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3/26日(土)17時〜humunus「うつほの襞/漂流の景」Fukushimaレポート

福島県双葉郡富岡町は、2011年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故による被災地域だ。humunus(小山薫子、キヨスヨネスク)は2020年より本格的な福島県双葉郡地域のリサーチを開始し、町内に活動拠点「POTALA-亜窟」を開設した。

富岡町、POTALA-亜窟(humunus+秋元菜々美)

2021年12月から2022年1月にかけて、humunusが上演した富岡町でのツアープロジェクト「うつほの襞/漂流の景」。地元で役場の職員として働く傍、伝承活動をしている秋元菜々美さんと共にクリエーションをおこなってきた。来年度から通年でツアーを実施する予定もある。

そんなhumunusの福島での日々の活動と創作、映像作品やツアープロジェクトの紹介を円盤に乗る場でFukushimaレポートとして行う。

humunus映像作品「Drifting on the Seawall」から。富岡町仏浜
humunus映像作品「Drifting on the Seawall」から。富岡町仏浜-防潮堤

富岡町は浜通り地域の中間に位置し、室町期以降は南の岩城氏、北の相馬氏の領地境界として、また異質勢力の接触地帯として度々戦場化してきた。
江戸期には幕領やいくつかの小藩の飛び地として分割統治され、その後戊辰戦争の戦場ともなっていく。
また近代以降のエネルギー基地として、茨城県日立市から続く常磐炭田の最北端が富岡町であり、以後高度経済成長期を経て、石炭に変わって原子力発電所がこの地域に持ち込まれた。
富岡町は福島第一原発と第二原発のちょうど中間に位置し、両原発から電力を供給し東京首都圏に送る新福島変電所が存在する。この変電所は完成当時、東洋一の大きさを誇る変電所と言われた。

震災から10年を経て、富岡町の住民はそのほとんどが帰還しておらず、解体に次ぐ解体、復興事業の遅れや無策によって、わずかな帰還者や移住者からの徒労感や絶望感の言葉が聞かれる。

歴史上、空白・空洞地帯と呼ばれて来た富岡町をはじめとする双葉郡地域は、それ故の原発誘致へと繋がった。そして原発事故によって、10km、20km圏内と同心円状に避難指示区域が広がり、さながらそのヴィジュアルはドーナツ状の輪を描いていた。文字通り、その後は誰も立ち入れない空洞地帯となり、その後あらゆるものが解体されて更地になっていった。こうした繰り返される空洞、荒れ地の反復の歴史を見つめつつ、うつろいゆく風景をどう捉えてゆけばよいか。
我々は2021年12月から2022年1月にかけて富岡町内を巡るツアープロジェクト「うつほの襞/漂流の景」を上演した。空洞=うつほの空間と、長い歴史の時間的レイヤー=襞と捉え、空洞の内側の襞を一枚一枚めくるように、この土地の姿を浮き彫りにしていく。そして、人の歴史だけでなく、原発事故後、場所や土壌、物質への感性や見えないものへの気配に意識が向けられてきたこの土地だからこそ、むしろそれらを読み替え、新たな町の肖像が描けないか。

地形や自然に起因する土地の形質と人工的風景の隣接点に立ち、空間を構成する諸要素に目を配る。風景を眺めながら、<町の肖像>が浮かび上がってくるような体験を目指したツアープロジェクト。震災と原発事故によって生まれた風景を、良いか悪いかの判断とは別に、どのようなイメージの空間として立ち現れたか、演劇を通して想像し、読んでいく。この町の肖像を描く試みを、風景の変遷、歴史、土地の形質や物質から映し出す。人と土地と物質の夢。

ツアー当日に参加者に配布したハンドブック
ハンドブック冒頭ページ

“re-ply”

土地と人と物質の夢 それぞれが映し合う夢
私が見た夢
移動し 変転し 交換し 融けいる
土の上に むき出しの梁に 枕木に 側溝に
穴の中に 隙間の草花に
"あれから"見えないものの気配は二重にあった
何が見えるのですか? 
身体が変わりましたか?
コレスポンダンス(万物照応)
私は岩から 泥土から やがてさらさらのシルトへ
粒子は海へと向かう 
海の上に集まって
積もって出来た孤島は環を描いて 転体 転態し 夜空の上に移動する
きこえたのですか 震動が 波が 響きが
長く続く大渠の先に
空洞の中に
私は応えた
この身の内側と同じように
折り畳まれた襞の網目を緩めながらひらく
その時間と空間


humunusツアーハンドブックから抜粋
「うつほの襞/漂流の景」にて。帰還困難区域内の"自宅"でパフォーマンスする秋元菜々美さん
写真:岩波友紀

このツアープロジェクトは、来年度も実施していく予定である。

今回のFukushimaレポートでは、ツアーにまつわる活動報告や今後の展望、また、約2年間福島県双葉郡地域に身を置き、その日々の中での創作についてや、目下撮影中の映像作品などを紹介しながら、報告会を行えればと考えている。


humunusについて

俳優のキヨスヨネスク、小山薫子による劇ユニット。2018年10月結成。

​声ー言葉ー身体の関係を考察しつつ、環境や空間、風景の中にとけ込み、それらを構成する物質やその肌理などの諸要素をうつしとる表現を試みている。声を通して身体内外の空間性の変化を観察しつつ、声の触知、指向性、身体に働きかける作用によって、複層的な空間を立ち上げる。また、場所への眼差し、都市や地方各地のリサーチを行い、その土地の歴史や風景、人々の営みから劇を創作する。​

​2020年10月より福島県富岡町に拠点「POTALA-亜窟」を開設し、現在は福島と東京を行き来しながら創作活動を行なっている。

​2021年4月より円盤に乗る派が主催する、複数のアーティストが演劇にまつわるさまざまな営みを発信するアトリエ「円盤に乗る場」に参加。

メール:humunus.official@gmail.com

Twitter:@humunus1

イベント詳細


登壇者
小山薫子 キヨスヨネスク(humunus)、秋元菜々美

日時
2022年3月26日(土)17時〜20時くらい(延長可能性あり)

参加方法
1. 
オンライン配信(zoom)に参加(無料)予約不要
Zoomオンライン参加される方は当日に下記zoomリンクからお入り下さい。
開場は16時30分

トピック: Zoom meeting invitation - humunusのZoomミーティング
時間: 2022年3月26日 04:00 PM 大阪、札幌、東京

Zoomミーティングに参加する
https://us05web.zoom.us/j/8429500327?pwd=VzdoQlNoWExGb1o2K0ZFa29GR2YwUT09

ミーティングID: 842 950 0327
パスコード: 901465

2.円盤に乗る場に来場(有料)予約フォームよりご予約ください。

*ご来場される方の予約フォームは、この記事を500円で単独購入、もしくはマガジンの定期購読の登録で表示されます。

会場
円盤に乗る場
JR山手線、京浜東北線「田端」駅徒歩20分
JR宇都宮線「尾久」駅徒歩10分
都電荒川線「小台」駅徒歩4分
都営バス「西尾久二丁目」バス停徒歩3分
※場所の詳細は記事購入、もしくは定期購読で表示されます。

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