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”フィール・グッド”マーケティング入門

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:パッケージを面白くすることでマーケティングは爆発するかも。経験価値のあらたなバリエーション。フィール・グッドマーケティングとは何か。

経験価値の進化系とは

「経験価値」ということが言われて久しいです。

要するに、ものからコトへの流れですね。

モノという機能や便益だけでは、消費者をつかまえることはできない。経験価値マーケティングはそう主張します。

「モノより思い出」かつての日産のCMが、経験価値マーケティングとは何かを物語っています。

車で家族で行楽に出かける、その車の乗り心地、車窓から見た風景、そして家族との楽しい思い、この”経験”を創り出すのが日産セレナ、というわけです。

このCMはクルマという製品の機能性と、それが生み出す経験価値の両方をPRしているという意味で、秀逸な広告といえましょう。

さて、最近はスタートアップを中心に、この経験価値マーケティングは”パッケージ”を標的にし始めました。

シード・ヘルス社(Seed Health Inc.)はプロバイオティクス( Probiotic体に良いバクテリアを含む食品)の新しいパッケージを発表しました。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.trialandeater.com%2Fseed-probiotics%2F&psig=AOvVaw0wl2lCYmZHs3XlaJoCEOwD&ust=1664799880292000&source=images&cd=vfe&ved=0CA0QjhxqFwoTCMi296XFwfoCFQAAAAAdAAAAABAZ

これのどこが経験価値なんだ、というとですね、見るよろこび(いかにも環境フレンドリーな外見)、タッチするよろこび(自然そのものを触っているような心地)、満足感というよろこび(環境にいいことをしているという自己満足)という”経験”を買ったものに与えているんです。

その経験価値のクライマックスは、ボックスを開けた瞬間なんです。

外側のモスグリーンのパッケージはリサイクル可能ななダンボール、内側のパッケージはコンパスタブル(compostable堆肥にできる)なマッシュルームの繊維から作られています。

ブランディングは、かなり抑制的で、社名のSEEDがパッケージに小さく書かれているだけです。

ここなんですね、この新しい体験マーケティングのキモは。

製品がブランド名を声高に叫んだりしないんです。

ポイントはパッケージを開ける時の心地よさ(フィール・グッド感feel-good)なんです。

この健康食品は、消化機能などを整えてくれるのですが、基本的にはカプセルを何錠か飲むだけです。

でも、まずはパッケージを開けることが、健康になるために必要ですよね。

シード・ヘルス社のマーケティングは、このパッケージを開けさせる(unboxing箱から出すこと)にフォーカスしているんです。

箱を開けて製品を取り出し、どうそれを使うかは、ちょっとややこしいんです。

ですから、下のような製品のファンが箱の開け方を伝授するインスタやYouTube映像が出回っているんです。

またこのファンの投稿する映像を見るのも、購買者にとって一つの経験価値になるんです。

下のビデオをご覧ください。

これが、世界最新の経験価値マーケティングです。

「この経験価値って何さ、まだわからないよ」皆さん、そうおっしゃると思います。

それはこの会社のサステイナブル・ミッションを、ボックスを開けることでしか感じられないんです。

さっき説明したように、製品の中身も外見も環境フレンドリーで、サステイナブル、でしょう。

わけの分からないファンが、箱の開け方を説明してくれるのも、心地いいんです。

サステナブル大好きのおせっかいたちが、ファンについているというのは、同士感をかきたてるからです。

言ってみれば”今様浦島太郎”。

玉手箱を開ければ、あなたも環境フレンドリーファミリーの仲間入り、です。

パッケージを開けるだけで、そんなフィール・グッドな経験ができるんです。

これって案外フィール・グッドな経験というよりも、スピリチャルに違いやつかなあ。

とにかく、今回は経験価値マーケティングの最前線のキーワードは「フィール・グッドだよ」、そう言っておきましょう。

この話題、しばらく続けますよ。

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
 
                             野呂 一郎
               清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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