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グローバリゼーションがアダになった、アダム・スミス。

この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:コロナであぶり出された、グローバリゼーションという資本主義の醜い本性。アダム・スミスの自由市場論は正しかったが、グローバルになると正しくなかったという顛末を考える。アダム・スミスが紙幣から消えた本当の理由。トップ画はhttps://qr1.jp/rgdkw3

グローバリゼーションという悪魔

僕らは、コロナに感謝しなくてはならないんだ。

なぜならば、人類はコロナが来る前、誰一人としてグローバリゼーションに異を唱えるものはいなかったからだ。

でも、コロナで労働や資本やカネや情報が、世界中に偏在していることが、世界を混乱させていることがわかった。

これがグローバリゼーションの正体だ。

アダム・スミスの時代は、今のようなグローバリゼーションなんてなかった。

彼の「市場にまかせればうまくいく」という自由市場の考えって、国内市場を前提としてたんだ。

国内だけで労働が移動せず、資本もカネも情報も逃げずにいれば、経済は一国で自己完結し、健全な市場メカニズムつまり神の見えざる手も、元気よく動いたはずなんだ。

アダム・スミスが紙幣から消えたほんとの理由

昨日は言えなかったけどさ、キミだけに僕の本音を、いや拙い推理をお話するよ。

コロナの前にアダム・スミスが紙幣から消えちゃったのは、イギリス人がグローバリゼーションに恨みを持ってたからじゃないのかなあ。

イギリス紙幣から消えたアダム・スミス https://qr1.jp/xqq9qa

だってさ、EU各国から労働者が押し寄せてさ、イギリス人の仕事がなくなっちゃって、労働者の立場も弱くなって、経済も、治安もよくなくなってしまった。

だからEU離脱なんてことになった。

グローバリゼーションっていうのはさ、どこまで言ってもアダム・スミスの唱えた自由貿易を基礎としているんだよ。

自由貿易の国際版、グローバル版こそが、グローバリゼーションだ。

グローバリゼーションの悪

グローバリゼーションの本質は、何でもかんでも市場にまかせるってことだから、強いものが弱いものを支配することになる。

その代表が、資本家と労働者だ。

労働者は仕事がほしいという弱い立場だから、カネ持ちで仕事を分け与えることができる資本家に逆らえない。

グローバリゼーションは、資本主義だから効率で動く

資本家にとっての効率は、なるべく低賃金で人を雇うことだ。

そうすると、自国の労働者は賃金が高いからスルーして、低賃金の国に進出、現地の労働者を低賃金で雇う。

悪いことに、資本主義ってなあーんも道徳とか、モラルとか、倫理とかは入ってないんだヨ。

だから労働者のしあわせや利益などは、基本考えてない。

そう、今流行りの言葉で言うと、従業員のウエルビーイング(well-being幸福度)なんかは考えない。

例えば、ナイキ、さ。

バングラデシュのナイキの工場では、小児労働が大っぴらに行われてたんだぜ。これがグローバリゼーションの実態なんだって。

https://qr1.jp/ax0eg4

トランプが台頭した理由

グローバリゼーションで資本家たちが、効率と最大利益を求めて、海外で低賃金の労働者をこき使う

違法に移民や難民をつれてきて、国内に低賃金労働市場を作ってしまう

グローバリゼーションは、だんだんその資本主義の恐ろしい正体をあらわし始めた。

移民や難民が増えるのも、内戦で行くところがない人々を助ける美談だけではない。

資本主義のもとで経営者が、低賃金の労働を欲しているからだ。

アメリカを始め、先進国では移民が溢れて様々な国内問題が顕在化してきた。

そこに現れたのが、移民反対の旗印を掲げる、ポピュリスト(人気取り)で極端な右翼的思想を持った政治家たちだ。

アメリカのトランプ、ハンガリーのオーバン、フランスのルペンがその代表だよね。

仏大統領になりそうだったルペン氏。https://qr1.jp/dfn51g

彼らが民族の分断を煽っている、自分の利益のために。

資本主義はグローバリゼーションと名を変えて、その悪魔的な正体が見えてきた。

アダム・スミスの言うように、ただ市場にまかせて、人間の欲望を野放しにしておけば人類に幸せな未来は来ないよ。

いや、グローバリゼーションがなけりゃ、神の見えざる手で僕らは今ごろ幸せだったかもしれない。

でも誰かがグローバリゼーションって、ちょっとクールに聞こえる言葉を流行らせてからは、世界は一握りの金持ちしか幸せにはなってないよ。

低賃金の労働の移動は、中産階級ってのをなくしちゃった。

生まれついて貧乏な層は、努力してのし上って徐々に上に行くってことができなくなったんだ。

今世界には金持ちと貧乏しか、いない。

グローバリゼーションで、途上国が金持ちになったなんてないし、民主的になったなんてこともない。

あの国は別にしてね。

貧乏から抜け出せない独裁国を、助ける国々も現れて、悪の枢軸を作っているという指摘もある。

だからね、コロナの(戦争をプラスしてもいい)本当の教訓は、そろそろ資本主義に代わる、何かあたらしい世界をもっと幸せにする社会制度を作らなくてはならない、ということじゃあないのかなあ。

このあいだも授業で言ったんだけれど、平和とか幸せなど経済学で、経営学で考えなくていい、って時代じゃないんだって。

だから、今日の話は経営学でも「ど真ん中」の話なんだよ。

むしろ、そんな話を抜きにしては、現代の経済は語れないと言っていいし、学問的な方向もそっちだ。

キミたち高校生にその役目はゆだねられてる、よ。

グローバリゼーションの悪はまだまだあって、明日も言うかも。

野呂一郎
清和大学 教授

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