醜形恐怖物語その1

 自分がどうして醜形恐怖になったか、幼少期から自分史を辿っていきたいと思う。共働きの両親の長男として生まれる。一つ下に妹がいる。よく、醜形恐怖は幼少期の母子関係の不具が原因だといわれるが、自分の場合はそんなことはなかったように記憶している。フルタイムで働く母親に会えない寂しさや妹に嫉妬する気持ちが全くなかったわけではないが、正常の範囲内。むしろ、両親は私に無条件で愛してくれていた方だと思う。父親から多少殴られたりはしたが、原因が自分の悪態にあることが多く、躾の範囲内だろう。

 小学3年生くらいからだろうか。自分の長い顔をコンプレックスに感じるようになったのは。見知らぬ下の学年の子に会うたびに、「きゅうり」と声を掛けられたり、塾で出会った初対面の人に、顔を手で掴まれ、「顔細長すぎるやろ」と馬鹿にされたり。その度に、私はどういう顔をしていいか分からなくなった。自分の顔が長いことが自分が1番知っている。自分だけでとどまっている事象を親しい友人や知人の前に顕在化されるのがたまらなく辛かった。 

 車の窓にうつる縦に圧縮された自分の顔になりたいと何度も思った。頭がなんか変だと、髪の毛を自分で買った結果、頭頂部だけ坊主のキテレツな髪型になったこともあった。とはいえ、小学生時代は、まだコンプレックスの範囲内であった。悩むことはあっても、一晩寝れば忘れるくらいの悩みだった。コンプレックスが病へと変わるのは、中学生になってからである。。。続く

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