見出し画像

コーヒーに関する私達の理念

現在、桐林館喫茶室は「筆談カフェ」としてろう者文化の理解や交流、アール・ブリュットによるダイバーシティの理解と啓蒙を主軸とした活動を行っています。しかしこの形態なる以前は「コーヒー、カレー、けん玉」という全く違うコンセプトで僕が運営していました。そして去年の夏からは亀山市に「ひのめ」というレストランをオープンしましたが、今は店長である上ちゃん事業を売り渡し、今は彼の裁量の元経営してもらっています。

そんな中で色々な人から「で、結局今なにしてんの?」と聞かれる事が多くなって来たので、現時点でのご報告をさせていただこうと筆を取った次第であります。

僕は今「コーヒービジネス」に焦点を当て、カフェやレストランという形態では無く、よりお客さんの日常に寄り添えるような新規事業を展開していて

具体的に今手掛けている事は

・オンラインでのコーヒー豆の販売

・コーヒーに特化した豆売りの為のコーヒースタンドの出店

に力を入れています。

YouTubeでその経過報告もしています。

色々と新たな事を手掛けてきたここ最近ですが、自分の原点である「コーヒー」というものにこのコロナ禍で向き合い、自分なりに答えを出して、今年の5月に「幻珈琲合同会社」として法人登記致しました。

そこでこの会社の理念や、お客様とどう向き合っていくのかを今一度キチンとお伝えできればと思い、少し長くはなりますが読んでいただけると幸いです。


一杯のコーヒー、3つの物語

- 産地、私達、そしてあなたの -

たった一杯のコーヒーの中に、数え切れない程の人の手が加わっています。
生産地でコーヒーチェリーを摘み取る人、加工場で一粒づつ選別する人、輸送中に品質をチェックする人、そのままでは飲むことが出来ないコーヒーの生豆を焙煎する人、自分の為に心を込めて抽出してくれる人。
私達はコーヒーをただの商品としてでは無く「窓」の様なものだと捉えています。
コーヒーは収穫されてから、私達の手に渡るまでの過程で「美味しくなったり」はしないのです。
コーヒーチェリーの実として熟し、人の手で一粒づつ摘まれてからは「どれだけ品質を落とさないか」が重要です。乾燥や発酵させる過程でミスがあったり、虫喰いやカビた豆を選り分けれなかったり、輸送中に温度や湿度変化によって劣化させてしまったり、豆の持つ個性を殺してしまうような焙煎をしたり、理にかなっていない抽出や焙煎後に時間が経ってしまったりする事で、確実に品質は低下します。
最後まで完璧に管理されたコーヒーは曇りが無く、一口飲むと産地の情景が目に浮かびます。
私達はそんな「美しい窓」の様なコーヒーを提供する為に、以下の事をお約束します

・私達はコーヒー豆をブレンドしません
→コーヒーはワインと似ていて、育つ環境の土壌や微気候、栽培方法や発酵過程で風味が大きく変化します。しかし異なる国や産地のコーヒーを混ぜ、必要以上に深煎りにする事で「コーヒーらしいコーヒー」が出来上がります。そうする事で低品質で、焙煎後時間が経過した豆のもつ酸化した酸っぱさを隠す事ができ、コーヒーらしい苦味が全面に出て「ふつうのコーヒー」が出来上がります。私達が目指すのは苦くも酸っぱくも無く、それぞれの産地の持つ独特の個性的でユニークな風味を感じる事が出来るコーヒーです。


・私達は焙煎後1ヶ月以上経ったものを提供しません
→紅茶や緑茶、ココアなどと一緒に陳列される事が多いコーヒー豆。真空パックや窒素充填など様々な技術でパッケージングされ、流通に回るコーヒーはほとんどが「いつ焙煎されたか分からない」ものです。コーヒーは生豆の状態だと温度管理をきちんとすれば数年は品質が維持されますが、焙煎後2,3日以内に香りのピークを迎え、徐々に風味が抜け酸化していきます。更に挽いてしまうと数時間後にはコーヒーの持つ本物の香りは無くなり、苦味と酸っぱさだけが残されてしまいます。私達はコーヒー豆を野菜や果物のような生鮮食品と捉え、必ずお客様に「焙煎日」を開示しています。


・私達は飲む人一人一人に合わせた抽出を提案します
→世の中には様々な飲み方、抽出器具、メソッドが数え切れない程出回っています。古くは中東で飲まれていたトルココーヒーや、イタリアのエスプレッソ、日本ならではのネルドリップにサイフォン、最近では粉砕から抽出まで全自動で行う機械や、家庭用の焙煎機まで存在する現代では、何を選んでいいのか、誰に聞いていいのか分からない状況に置かれている人がほとんどだと思います。私達にとって「世界一美味しいコーヒー」は一人ひとりのお客様の文化、嗜好、環境にとってピッタリとマッチしたものであると定義します。なのでお客様に提供する前の「会話」を大切にします。今までどんなコーヒーを飲んできたのか、今はどんな気分なのか、家にはどんな器具があって、コーヒーに使える予算と時間はどれくらいあって、誰とどんな状況で飲むのか。
全てのコーヒーにおいて、お客様の手に渡ってからスタートする関係でありたいと考え、ご購入していただいたお客様とのつながりを大切にします。

あなたの物語をコーヒーという窓を通して聞かせて下さい、そして他の誰でもない「あなた」にとって世界一美味しいコーヒーを探すお手伝いをする事が、私達の使命だと考えています。

まだ産声を上げたばかりの小さな小さな会社ですが、来年からはいなべを中心とした北勢地域でのコーヒービジネスを可能な範囲で広げていきつつ、1人でも多くの方に美味しいコーヒーをお届けできればと思っていますので、引き続き応援の程よろしくお願い致します。

幻珈琲合同会社 代表取締役 帖佐真之介

画像1

※これはコンサートに来た、上品なセレブおばさま風に撮ってみました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?