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30歳の不妊治療日記!(人工授精〜妊娠まで)

2024年3月に出産して、1ヶ月が経ちました。子は可愛いお弁当箱のようにお顔がぷくぷくと四角く、ロンドンバスのように頭が長く大きく成長していて、面白くってとても愛おしいです。

育児はもちろん大変だけど、子の成長という光があります。それより、妊娠に至るまでの不妊治療の方が辛く、出口のないトンネルを歩き続けるようなどんよりと重苦しい時間でした。「不妊」って言葉が入っている名称なのもネガティブで良くないと思います。「実妊治療」とかにした方が良いのに。

私は27歳で結婚し、29歳からおよそ1年間の不妊治療を行い妊娠、31歳で出産しました。不妊治療の期間としては短い方かもしれません。不妊治療の流れは、まず不妊検査を男女それぞれが行い原因を調べたうえで、大きく3段階。1.排卵日を見計らって夫婦生活を行う「タイミング法」 2.人工授精 3.体外受精と段階を踏んで行います。私たち夫婦は検査の結果に問題はなく、タイミング法を経て、2回目に行った人工授精で子を授かりました。それで初めて知ったのですが、私も両親がトライした2回目の人工授精で授かった子だったのです。今から30年前だと、もっと成功率も低かっただろうし、抵抗感も大きかったでしょう。挑戦してくれた両親に感謝です。

私は会社員でフルタイムで仕事をしていますが、治療中は月に2〜3回、女性が通院しなければなりません。いつ終わりがくるか分からない不妊治療をしていることは、仲の良い女性の上司にも話しにくく、業務の時間を調整するのが大変でした。

どれだけ子を望んでも、年齢、仕事、体調など様々な理由から自然に授かるのはむずかしいことがあります。だから、不妊治療という選択肢があり、その中で女性はどのような体験をするのか、誰かのリアルな話を事前に聞いていたら少しでも心の準備ができると思うのです。

ということで、人工授精から妊娠期間中の、私の日記の一部をここにのこしてみます。治療との向き合い方は千差万別だから、この人はこうだったんだなあくらいに読んでもらえたら嬉しいです。


2023.5.23(火)
産婦人科へ。明日、人工授精をする。不妊治療についてよく知らないと、「人工」のワードは体外受精を想起させるけど、人工授精は精子を直接子宮の中に注入する、自然妊娠に限りなく近い形で受精の「最短ルート」をつくってあげるということ。看護師さんから説明を受けて、涙が出た。私は私の本来の名前ではなく夫の姓で呼ばれ、夫の精子は私の名前のラベルが貼られたケースに入れて私が病院へ運び、私の身体に入れられる。子どもを授かることを願っているけれど、男性と比較すると女性への負荷が大きすぎる。2023年になっても! 芸術をやるしかない。

2023.5.24(水)
人工授精をした。多少痛みはあったけど、すぐに終わった。駅前のモスバーガーでモスバーガーとポテトのセットを食べて出社した。夜、夫と居酒屋へ。ウニと生アスパラ、ラムのゴーヤチャンプルーがめちゃめちゃ美味しかった。夫に話をしたけど、私が不妊治療を通して傷ついたことを、完全に理解してもらうのはむずかしいだろう。小夜が「それがレイちゃんの全てではなくて、ほんの一部の出来事だと思うんだ。」と連絡をくれて、とても救われた。どうしても、女性でないと共有できないことはある。現実はやるせないことばかりだから、芸術をやることで現実に自分が正しいと信じる杭を打っていくしかないと強く思った。

2023.6.30(金)
AM、2回目の人工授精。驚くほど気持ちに何の影響もなかった。まったく、辛いとか悲しいとかない。人は慣れる生き物。午後は取材のロケハンで銀座へ。夜はレバーと豆腐の煮込み、ポテサラ、もずくのスープをつくった。

2023.7.24(月)
ココカラファインで妊娠検査薬を買った。陽性…!

2023.8.10(木)
産婦人科へ行って、4Dエコーでお腹を見てもらった。胎児が1cmくらいになっていて、すごい速さで鼓動していた。そりゃもうすごい速さで笑ってしまった。お昼はセブンでエリックサウスのビリヤニを買った。本格的でものすごくおいしい。

2023.9.25(月)
ものすごく眠い。常に寝たい。下腹がぽっこりと膨らんできてハリを感じるのと、トイレに行く回数が増えた。漠然と、可愛くなりたい!髪型を変えたい!という気持ちでいっぱいになっている。母になる前に、個を魅力的にしておきたいのかも?

