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#一次創作
#3 家庭教師≠暇潰し要員
最初に断言しておこう。
春子と僕との関係において、僕が主導権を握ることはあり得ない。
生まれたときから小笠原の名前が世界的に浸透していて、身につける服はもちろん触れるもの全てが一級品。お金がありすぎて逆にお金を見たことがないそれがホンモノの金持ちである。
そんな根っからの金持ち気質の傲慢少女春子が右と言ったら右だし、左と意見することはもっての外。軽口程度なら許されるが後々何をされるかわからない。
#2 僕はどちらかというと勉強が出来るタイプです。
小笠原春子は天才である。
齢13でありながら、いやに物事の理解が早いタイプの天才である。
父である幸彦さん曰く、春子は後継ぎになる可能性が殆ど有り得ないために厳しく育てなかったという。
しかし不思議なもので、この子は勉強との相性がすこぶる良かった。
当時小学生の低学年だった春子は、独学で中学卒業レベルの問題を解いてしまったらしい。
どの大人の目も届かぬ場所で、いつの間にやらその才能を開花していっ
#1 金持ちの家は無駄が多い
「おはよう、春子」
「遅い!」
AM 11:07
個人所有の広大な土地を揺るがす怒号が響いた。
部屋のど真ん中にある大きなソファの上には、今日も金持ちの娘らしく高飛車で傲慢な小柄の少女が座っている。
職人が手作業でひとつひとつ丁寧に作り上げた高級感のあるソファに、無造作にいくつも乗せられた色とりどりのクッション。それらに囲まれて足を組む姿は可愛いんだか生意気なんだか微妙な気持ちだ。
まぁ確か