった。久しぶりに帰省するので会いたいという。
「友だち」とはいったが、正確に言えば単なる「同級生」 在学中もそれほど親しかったわけでもなく、20年以上も会っていないのだから、それを「友だち」と呼ぶのもおこがましい。「友だちの水増し」のようなものだ。
ここではその「友だちの水増し枠」におさまる彼女をA子と呼ぼう。
「 友だち 」の誘いに違和感あり
「元気?」
「いまは何しているの?」
「どこで働いているの?」
「家は前と同じ?」
など、突然の電話にもかかわらず食い気味に聞いて来るA子にわずかな違和感を覚えながら、それなりに久しぶりの友だち同士っぽいやり取りを続けた。
するとA子が、「今日って予定ある?」と。
今日!? ワタシは「久しぶりに地元に帰るので、何人かで会いたいね。都合のいい日ある?」くらいの距離感で話をしていたつもりが、A子は急激に詰めてきた。今日とはどういうこと?
久しぶりに帰るのでー、ではなく、すでに数日前から帰ってきており、A子は「今日なら会えるから」と。
ん?
A子への違和感が30%くらいに増した。
「えっ、今日って突然……」と、返事を濁し、「他に誰が来ると?」と聞いてみた。
「ううん。淀川ちゃん(ワタシのこと)だけよ」
ん?
A子への違和感は50%を超えた。それほど親しくもなかった同級生と20数年ぶりに会う。しかも二人っきりでー。どう考えても普通の「再会」ではなさそう。
「どう?今日ムリ?」と、畳みかけるように聞いてくるA子。
「今日はちょっとムリかな」と、やんわり答えるワタシ。
以下、緊迫の攻防戦の模様をどうぞ。
「友だち」が変貌していく
A子「ちょっとだけでも時間ない?」
ワタシ「うーん」
A子「私がそっちにいくから。近くでお茶しようよ」
ワタシ「イヤイヤ、それは……」
A子「30分でもいいの」
ワタシ「……」
A子「すぐにそっちに行けるから」
待てぃ!
「久しぶりに帰るのでー」ではなく、「もう帰ってきている」しかも「あなたの家のすぐそばにいるから」「30分でもー」って、もうぜんぜん友人の再会じゃないやん。怖いやん。
コレって、アレでしょ。宗教もしくはマルチ。ネットワークビジネスかなんかでしょ!
ワタシ「いや、ムリっ」
A子「えーっ?どうして」
ワタシ「どうしてって、どうしてそうまでして会いたいと?」
軽く探ってみた。
A子「うーん、そう思うよね……」
ワタシ「うん」
A子「その変なアレじゃないよ。ただね、どうしても聞いてほしいことがあるの」
ワタシ「ナニ?」
A子「電話じゃムリな話でー」
いよいよ、あやしい。変なアレとしか思えない。
A子への違和感は99%に達した。
ワタシ「電話じゃムリなような大変な話には気が乗らないんだけど?」
と、結構強めに拒絶してみた。
が、A子はひるまない。
A子「そう?でもね、これってすごく大事な話で、ぜひ淀川ちゃんには聞いてほしくて……。まだあまりみんなには知られていないことだけど、知らないと大変なことになることでー」
みんなって誰?もう完全に変なアレでしょう。宗教かマルチかはわからんけど、ナニやっとんねんA子。
ワタシ「あー、そういうの興味ないしー」
A子「いや、聞いたら絶対そうは思わないって。すごく大事な話で、話をするのは私じゃなくてちゃんと信頼できる人だからー」
仲間がおるんかいっ! 勧誘する気マンマンかいっ!
A子への違和感が100%を超えてしまい、いよいよ怖くなったので本気でお断りの姿勢をみせた。
ワタシ「残念だけど、会う気はない。電話切るよ」
A子「えっ……。ホントに?ホントにー」
(電話を切る)
すぐさまA子の番号を着信拒否にし、自宅周辺を見回した。
怖いよ、なんだよ。A子。アンタやっぱり「友だち」じゃないよ。
それはもはや「友だち」ではなかった

数日後、別の友だちS(こっちはホントの友だち)にA子の電話の一件を聞いてみた。Sは交友関係も広く人が良いので、もしかするとホイホイとA子の誘いに乗っているかもしれない。
S「あー、アレね。私も誘われたよ。でもね、ホントに忙しくて、旦那のお母さんがこっちに来ててー(以下、延々とSの愚痴が続くー) でも、それって2、3年前の話だけどー。まだやってんだA子」
2、3年前!? Sによると、A子がハマっているものはマルチ商法的なもので、友だちに片っ端から連絡をしていたらしい。が、その友だちの勧誘のピークは2、3年前らしく「とうとう淀川ちゃんにまでー、結構切羽詰まってるのかもね、フフフ」と、Sは笑いをこらえることなく言った。
おい、コラッ!「淀川ちゃんにまで」って、どーゆーことやねん!ワタシは初回の「友だち枠」には入ってなかった、っちゅーことか!? 切羽詰まった要員か!
A子への違和感は150%に達し、もはや「違和感」なんていう生易しいものでもなければ、「友だち」なんていうあたたかいものでもない。「ねえAちゃん。こんなこと(あやしい勧誘)してたら友だちなくすよ」なんて「友だち」っぽいことを言わなくてよかった。A子にとってワタシは「友だち」じゃないんだろう。世の中うまくできているものだー。
「友だち」は大切に。
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