冷たい熱帯魚ヘッダー

映画「冷たい熱帯魚」感想

昨日友達と二人でぶっ続け映画鑑賞会をやり、「冷たい熱帯魚」「GONIN」「PARKS」「CURE」などを観ました(PARKSのみが癒し系)。その中でも特に冷たい熱帯魚が面白かったので感想を書きます。


「冷たい熱帯魚」は園子温監督の18禁映画です。TSUTAYAではサスペンスの棚に並べてありました。もうずっとずっとずっと気になっていた映画なので観られてよかったです…!園監督の作品は「紀子の食卓」「愛のむきだし」「ヒミズ」など何作か観たことがあったのですが、今作もめちゃめちゃ「園監督だ〜〜…」という感じでした。とにかくエロでグロ、過激な映画だといたるところで聞いていたので身構えていたのですが、15禁の映画などと比べて物凄いグロいとは感じなかったので18禁の理由はエロのほうなんじゃないかなあ…と思います。思った以上にアツい映画で、親と観るのは絶対おすすめしませんが仲の良い友達と観るのはとても盛り上がりました。
以下はネタバレ有りの感想なので、もう映画を観た方とネタバレオッケーな方のみどうぞ…!











予想外に爽快な映画でした…!とても面白かったです。もっと陰鬱で重苦しくて鑑賞後は暗い気持ちになる映画だと予想していたのですが、観終わった後はスッキリ感がありました(その後に観たGONINのほうが体感的には重かった)。もちろん全然ハッピーエンドではないし、倫理的にもメチャクチャではあるんですが気持ちよくてアツい映画でした。今まで観た園子温監督作品のなかで一番好きです。

でんでん、怖いな〜。吹越満、怖いな〜。黒沢あすか、怖いな〜。役者凄いな怖いなです。

この映画を観て改めて思ったんですが、園監督って「なんだかよくわからないけどものすごく嫌な予感がするぞ」とか「なんだかよくわからないけど日常が異様な空気に侵食されてるぞ」感を演出するのが本当に得意ですよね…!あと人間と人間の間の目には見えない圧とか力関係の表現。
冷たい熱帯魚の序盤から中盤もすごかったです。家庭内の嫌な感じ、得体の知れない人間の嫌な感じ、いつのまにやら完全に向こうのペースに飲み込まれていて逆らおうにも逆らえない状況になっている…みたいな嫌な感じの畳み掛けで、気が滅入りそうでした。

洗脳の達人村田さん(でんでん)怖いです。あと村田の妻の愛子(黒沢あすか)も同じくらい怖いです。生命力と執念が強すぎてまるで妖怪のようでした。
園監督作品に登場する狂人たちって極端に誇張されているとは思うんですけど、現実世界にも確かにこういう人とかこういう感じはあるよなっていう妙なリアリティがあります。

「ボデーを透明にする」二人の手慣れてる感も良かったです。でも今まで何十人も殺しているし死体の処理もお手の物なのに、疑いをかけられた時の切り抜け方が結構行き当たりばったりなのは不思議。警察にも以前からマークされていたみたいだしよく今まで捕まらなかったな…!警察がとってもうっかりさんだからという理由で勝手に納得することにします(ラストのシーンでは、警察が到着しているにもかかわらず刃物を持った男を放置、目を離してる隙に二人も死んでる!!!)

吹越満さん演じる主人公の社本さんが「キレる」終盤はほんとうに盛り上がりました。抑圧して抑圧して抑圧して…からの解放!!!という感じで爽快です。ペン一本で反撃に出るシーンが良すぎて巻き戻して何回か観ました。
普通は凶器として使われないようなものが凶器として使用される映画が大好きすぎるのでこの時点で「冷たい熱帯魚最高!!!!!!!」と思いました。

吹越さんの、完全に何かが壊れてしまった人の演技が凄い…。ペンで二人を滅多刺しにして血まみれになって、そのあとパリっとした白いシャツに着替えたところも良かった… その後の社本さんの行動は普通の倫理観で考えたら到底肯定できるものではないのですが、格好いいと思わざるを得ませんでした。

一緒に激アツ展開に盛り上がれるので仲のいい友達と冷たい熱帯魚を鑑賞するの本当におすすめです。親とは観ないほうがいいです。DVD欲しいな…。

追記:
その後に観た黒沢清監督の「CURE」にもでんでんが出てきたのでビビり散らかすなどしました。でんでん似のおじさんなら現実世界にもよくいるし怖い。
あと「美しい本木雅弘」にピンとくる人はぜひGONINを観てください。本木雅弘は今も昔も常に美しいですがGONINの本木雅弘は特にヤバでした…。


ありがとうございました!おわりです。