グローバルリーダー不在の「日経平均最高値」の危うさ。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:日経平均最高値の話をしているけれど、海外投資家の判断の根本にあるのは、日本という国の将来性とリーダーの国際性だ。中国を見よ、不動産という国家経済政策の要の運用に失敗すれば、投資家は見向きもせず、それが日本企業に向かった。つまり、日経平均最高値は漁夫の利に過ぎないのだ。要するに岸田さんがグローバルリーダーだったら、日本そのものの株は上がり、企業の株ももっと上がっていた、というお話。
グローバルな戦略なき日本
日経を読んでいると、この10年くらい企業改革が進み、ガバナンスがよくなった、企業の儲ける力が強くなったことが日経平均最高値の理由などと、日本企業を礼賛している様子がうかがえます。
日経としては、ここで日経平均最高値の話題をふって、これからは日本企業の時代だ、と書き立てれば新聞が売れるという魂胆なのでしょう。
しかし、経済に限りませんが、すべては戦略です。
もし日本が日経平均を5万円にするという国家目標が仮にあるとすれば、 まずは国家としてのプレゼンスを高めるべきです。
プレゼンスとは存在感のことですが、国のプレゼンスとはグローバル社会における貢献度の大きさのことです。
日本が世界により貢献するために、どうしたいのか、その戦略と具体的表明、これが国家としてのプレゼンスを高めるという意味です。
戦略も戦略の表明も、うちらのリーダーはやってないでしょ?
もし岸田さんが、この2つを丁々発止と、国連やG7でプレゼンしたら、その直後から、日本企業の株はバク上がりしますよ。
でもねぇ、日本のリーダーつまり歴代総理大臣は、そんなことを考えている人は一人もいませんよね。
それは国民が悪いんですよ。
よく「外交は票にならない」と言いますよね、国民からもグローバルリーダー待望論なんて出ません。
しかし、ウクライナ戦争に、ハマスvsイスラエル戦争は、目下の現実なんです。
日本も日本企業も、世界平和に貢献する、クリエイティブで具体的策と行動を見せていかないと、世界は評価しませんよ。
10年前の日経再録
日本という国にもグローバルリーダーが存在しないように、日本の企業にもグローバルリーダーなど存在しません。
いや、これは僕のいい加減なフィーリングじゃなくて、当の日経新聞が言ってるんですよ。
ちょっと古い記事なんですけれど、あるヨーロッパの企業家が「日本企業の弱点は多様性の欠如」と喝破しているのです。
多様性の欠如、とは要するに日本企業は国際性のかけらもない、グローバルな土俵で勝負する気さえない、と批判しているのです。
「グローバル・リーダー」などいないと、非難しているのです。
これは、今でも変わっていませんよ。
記事をまとめてみましょう。
日経平均最高値=グローバル、ではない
日経平均最高値で、日経が日本企業をもてはやし始めました。
これは危険ですって。
確かに外国人投資家は日本企業を評価し始めています。
でもそれって、円安で輸出企業がうるおい、中国企業が国家戦略の犠牲になって評価できなくなり、ウォーレン・バフェットさんが「日本株いいよ」と言ったのが、奏功しているだけですってば。
日本企業がグローバルリーダーの号令一下、世界の市場を支配し始めたから、なんかじゃないんですよ、間違っても。
でも、グローバルリーダーのいない国も、企業も、これからは評価されなくなるって。(越中詩郎の口ぶりで)
「沈まぬ太陽」恩地をヒーローにするな
新年早々このnoteでとりあげた、「沈まぬ太陽」の主人公・恩地をおぼえていますか?
東大出たけれど、アフリカに飛ばされ我が身の不幸を嘆き、本社の人事ばっかりに気にして望郷に胸を焦がす、あれが日本の社畜のエレジーなんですって。
グローバルマインドに溢れたあなたならば、アフリカでガンガン働き、その経験で得られたスキルで、会社に貢献するなり、外資系に売り込むなりして、これをステップアップのチャンスと考えますよね。
アフリカはいまやグローバルサウスの要、金のなる木であり、そこでつちかった人脈で、あなたは世界を変えるのです。
やっぱり、日本人の本社の意向ばっかり気にする社畜マインドを変えないと、多様性に富んだ日本企業なんて無理か。
野呂 一郎
清和大学教授
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