2023.9.26(火)
出産前に、一児のママでラッパーであるAwichのライブを観た方がいいかもと思い立ち、荒井さんを誘って11月に横浜であるライブのチケットを取った。何か昨日と違う行動をした方がいい気がして、花屋ですすきが入ったお月見花束を買って帰った。

2023.9.28(木)
AM、慶應義塾大学病院の産婦人科で子宮頸がんの定期検診。検査結果は、異形成がまだあるっぽいけど出産までは放置で良いとのこと。検査のために子宮の細胞をとられて、自分の身体に穴があることを強く意識させられた。

2023.10.19(木)
朝、眠すぎて目が覚めた瞬間に眠い。できれば昼まで寝ていたい。不妊治療をしていた産婦人科は妊婦健診をやっていないので、別の産婦人科へ行ったら、妊娠20週までしか診れないから他の病院へ行って、とのこと。WEBにそんなこと書いてなかったのに! 同じ産婦人科でも病院によって妊婦健診ができる・できないとか、できても何週までしか診ないとかあるの知らなかったよ…。とほほ。

2023.11.2(木)
妊娠して、私は穴なんだと思った。性的な意味ではなく、スピリチュアルな意味で。人間になる前の待機会場と、現世をつなぐトンネルとしての穴。

2023.11.4(土)
とにかく眠くて、1日中寝てた。お昼に起きて豆乳パスタをつくり、ずるずると食べた。中田のあっちゃんのYouTube大学で三大一神教についての動画を見た。で、寝た。何かをした方が良かった気もするけど、何もしたくなかった。最近、夫は毎週末ライブがあり、家にあまりいない。もちろん寂しさはあるけど、それよりも「家に私を一人残している」と申し訳なく思われることの方がイヤだった。私は自立していて、自由で、楽しい人間なんだ。これから変化していくかもしれないけど、私はただの私である。と思いたい。

2023.11.5(日)
Awichのライブ「UNION」@横浜Kアリーナへ。客演のラッパーが次から次へと出てきて、さながらラッパーのエレクトリカルパレードだった。生で観るYzerr、かっこ良かった!!! 好きな曲を全部やってくれて大満足。荒井さんと一緒に観れてよかった。

2023.12.17(日)
小夜が長野から会いにきてくれた。渋谷の麗郷でランチ。冬瓜のカニあんかけ、焼ビーフン、エビチャーハン。全部美味しかった。渋谷は知らない間に街並みが変わっていて、海外からの観光客ばかり。ランチの後、小夜が教えてくれた菊池亜希子さん企画のイベント「FOFOFOFA MARKET」へ。可愛いものがたくさん! 小夜は菊池さんのサインをもらって、とっても嬉しそうで良かった。その後、近くのカフェで一息。出産・子育てについて色々と話を聞いた。仕事と一緒で、初めの3年は慣れないと割り切って気楽にやろう。区役所でもらったマタニティマークのストラップの素材が気に入らなくてつけていないという話をしたら、minneで可愛い手作りのものが売っていると教えてもらって、早速帰り道にポチ。自分がいいと思うものを選べることは嬉しい。

2023.12.19(火)
妊婦健診。4Dエコーで見てもらうと、子は1kgになっていて、鼻のかたちが私に似ていた。手足の筋肉もついてきて、足をぐんぐん動かす様子も見れた。区役所で妊婦面談を受けて、出産・子育てに関する分厚い書類を受け取った。デジタルで一元化してほしい。

2024.1.5(金)
仕事初め。寒くて厚着をしても悪寒が止まらない。夕方、近所の病院へ行くとインフルエンザ! 妊婦でも大丈夫な薬をもらい解熱。コンビニで買ったハーゲンダッツを食べて寝た。

2024.1.16(火)
AM、妊婦健診。子は1.5kgになりました。お昼はバリ島レストランでナシチャンプルを食べた。午後、夫と両親学級で沐浴のやり方を学ぶ。妊婦同士のグループディスカッションをしたメンバーの一人の方が電波を発している感じで、子どもが生まれたら違う星の人とも付き合う機会が出てくるんだなと少し不安になった。

2024.1.30(火)
里帰り出産をするので、いつもの病院では最後の診察。私は子宮頸管という管が、子宮頸がんの異形成摘出手術の影響で平均30mmのところ27mmと少し短く、早産のリスクがあるらしい。子よ、ゆっくり出ておいで。

2024.3.5(火)
お腹が苦しく、昨夜は眠れず。朝ごはんを食べて寝る→お昼を食べて寝る→映画鑑賞や読書をして寝る→夜にアイスを食べてお風呂に入り寝る…という怠惰この上ない一日だった。臨月に入り一人で遠出もできないので、食べて寝ることくらいしかできない。暇なのが不安だけど、今のうちに満喫しておこう。明日は多少、絵を描いたり、家のお掃除をしたりしたい。しかし、夜寝れないとそれだけで疲れてしまい、何もやる気が起きない。里帰りしたおかげで、お昼を食べながら母とゆっくりお喋りできるのはとても貴重な時間。夫に会いたいな。

2024.3.7(木)
妊婦健診へ。子は2.7kgになった。子宮口は1cmくらい開いているらしい。入院予定日はまだ分からず。昨夜、赤ちゃんが下がってきている感覚があったので、もうそろそろかなと思ったけど、そうでもなさそう? 産まれるまで、家の中でその時を待つ。空白の期間だ。しいたけ占いで、2024年上半期の魚座は「空白」がキーワードと言っていたから、まさにその通り。夜は植本一子さんのエッセイ『かなわない』を読んだ。こんなに正直に暮らしをさらけ出せるのはすごい。私はどんな母になるのだろう。


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