無意識

『中島鉄砲火薬店』の年内の稽古が終わる。

充実した日々を過ごさせてもらっている。

稽古が楽しいのだ。

ちょうど十年前に書いた本の再演。

実は、稽古初日の本読みまで読み返さずに挑んだ。

書いた物語を読み返すことはまず無いので自分としては珍しいことではないんだけど演出家としては駄目なやつね。

「こんな物語だったんだ」とか、過去の自分の能力とか文体とかに驚いた。

もはや他人が書いたような、そんな新鮮な感覚を得た。

十年前のあいつ、結構才能あったんだな、と。

それでいてもう一つ新鮮だったのは「こいつ、ブレてねぇな」という感覚。

『中島鉄砲火薬店』が後の『結びの響、始まりの音』に割と直接的に繋がるんだけど、個人的な最新作である『江水散花雪』にも底流の部分で繋がっていることに気がついて、これはもう本当に無意識の作業でそうなっていて、同じ作家の作品だからそうなることもあるんかなと思いつつ、感想としては「こいつ、ブレねぇな」なのであるですよ。

手塚治虫リスペクトが過ぎて、書いた作品が無意識にも線で繋がるようなってきたのだろうか。

わからんけど。

まあ、個人的な話はそんなところ。

結局のところ脚本はあくまで土台。

それを「演劇」にしてくれるのは一緒に作ってくれる俳優さんとスタッフさん。

その一人一人を自分で選ばせてもらったわけでしてね。

楽しくないわけないのです。

一月に観るのにちょうどいい芝居になると思っています。

最後に「演劇」として仕上げてくれるのはお客さん。

こればっかりは選んで頂くしかないわけでしてね。

選んで、劇場に来てくれたら嬉しい。

てなわけで、また来年。

余裕がある人は投げつけてみな! たべるから。