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#2 人生で一番美味しかった飲み物の話

人生で一番、美味しい!!!!と思った飲み物の話をする。

時は恐らく12月、すごくすごく寒くて痛い冬の日だった。
場所はスイスとイタリアの国境近く、コモという街。

クリスマスが近く、街は屋台が沢山出て、教会のファサードにはプロジェクションマッピングが投影され、にぎやかな雰囲気だった。
友人2人と建築を見に来たはずが閉まっていて、
帰りの電車の時間までぶらぶらしようとしたけれど、めちゃくちゃ寒い。
風が痛くて耳が痛い。手が凍るくらい。
でもレストランで食べる程の時間の余裕はない。
というか多分、少し遅い時間であまり店が開いていなかった。

でももう限界。辛うじて開いているカフェに入る。
床が白と黒のダイヤ柄で、赤と白のクロスが掛かったテーブル。
籐の椅子が並んでいるような、少しレトロで可愛らしいカフェ。
(という記憶。Google Mapで探してみたけれど、どうしても出てこなかった。寒すぎたのか、写真にすら残ってない。。)

そこで身体を震わせながら飲んだホットチョコレートが、
私の人生で一番美味しかった飲み物だ。

甘ったるくなくて、少々熱いくらいのチョコレートがとろりとのどを通り、
身体の芯にじんわり溶けていく。
あんなに美味しい瞬間はかつてなかった。

イタリアの飲み物・食べ物はやはり美味しい。
のに加えて、極寒からのあのあたたかさ。チョコレートの少しの甘さとカカオの深み。
それまでの過酷さが、まるでこの飲み物を至高の味にするためのエクスペリエンスだったとでもいうかのように、運命的な出会いだった。

その日、ではないけれど、その時期聴いていた音楽を紹介する。
The 1975 "Chocolate" Acoustic Ver.


なにかを口にする時
その前に起きた出来事がドラスティックである程、
その衝撃が味わいに強く作用するものなのだろうか。
異様に美味しく感じるものなのだろうか。
不思議ですね。


ちなみに、見たかった建築というのはCasa del Fascioです。設計はイタリアの建築家、Giuseppe Terragni。


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