ハーフカメラの昭和的思い出シーン
もう半月ほど前の話だが、いつもよく見ているカメラマニア某氏のYouTubeで、ペンタックスの「フィルムカメラプロジェクト」で発売予定のカメラの仕様が〈ハーフサイズフォーマットの35ミリ判コンパクトフィルムカメラ〉であることを知った。
ハーフなんだ!と、その時はビックリした。(目指しているのは、きっとレトロ感のあるフィルムカメラなんだろうな)とは思っていたけれど、いかにも「カメラ」らしい横構図のものしか想像していなかったから。
けれど、現代の人たちはスマホの縦構図に慣れているし、SNSにアップしたり、人とやりとりする写真画像も基本的には縦型だから、という説明箇所があったので、納得。
そうだった…。ガラケーの〈写メール〉時代を経て、画像はタテでも全然OKなのだと、皆の心に自然に刷り込まれている。それで、来たるべきフィルムカメラ新時代においても、ハーフサイズが〈ちょっと特殊な仕様〉ではなく〈当たり前〉として復活するというわけだ。もちろん、今のフィルムの高価さがもう一つの大きな要因となっているのは言うまでもないが。
そんな訳で、実家から、デジカメでも、一眼レフでもなく、古いハーフカメラ1台だけ持ち出してきた自分としては、何かのカンが当たったような気がして、とても嬉しい気分になった。
この冬は、仕事が忙しかったのと、多少暇だった時には悪天候にはばまれて、なかなか撮影に行けなかったので、話ついでに、Yashica 72-E の昔の作例をご紹介したいと思う。撮影者は父だ。
見よ、これが昭和だ!と言いたくなるぐらい、バリバリの昭和感がある。典型的なハーフカメラ構図。
細い四本足・手回し式チャンネルのテレビもさることながら、その上にラジオが置いてあることにも、すごく時代性を感じる。多分、まだテレビ番組が少なかったか、または受信状態があまり良くなかったかで、ラジオとの併用の方が安心だったのだろう。
また、子供(私)が着ているニットも、今ではまず見かけないデザインと風合いだ。ちなみにこれを編んだのは私の母。棒針編みも機械編みも出来た人だが、これは機械編みの方と思う。
この写真、スキャンする時に改めてよく眺めて見たが、現在言われるほどの〈フィルム写真特有の粒状感〉などは感じられなかった。写真が小ぶりだからか、それとも印画の技術によるものだろうか。
それから、こちらは横構図で撮られたもの。石油ストーブに向けてバンザイ!
上に乗っている鍋は、蒸発皿代わりかも知れないが、昔はこうやって煮炊きをしたとも聞いている。私が記憶しているのは、石炭ストーブの上にずうっと煮物の鍋が載っていて、ぐつぐつしている様子だ。おそらくこの部屋の別角度か、別室には、石炭ストーブもあったに違いない。
この、何となく白っぽい、コントラストの柔らかい感じが、昭和写真の味わいなのだろう。さて、令和年間・21世紀の新時代的ハーフカメラは、私たちにどんな写真を見せてくれるのだろうか。
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