プロレス&マーケティング第58戦「ロッシー女子新団体の旗揚げは東京ドームでやれ」、という理由。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:マーケティングとは理屈だけれど、それは数字や統計とは限らない。コカコーラの「ダイエットコーク売出し戦略」に学ぶ、データに頼らないマーケティング戦略とは何か。それを女子プロレスに応用してみよう。
話題の女子新団体は発進するのか
ロッシー小川率いる新団体の旗揚げの噂で持ちきりのプロレス界。
僕はこの騒動は、「仕掛けた」んじゃないかと見ています。
仕掛けた、というのは、水面下で関係者が協議して、スキャンダラスな「絵」を描き、プロレスマスコミ、世間、ファンを巻き込み、大きな話題にすることを指します。
プロレスは特殊なジャンルで、プロレスの第一の正義は「話題を作ること」なんです。
ですから、プロモーターと呼ばれる人たちの手腕は、第一に「話題を作れるか」ということなのです。
全女(全日本女子プロレス)から始まってアルシオンを伝説の団体にし、スターダムをブレイクさせた、プロレス界きっての名プロモーター、ロッシー小川氏が、スターダムの実質的なオーナーである新日本プロレスから、「選手引き抜き」のかどで解雇を言い渡されたのは、まさにプロレス的には「大きな話題」になりました。
僕が「仕掛け」と言うと、熱心なプロレスファンなかんずく女子プロレスファンから、こんな反論が来るでしょう。
と、怒髪天を衝く怒りをぶちまけることは間違いないからです。
そんなひどいことは、ロッシーがするわけない、という理屈です。
プライドの高い彼女たち、やめないとも限りません。
実際、昨年暮れワールド・オブ・スターダム選手権をとった舞華は、「舞華の時代」になるはずが、ロッシーの話題でもちきりのこの状況に激怒しています。
しかし、マーケティング戦略から言ったら、ロッシーが女子選手のメンツよりも、新団体発進を「仕掛ける」ことを優先するのは正しいのです。
コカコーラのダイエットコーク戦略に学べ
1982年、コカコーラは満を持して、ダイエットコークの発売に踏み切りました。
従来のマーケティング戦略は、新製品を発売するときは、地域限定でテスト販売をするのがセオリーだったんです。
それは合理的ですよね、いくら本社が総力を上げて新製品を作ったって、市場が受け入れなかったら意味ないですもんね。
だから、まずは小さな市場で様子を見て、徐々に全国に売り出すというセオリーは理にかなっています。
しかし、コカコーラはこれまでの常識を破って、ニューヨークを始めとして、全米主要都市でいっせいにこの新製品ダイエットコークを発売したんです。
このおきて破りの理屈とは、「最初にでかいインパクトを与えることで、その製品の価値が決まる」という考え方でした。
ダイエットコークは、クラシックコークを凌駕する成功を収め、この理論が正しいことを証明してみせました。
ロッシー旗揚げ戦は東京ドームでやれ
このダイエットコークの理屈を、ロッシー新団体に応用してみましょう。
そうです、話題を作ったのは、いい助走です。
次は、またでっかいのをぶっ放すことです。
ダイエットコークが地方都市でテストマーケティングなんて、ちまちましたことをやらなかったのは正解でした。
これにならって、ロッシーも、新団体旗揚げ戦は東京ドームでやるべきです。
ただ、ひっぱって、ひっぱって、マスコミ、ファンを時にはじらし、期待をふくらませて、適切なプロモーション期間をおいて、東京ドーム開催にこぎつける必要があります。
あまり早すぎてもダメだし、遅すぎると他の話題に持ってかれてしまいますからね、そこらへんの塩梅はロッシーもよくわかっているでしょう。
女子新団体旗揚げ東京ドーム、実はこの絵は、水面下でロッシーと新日本プロレスが一緒になって描いていたシナリオなのかも、しれませんよ。
野呂 一郎
清和大学教授
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