見出し画像

ITとイベントで小平を盛り上げるシステムエンジニアが見ている景色が知りたくて。〈こだいらクラフトFESTA〜(お)インタビュー編〜〉

2023年9月17日・18日に開催された『こだいらクラフトFESTA 2023』(以下 クラフトFESTA)。
花小金井駅から徒歩10分の東部公園にて、多摩地域のクラフトビール5店舗をはじめ、小平市近隣の飲食店やハンドメイドショップが出店し、野外ステージでは生演奏や迫力あるパフォーマンスが繰り広げられた。
来場者数は、なんと1万3500人!長引く残暑よりも熱く、会場はにぎわいを見せていた。

今回、実行委員長としてイベントを引っ張っていたのは長谷川正雄さん。システムエンジニアとして企業で働きながら、小平のデジタル人材を創出すべく活動している。
市民発のイベントが盛んな小平で、新たな名物企画となっていく予感しかないクラフトFESTAと、長谷川さんの活動について話を聞いた。

HASEKYO代表 長谷川正雄さん

行って楽しい、出店してうれしい持続可能なイベントに

日が暮れて風が心地よくなった東部公園に駆けつけると、軽快な音楽とたくさんの人でにぎわっていた。
ステージ上のパフォーマンスに目を輝かせる子どもたち、ビール片手に陽気な大人、そしてスタッフも肩を並べて音に乗る。
「老若男女が安心して参加できるフェスだね」と実行委員の出口みちたかさんの言葉通り、会場は平和な一体感に包まれて、音楽フェスさながらの盛り上がりとなっていた。

今回クラフトビールの出店をしていたのは、多摩地域のブルワリーやビアバー5店舗。
福生市の老舗石川酒造、立川市立飛エリアに醸造所と直営店を構えるTACHIHI BREWERY、昭島市の地下水を使っているイサナブルーイング、中央線高架下の3坪の醸造所swivel&knot(スイベルアンドノット)、小平市小川駅近くのクラフトビアバーVIAJERO(ビアヘロ)が、ステージ西側の見渡せる範囲に並んでいた。
クラフトビールを中心としたイベントとしては、決して出店数は多くない。しかし、そこが長谷川さんの戦略でもあった。
多くの店舗が集まるイベントは、売上が分散してしまうと出店者としてはつらいところ。東部公園の広さと想定来場数を考え、お客さんと出店者の満足度が最大限バランスをとれるように設定したそう。
さまざまなイベントに出店してきた中で、過去最高売上だったという声もあった。
天候にも恵まれたことも成功の要因だったと長谷川さん。昼は暑くてビールが売れて、夜は涼しくて人が入れ替わって集まった。

「出店者からのフィードバックがよかったので、ほっとしています。クラフトビールのファンも増えたと思います」と安堵の表情を浮かべていた。
来場してくれるお客さんに喜んでもらうのはもちろんだが、イベントを継続していくには出店してくれる店舗の協力あってこそ。長谷川さんは「楽しんでもらう仕掛けと、ちゃんと売れる仕組みを作っていきたい」と話してくれた。

イベントノウハウなしで委員長として奮闘

『クラフトFESTA』は、ドイツのビール祭りを再現した『こだいらオクトーバーフェスト』の後継イベントとして発足した。
コロナ禍を経て、また小平でビールイベントを開催してほしいというまちの声があり、当時の実行委員メンバーに新しいメンバーも加わって、企画を進めることとなった。

今回長谷川さんが委員長を引き受けるきっかけとなったのは、市民向けに開催しているIT講座などの地域活動。
一橋学園に“ひらく茶の間”として誰でも立ち寄れる居場所であり、イベントやワークショップができる『茶間茶間』で、定期的に講座を開催していた。そこで『こだいらオクトーバーフェスト』の運営メンバーと縁がつながり、声がかかったのが2023年6月だったという。
「普段は企業で働くサラリーマンなので、もちろん地域でイベントを主催するような経験もなく、何から準備したらいいか知識が足りず大変でした」と長谷川さん。
タスク管理やPRはビジネススキルの中から生かせたが、協賛金集めは苦労した。イベント当日のために、様々な段取りが必要だと学べたと話してくれた。
実務は『こだいらオクトーバーフェスト』でも実行委員をしていた北山剛さん・美穂さん夫妻、近隣イベントを数多く手がけるwakatake marché代表の大橋利香さんの助けがあり、人手が少なく時間も非常にタイトな中で形になっていったと振り返る。

ITを身近に、IT人材が活躍できる循環を

長谷川さんは企業で働きながら、地域のデジタル人材を増やすべく、早朝や休日を使って活動している。
「企業にいることで入ってくる新しい情報や身についたスキルを、地域に還元していけたらと思っています。今は2軸で活動することで、いい循環ができていると感じています」と話す。

そもそも、なぜデジタル人材を増やしていきたいのか——
そこには『クラフトFESTA』同様に、多面的に地域の問題を解決していきたいという想いがあった。
「身近な困りごとを解決していくのはもちろん、ITに強い人材が増えていき、専門職として活躍できる仕組みを作っていきたいと思っています。とくに女性の活躍がキーポイント。実践で使えるビジネススキルがない、子育てと両立して働きたい…など女性の社会進出のネックになっている問題を、デジタルスキルを使って少しでも解決できたら、より良い社会になると思います。もちろん短期間で専門的なスキルを習得するには限界もあるので、私がハブとなりビジネスパートナーとしてサポートできる仕組みを作っていければ、と。すでにモデルケースとして、資格を取得した方もいます」
ITの知識や悩み解決のための講座から、ビジネススキルとして勉強するための講座まで幅広く取り組む長谷川さん。
小平にデジタル人材を増やしていく仕組みを、着実に積み上げている。

地元の名産品とクラフトビールを小平で作っていくストーリー

一過性の楽しみだけではなく、イベントと連動して小平の特産品を作っていけたらという裏テーマもあると話す長谷川さん。
「小平のクラフトビールを作るというのも、目標のひとつですが、今回のイベントに使ったロゴが、小平の手作り品や特産品を認定するような象徴になっていったらと思っているんです。市民を巻き込んで、持続的に小平を盛り上げていくストーリーを思い描いています」
と壮大な目標に向かって動き出している。

ITスキルを使ってホームページの作成やPR活動を爆速で進めた実績、今回の『クラフトFESTA』の成功が、次の企画への期待と信頼となった。
日頃のIT普及活動と小平のクラフトを盛り上げるプロジェクトが、長谷川さんだけでなくたくさんの市民とつながって叶えていく、みんなのストーリーになるだろう。

(お)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?