のしゅうあん

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「エスプレッソにしたら。」

 カフェに立ち寄った。いつもならティーを注文するがその日選んだのはエスプレッソ。新刊を読みながら時間調整するためだったが、地下鉄に乗り込んでから私は実家にエスプレッソメーカーがあったことを思い出した。五十年以上も前の話である。  なにか胸に迫るものがあった。それを家に持ち込んだのは亡くなった父に違いないという思いに至ったからだ。  今でこそ喫茶文化を豊かにするためのツールは個人でも簡単に手に入れられるが、その当時、岩手の県北の田舎町でそれを所有しているのはとても珍しいことだっ

    「エスプレッソにしたら。」