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花小金井の裏路地で見つけたごはんとおやつの店。〈amica(アミーカ)_花小金井南町〉

ある晩、この先の病院に行く帰り道に、ほのかに電球が灯る店舗に気がつく。ガラス越しに覗く店内の柔らかな雰囲気に立ち寄ろうかとぐっと気持ちが惹かれたけれど、この日は心にブックマークするだけとする。
 
調べると2016年にオープンしたイタリア語で『女友達』という意味をもつ『amica(アミーカ)』という『ごはんとおやつの店』。散々と通る道なのにずっと素通りしてました。
 
それから眺めるお店のインスタグラムに投稿されるごはんとおやつが、どれもこれもおいしそうで、居ても立っても居られずに、2月の良く晴れた日の午後、今日こそおやつを食べに行くと自転車を走らせる。
 
花小金井駅の南口の裏路地に凛としたたずむ黒地の枠のガラスのファサード。軒から下がる蔓で編まれたリースに『café amica』と揺らいでいて、淡いブルーのどっしりとしたガラスのボトルに『OPEN』と下がる札に上がる気持ち。

そのテンションで扉を開けてこんにちは。こちらへと案内されるカウンター席に座り一息ついて眺める店内は、剥き出しのコンクリートを白く塗る天井と壁に、モルタルの床と温かみのある木が調和する力強くシンプルなはこ。
 
壁につく棚に並ぶ主に食べると旅の本、吊るされるドライフラワー、古い時計に家具と置いてあるものすべてのセンスに下がる柔らかく灯る電球。タータンチェックの膝掛けがさりげなく置いてあり、ミシン台をテーブル席にしたものが並んでいる。
 
うん、どストライク。もうすぐここのファンに落ちる。
 
手渡されるメニューの本日のおやつを眺め悩みに悩み、『焼き芋とりんごのタルト』にすると決めてアイスコーヒーとお願いをする。メニューには写真撮影は2~3枚であまり長い時間をかけずに立ち上がってもご遠慮くださいとのお願い。
 
3枚でならどう撮ろうかと構図を考えるのもたのしい。
 
厨房から聞こえる、コーヒー豆を挽く、氷を入れる、皿に盛りつける、ガス台にカカカカボッと火が付いて、キュイーン、カツカツ、トントントンと響く調理の音と静かに流れる音楽が交じり合う心地よく待つをたのしむ時間。
 
少ししてお待たせしましたと国分寺のイノウエコーヒーのブラジル(深煎り)のアイス。布の座布団のようなコースターがかわいいとしげしげと眺めてみる。

そしておやつ。銀色の縁がうねるお皿に、さつまいものチップスがのり、ゴロとリンゴが埋まる艶やかにてかる三角のタルトと肉厚の銀のフォーク。

『ごゆっくりどうぞ』とはつらつとしたお腹から出る声に元気をもらう。
 
おいしそうと、考えた構図で写真を撮り、いただきますとフォークをいれる。
 
ねっとり濃厚なスイートポテトのようなさつま芋の舌触りに、コンポートされたリンゴの甘みとシャキっとした食感がアーモンドクリームと交じりあい、しっかりと主張する甘さと、タルト生地のサクサクとしたほのかな塩気とのハーモニーにただしあわせな気持ちになる。
 
牛歩のようにゆっくりと一口ずつ頬張って、ぽろぽろとこぼれる分厚い耳を大切にすくいフォークを舐める。そしてあいまに飲むアイスコーヒーのコクとほのかな苦味がその甘みを抱擁する。
 
本棚から興味を惹かれた本を取り、パラパラとページを捲る時を忘れる緩やかな午後。カラコロとグラスの氷を弄び、斜めに読み飛ばしながらずっとここで時間を潰していたいの気持ちになる。
 
何冊か本を捲り、氷だけになったグラスをもう一度口に運び、名残惜しくごちそうさまと席を立つ。

訪れたのは穏やかな陽気の2月。日によりメニューが変わります。その日のメニューとお店からのお願いは『amica_café』のインスタを確認してみてください。

なんていまインスタを眺めていたら、苺がびっしりと敷き詰められたグラン•メメのうす焼きタルトという本日終了予定の焼き込みタルトがおいしそすぎて今すぐお店に行きたい衝動にかられた。
 
(は)

【amica(アミーカ)】
  東京都花小金井南町1丁目19-27


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