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今年はEV衰退元年になる、いや、なりつつある。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:EV(電気自動車)の勢いに陰りが出てきた。今年はEVにストップがかかり,ガソリン車、ハイブリッド車が形勢逆転の年になるという理由。新しい消費者論=洗練されすぎた消費者は、我慢を強いられることを極端に嫌う。そして政府の経済政策が効かない時代に入った。

きのうの新投資戦略は間違いだった

昨日はしたり顔で、これからの投資戦略は、3つの新しい方向をまず頭に入れろ、なんて言っちゃった。

1. Deglobalization (ディグローバリゼーション 脱グローバル化)
2. Digitalization (デジタライゼーション デジタル化)
3. Decarbonization (ディカーボナイゼーション 脱炭素化)

確かにさ、そういう方向に世界は向ってはいるよ。

学問的には正しいだろう、理屈は合ってる。

脱グローバル化は、コロナや戦争で世界のサプライチェーン、つまり中国やベトナムといった遠い地域から世界各国への物流が途絶え、ロシアからの原油や天然ガスが止まった結果、世界はにっちもさっちもいかなくなった。

グローバル化が悪いんだ、ということで各国政府はグローバル化の行き過ぎを懸念し始め、国内生産国内消費に舵を切った、これが脱グローバル化だよね。

コロナでデジタル化の遅れを痛感したのは、日本だ。保健所から厚生省への連絡はいまだにファックスだったと揶揄された。

ファックスが命を救うことも。https://qr1.jp/I85Yso

脱炭素化とは、地球温暖化を防止しないと世界は滅亡するということで、世界のCO2排出量を2030年までに50%、2050年までにゼロにするために、化石燃料をやめて、輸送と発電を電気でやろうということだよね。

そして、きのうは「これら3つの方向に政府がかかわっている、つまり政府が音頭をとって進めている」と言ったよね。

それはその通りだ。

でも、現実はどうか?

脱グローバル化なんていっても、米中の交易量は過去最大を更新し続けているし、一度WTO(世界貿易機構)が関税ゼロ運動に舵を切ってしまった、世界の相互依存関係は元に戻らないんだって。

デジタル化? 能登の地震、高齢者の被災者の皆様はメールなんてやったことがないよ、パソコンは使わないよ、電子機器でスクリーンに出てくる情報だけじゃ助かる命も助からない。

脱炭素化、これが一番問題なんだ、今日言いたいのは電気自動車は、特に米中政府が推進してるけれど、今年で終わるんじゃないかと僕は思ってるんだって。

EVの不人気が明らかに

実際にEVは売れてはいる、でもそのペースは鈍いんだって。

The Wall Street Journal電子版2024年1月11日号にはこんな記事が載ってるよ。

https://qr1.jp/zEFP6F

ハーツ(Hertz)っていう誰もが知っているレンタカーの会社は、世界で約5,100店、アメリカ国内で約1,900店を構える業界最大手なんだけれど、今はレンタカーサービスだけじゃなく、車も販売しているんだ。

世界中のEVをたくさん用意し、腕ぶしてお客を待ってたんだけれど売れないので、今年は何とか2万台売ってその収益で、ガソリン車を買って並べて販売するつもりなんだって。

米自動車メーカーも、同じ異変を感じていて、EVそれなりに売れてはいるけれど、そのペースは遅い。

理由はバッテリーをチャージするステーションが少ないこと、オペレーティング・コストつまり燃費が悪いこと、それに高価格が加わりますますお客を遠ざけている。

各社は早くも、EV売り上げ予測の下方修正を余儀なくされているんだ。

そういえば、以前こんな記事を書いていたことを思い出した。


政府のごり押しに消費者は動かない時代

きのう僕は3Dの時代だなどと言った。そして政府が主導しているから、これで株式市場も変わるなどと言った。

それはちょっと頭でっかちな見方だったんだ。

アメリカ政府が、中国政府が音頭を取って、地球温暖化防止の切り札はEVだ、などとやった。

しかしEV普及のための環境、インフラ整備がまだできてないのに、無理やりEVを推進したのがいけなかった。

消費者が逆襲を始めたんだ。

株式市場も、政府がどうこうじゃなくて、消費者を見なきゃいけなかったんだ。

うん、だから、きのうの新・投資戦略は訂正だ。

今年生き残る企業の条件

確かに3Dは影響を与えつつある、しかし、最後には消費者が、つまり市場が勝つだろう。

今年のあなたの投資戦略のキーワードは、「快感」だと思う。

どんどん洗練されてきた世界の消費者は、やはり「快」、つまりより心地よい製品、サービスでしか動かないってことなんだね。

脱グローバルだって、不快なものやことを強いられれば、消費者は反発するだけだ。

デジタル化だってそう。

おじいちゃんおばあちゃんに、無理やりスマホを持たせようったって、反発するだけなんだ。

脱炭素化だって同じだよね、ほら、電気自動車なんて乗ってはみたけれど、何かしっくりこない、そもそもバッテリーが充電できない。

今年の投資戦略は、小難しい投資理論にサヨナラして、「その企業の新製品、新サービスがいかに消費者に快感をもたらすか」ということに訂正します。

このところ、各国の経済政策がうまくいかないのは、新しい消費者をなめているからかもしれない。

野呂 一郎
清和大学教授





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