思い出のあまーーいご褒美🥚
幼稚園が大っ嫌いだった。
大好きなお母さんと離れないといけないから。
生まれてから片時もお母さんと離れたことはないのに。
お母さんだってきほと離れたら悲しいはずなのに。
なぜか「幼稚園」という場所で過ごさないといけなくなったらしい。
「おかあさーーん!!行かないでー!!!!」
泣き叫んでいる私のそばに、
担任のみほ先生がやってきた。
何言ってるんだこの人は。
ちがう、この人はお母さんじゃない。お呼びじゃない。
泣いてる私を置いて、お母さんは帰ってしまった。ひどい。
幼稚園でも、私はずっと泣いていた。
昼休みの時間は1個上のヤエちゃんの
幼稚園ごっこに付き合わされた。
ただでさえ幼稚園が大嫌いなのに、
なんという地獄。
みほ先生は「ヤエちゃん、小さい子と遊んであげてえらいねぇ」と褒めた。
遊んであげてるのはこっちなのに!!
地獄の幼稚園から帰ると、
家中がほんのり甘い匂いに包まれている。
お母さんがシフォンケーキを焼いてくれたのだ。
しっかり手を洗ってから、2人でデコレーションする。
生クリームを泡立てるのがお母さんの仕事。
クリームの味見が私の仕事。
最後にマーブルチョコを乗せて完成!
ケーキはお父さんが帰ってくるまで我慢。
お母さんとふたりで、はみ出した端っこの生地をこっそり食べる。
お父さんには内緒だけど、きっとここがいちばん美味しい。
お父さんとお母さんと3人で食べるシフォンケーキは、
シュワシュワでしっとり甘くて、自然と笑顔になる味☺️
大きくなって、自分1人でケーキを作るようになったいまも、
シフォンケーキだけはお母さんにかなわない。
思い出のお母さんの味。
思い出したら食べたくなってきたなぁ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?