コロナ陽性で喉頭痛エグすぎたしホットロードもう一回読みたすぎるそしてその感想を特に誰とも話さずただひとりで悶えたい夏‘22
昨今大ブームの異世界転生モノのようにステータス画面が眼前にブゥンと現れて「クエスト完了!」とでも表示されなければ「誰かの役に立てたこと」を実感することは難しい。
小さな親切aka大きなお世話
雨の中傘なしで歩いてる赤ちゃんを抱っこしたママさんに傘をあげたこともあるし、次の誰かの為に会社トイレのペーパーを補充したこともある。
それが「役に立てた」かは自分には分からない。もしかするとママさんは気を遣って数日悩ませてしまったかもしれないし、
ペーパーホルダーなんてカラでも中堅クラス以上の大人はノールック後ろ手でストック取って補充する。無感情で。
唯一思い出せる、わざわざお礼に来てくださった方の事を書きたい。
スナック化していたパン屋
ある店のパン売場を1人で店番していた。
当時の私は世間話等の声かけるタイプの接客スタイルであった(※後に身を滅ぼすことになる)
いらっしゃいませーこんにちはー
いらっしゃいませーあれ?お久しぶりですねー!
いらしゃいませー今日から新商品のレモンパンがありますよー
いらっしゃいませーデニッシュ系が今!焼き立てなんでおすすめです!
いらっしゃいませー人気のものはですねー店的にはよもぎパンなんですけど個人的に今ハマってるのはクロワッサンダマンドです〜クロワッサンの上にラム酒の入ったクッキー生地がかかってるんですよ…カロリーめちゃくちゃあるんですけど美味しいんで諦めてます(笑)等
ゑ、うざったい…。今ならそう思う。
個人的には話しかけてくる店員苦手なんで服屋さんだったりすると『後で声かけますね』と前置きして避けたりする。あれ?お久しぶりですねなんて言われたらもう行けない。
当時はそれが立地的に妙にウケて繁盛していた。午後になると缶コーヒーとか買って立ち飲みしてお喋りしていく人がいたり。売れ行きがいいので給料が5万円アップした程(パン屋で有り得ないことだと思う)
そんな中で、毎日バゲットを一本買って行く女性がいた。
彼女は私と目を合わさず、他のパンに一瞥もくれずバゲットを掴み無言で会計し帰っていった。
店員相手にそんなの普通なのにその頃は『渋いなあ』と相手のせいにして上目線で脳内の苦手な客リストにぶっ込んで蓋をしておいた。
そうすることによって相手を透明にして精神の安寧を保つ。いつしか来店しなくなったことにも気が付かない。
どれくらい日が経過したかも覚えてないくらいの頃にド久しぶりに件の女性客が来店した。目を合わせて笑顔で。
慣れた手つきでバゲットを籠から引っこ抜いて
『以前毎日来てたんですよ』
はい、覚えてますよ、お久しぶりですよね?
『そうなんです、明日から産休に入るんです。それで仕事も辞めると思うのでもうなかなか買いに来れなくなっちゃうなあと思って今日来ました』
そうなんですねありがとうございます!でも辞めちゃうんですかあ
『毎日来てた頃、つわりが酷くて。何食べても気持ち悪かったんですけどここのバゲットだけは食べられて!私無愛想だったと思うんですよ。お姉さん挨拶してくれるのにすみませんでした。あと、ピチカートファイブがいつもかかってましたよね?あの、私好きで。でもまさか町のパン屋さんの中で聞こえてくるとは思わなくてw それも癒しでした。ありがとうございました』
うわうわうわ自分めっちゃ恥ずかしい
うわうわうわーーーーーーーーー自分めっちゃ恥ずかしい。
相手の背景をイメージするどころか個人として考えられてなかったじゃん。
自分自身とは全く別の、自分と仲良い子とは全く別の、愛想のいいお客さんとは全く別の、嫌いだけど同僚だから業務上コミュニケーション取らなくてはいけないオバハンとは全く別の。見知った枠の外の人は生の人間として見てなかったじゃん。
でもその女性は私を枠の中の人として考えてくれていたんだ。
わざわざお礼とご挨拶しに来てくれるということは、頭の片隅に私が鎮座してたんだ。
嬉しかったけど恥ずかしくて後ろめたくて、妙にはしゃいだリアクションで見送ってしまった。
知らん人の性格をイメージする。勝手に決めつける。勝手にがっかりする。
憶測で噂する。良いように解釈する。悪く捉える。勘に障る。してもらった、してあげた。責任転嫁。救われる。
みんな超勝手だ。勝手に余計なこと考えて感情てんやわんやしている。
焼けた栗は安全に拾って。いっぱい取っていいから手は拭いて粟持ってって。
虎穴には入らなくて良い方法考えて。柔らかい枕で寝ていいし、美味しいもの食べて頭切り替えていこう?
たまたま気に入ってた曲をリピートしてかけていた店員と、たまたま口に合う食べ物が見つかったお客というシンプルな世界線で、最終的にお互いが笑顔になれてよかったと思う。
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