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キヨスヨネスクさんの声レクチャー&WS(たちくらようこ)

 5月の晴れた午後、パフォーマーのキヨスヨネスクさんによる声に関するレクチャー&ワークショップが開催されました。

 今回の催しは、俳優のくせに、さらには乗る場声部部長のくせに声のことよくわかってないたちくらが、声に詳しいヨネスクさんに教えてもらお〜♪ていうひどく安易な動機で企画されました。

 ヨネスクさんは俳優としての活動のほか(あとモノマネがとても上手であるほか)、小山薫子さんと劇ユニットhumunusを結成し、福島県富岡町と2拠点で活動しています。昨年12月と今年1月に上演したツアー演劇「うつほの襞/漂流の景」名作です。

ヨネスク先生   背中から声を出すとは、の解説

 参加者は、乗る場声部員のほか、ヨネスクさんのお誘いでいらした批評家の植村朔也さん、振付家・ダンサーの敷地理さん(乗る場へようこそ!)。zoom参加も何名か。安易な動機のわりに賑わっているぞ!

声レクチャー

 まずは声や、声と体、風景との関りについてのレクチャーです。
 詳しい内容はいつか本人がちゃんと発表しそうなのでここには書きませんが。引用された資料は、音声論、演劇論や演出論、古語の由来、哲学、音楽家や画家や作家のことば、詩など幅広いのだけど、パフォーマーとしての実感に響くもの、を厳しく選んでいるような気がする。引用されたデンマークの演劇の稽古です⇩声で他者の体を動かしたり、手の動きを声にしたり。言語じゃない声の情報量よ。

 私が気になった話は、演出家の竹内敏晴さんのことばを引用して話していた、風景を喚起する声の質感というもの。しゃがれ声だというだけで荒波の海岸を連想するという。声だけで荒海に連れていけたらさいこうじゃん。

サウンドスケープのワークショップ

 レクチャーの次は、室内でちょっとしたワークショップ、サウンドスケープをします。

 5分間、聞こえた音を紙に記録していく、というシンプルなもの。音がどう聞こえたか(キキ―ッ)、何の音なのか(自転車のブレーキ)をどちらも書くのがポイントです。

 みんなが無言になると、ボールペンの音、衣擦れ、エアコン、室内からいろんな音がします。外からも、通る人の話し声、正体不明のゴトゴト。

 5分たって、聞こえた音を見せ合います。人によって聞こえた音や文字に仕方がちょっと違う。全員に聞こえていた蛍光灯の音は「ジー」「ビー」「ブーン」と派閥ができました。聞こえ方に大きな差異はないはずなのに。

みなさんの書いた聞こえたものメモ

 書き方にも、箇条書き派と、マッピング派(聞こえた方向が紙上の位置になんとなく対応している)がいて楽しい。

お散歩&川辺でワークショップ

 最後に、お外でワークショップをします。

快晴の小台交差点をすぎ
防災公園でピカピカの井戸を汲んだりしながら

隅田川の河川敷に来ました!

1 聞こえた音を声にするワーク

 お外でのワーク1つ目は、聞こえた音を声で再現するワーク。声にしたときの自分の体がどういう状態だったか、も覚えておくのが大事です。

 ここの河川敷はきちんと整備された遊歩道で、人通りもけっこうある、頭上の橋を通る車の音が大きい、波音もかすかに聞こえる、遠くに鳥の声もするかも、という感じの場所です。

 それぞれ音を聞いて声にする方法を探る時間のあと、発表タイム。

音探しちゅうの小山さんと田上さん

 植村さんと敷地さんは川の波の音です。ここの波音はかすかで小刻みで短くて、私も気にはなったのですが、あまりの難易度の高みに柴犬の足音に乗り換えたのでした......挑戦者いた!

 植村さんは、音をリアルに再現するのではなく文字表記可能な擬音語にしたそうで(その発想が批評家ぽいとひそかに思う)、「みょん」という擬音語が開発されました。「み」の勢い、「ょ」の伸ばし方などでアレンジ可能。肩を落とし脱力した感じで言うのがコツ、とのこと。

 みょんみょん言いながら川面を見つめていると、水面が「みょん」って言いながら盛り上がってすぐ引っ込んでっていう運動によって波ができているように見えてきます……

みょん みょん みょん みょん

 敷地さんは、舌打ちのように口を動かして波音を再現。口を湿っぽくして、口の中に川を作ったような。出てくる音は「くちゃくちゃ」みたいなのなんだけど、舌打ちしながら体感する川の存在がすごい。たちくらのおすすめポーズは波に浮いてる気持ちでゆったり頭を揺らす、です。体の外にも中にも水が満ちていてもはやリラクゼーション。

2 見えるもの・触ったものを声にするワーク

 さいごは、見えるもの・触ったものを声で表すワークです。音じゃないものを声にする・・・?

 1つ目のワークと同じように各自探したり試したりしたあと、発表します。

つたの葉っぱの声とか
橋の梁に反射する光の音

    などなどがおひろめされるなか、田上さんと小山さんは、橋の下のフェンスを声にしました。

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