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読書感想

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#小説

『きみがくれたぼくの星空』ロレンツォ・リカルツィ 愛を知ることで自分を肯定できる…

ロマンチックな気分になりたかったわけではないのですが、タイトルと装丁に惹かれて手に取った…

『夜の果てへの旅』セリーヌ 「善」に対する不信と恐怖

『夜の果てへの旅』は、作者ルイ=フェルディナン・セリーヌの自伝的小説です。 全編に渡って…

『異類婚姻譚』本谷有希子 個人の境界がゆらぐ世界

多くの小説が問いかける「私」とは何か。 芥川賞受賞作品となった本谷有希子著『異類婚姻譚』…

『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』ジュノ・ディアス オタクは世界を救う!

サブカルオタク青年が、凄まじい事態に見舞われる小説らしいー、たったそれだけの情報で読み始…

『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ 理性や社会秩序が失われた世界とは

2020年春以降、世界に広がった新型コロナウイルス感染症。 こうした感染症や伝染病に人間社会…

『春の庭』柴崎友香 記憶はどこにあるのだろう

『春の庭』(柴崎友香・著)は、取り壊されることが決まっているアパートで暮らす太郎と、アパ…

『エンジェル』エリザベス・テイラー 凄まじき虚栄心

『エンジェル』は、ある女性作家の一生を描いた長編小説です。 有名女優と同姓同名の作者は、1912年生まれのイギリス人。代表作は1957年に書かれたこの『エンジェル』です。(1975年没)。 『エンジェル』の内容紹介食料雑貨店を営む母と、貴族の屋敷で下働きをしている叔母(母の妹)と3人で暮らすエンジェルの趣味は妄想。ときに妄想のみならず虚言にいたることもあり、周囲の大人たちをうんざりさせるほど。 学校の課題で作文を書かせると、子供らしからぬ語彙で「なんじゃこりゃ」的な文章を

『一九八四年』ジョージ・オーウェル コロナ禍の「今」が見える

このところ、あちらこちらで目にする小説『一九八四年』 1949年にジョージ・オーウェルによっ…

『レイラ最後の10分38秒』エリク・シャファク 死が与えた「生きる力」

2017年、臨床死に至ったある患者が生命維持装置を切ったあとも10分38秒間、生者の熟睡中と同種…

『コーヒーと恋愛』獅子文六 今も変わらぬほろ苦く踊る私たち

『コーヒーと恋愛』は、『可否道』というタイトルで1962年から読売新聞に連載された小説です。…

『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』川本直 虚構か事実かー、事実だけが真実ではな…

ジュリアン・バトラー。どこかで聞いたような名前だけれど思い出せずにいた。 ジュリアン・バ…