冷蔵庫を買ってわかった、家電大手にみる組織論
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:大学組織論講義実況中継。家電大手での買い物で感じた、すぐれた組織論。
組織論とは何か
おととい、新宿にある某家電量販店に行ってきたんだ、そこですぐれた組織論を見たんだ。
組織論のポイントは以下だ。
この家電量販店は、これを満たしているんだ。
有機的な組織とは
組織っていうのはさ、結局、どれだけ”有機的”かっていうのがポイントなんだ。
有機的っていうのは、部分が合わさって全体を形成し、その部分と部分は密接に、緊密に結び合って、全体を構成しているさまを言う。
まずこの家電量販店は、3階から8階までの全店舗そして、全部門が密接に緊密に関係している。
例えば冷蔵庫のお客さんが、キッチン家電例えばポットを欲しいといえば、すぐ連絡がつく。
ふだんこの両部門は連携のトレーニングもしている、はずだ。
「これこれこういうお客さんが行きますよ」と冷蔵庫部門から連絡が来れば、キッチン家電部門の担当者は、どんな冷蔵庫を買ったら、どの家電を買うかのデータが入ったiPadのスイッチを入れる。
有機的の幅も広い。モノを作るメーカーとの連携はもちろんのこと、配達業者、冷蔵庫が家屋に入るかチェックする業者、など多岐にわたる。
人材も販売員の多くはメーカーから派遣されているし、様々な組織の人材が有機的に結ばれ、協働のパワーを実現している。
戦略と組織の関係
戦略とは何を重点項目にするか、ということだ。
例えばライバルつぶし、利益最優先、ブランドの確立、いろいろだ。
しかし、戦略を実行するためには、組織がしっかりしてないとならない。
組織が有機的でなければ、よい戦略は実行できない。
しかし、いくら組織がしっかりしていても、それを動かすのは人間だから、人的資源管理ができてない組織は、戦略を実行できないとも言える。
家電量販店共通の戦略とは
家電量販店だから、共通の戦略はあるよ。
それは、価格競争力だよね。
どこも「他店より安い」と見栄を切っている。
それは、規模の利益があるからだ。
要するにメーカーから大量に仕入れ、メーカーにリベート(売れたときの報酬)を与え、配達担当の業者にも大量の集荷を依頼する代わりに、価格を下げる、そういう上流から下流までの関連企業に対し支配力を持っている家電量販店こそが強い、ということだ。
これを僕は「タテの支配力」と呼んでいる。
家電量販店の戦略は、「タテの支配力」を最強にすることで、価格競争力でトップを取ることに他ならない。
でも、みんな大手は「他店より高ければ返品」とか言っている。これは、価格競争力では差がつかないことを物語っている。
では何で差をつけるのか。それは組織がいかに有機的であるか、そしていかに「人を育てる企業」であるか、である。
でも、もう差はついてるんだよ。
各社の差は、サービスの差であり、商品知識の差であり、接客力の差なのだ。
この部分は、いかに社員教育に力を入れているかで差がつくし、従業員のやる気の根源を改善する、人的資源管理がどのくらい優れているかにかかっているのだ。
家電量販店はここをチェックせよ
要するに人がすべてだ、ということだ。
それをチェックするのは簡単だ。
家電量販店に行ったら、店員を観察してみろ。
一人だけでいい。
その店員がぼやっとして立ってたら、その店はダメだ。
店員が動向じゃないんだよ、組織がダメってことなのさ。
いい店員は緊張感を漂わせている、しかし、フレンドリーで、声をかければ満面の笑顔でうやうやしく、真剣に対応してくれるだろう。
店舗を歩いていれば、いい店かどうかはわかる。
快適さを感じない量販店は、お客ファーストではないからだ。
有機的、戦略と組織のバランス、人的資源管理とりわけ従業員教育、この3つすべてで、この家電量販店は勝ってる、そう判断したんだ。
野呂一郎
清和大学教授
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