通勤というストレスをとれば、業績は必ず上向く。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:通勤がいかにQOL(Quality of Life 生活の質)を下げているか、そして労働生産性も損ねているかコロナでわかったはずだ。しかし、その教訓はコロナ明けで通常体制に戻って忘れられている。通勤のあり方を見直すことが、企業のみならず国の経済をアゲるはずだ。
ロスアンゼルスの通勤地獄
きのう、カリフォルニア州が直面している危機についてお話しました。
やはり、コロナの影響が大きいと思うんですよね。
リモートワークの普及で、どこに住んでいても仕事ができるようになり、カリフォルニアの高い家賃の住居に住む必要もなくなりました。
きのうは触れませんでしたけれど、もともとカリフォルニア経済には問題点がありました。
それは通勤地獄です。
何度か申し上げましたが、ぼくは30数年前、ロスアンゼルス郊外に住んでおり、そこからダウンタウン(ロスアンゼルス中心街)にある、コンサルティング会社に通っていました。
結局、次期社長の約束で入社したはいいが、クビの浮き目に遭うという情けない会社生活に終わりましたが、僕を悩ませたことがありました。
それはクルマでの通勤です。
よく日本では”痛勤地獄”などと揶揄される、電車通勤のつらさがクローズアップされますが、クルマ通勤も、毎日渋滞に巻き込まれると、これは痛勤地獄以上につらいです。
朝はそうでもないのですが、夕刻はダウンタウンから郊外への道はラッシュで、身動きが取れないことがしょっちゅうでした。
結局会社はお払い箱になるのですが、毎日混雑に巻き込まれてクルマの中で歯ぎしりをしていると、「日本に帰ったほうがいいかな」と何度も考えたものです。
通勤というストレス
日本でも、車通勤のストレスはありますよね。
知り合いの新潟市の大企業に勤めていた社員は、渋滞に巻き込まれるストレスに音を上げて、郊外の小さな企業に転職しました。
自宅から15分のドライブで会社に着く毎日は、ストレスフリーで給料が減っても幸福度は増したとのことでした。
ストレスの時代です。
企業は政府からの強制で、ストレスチェックなどを従業員にやらせ、ストレスの度合いをチェックし、改善につとめるよう努力義務を課せられています。
しかし、マークシートの100の項目を埋めるだけでは、従業員のストレス状況なんてわかる訳ありませんよね。
従業員だって「ストレスを感じる」なんていうところに下手に◯をすれば、「メンタルが弱い」みたいな評価をされることを恐れて、正直に申告なんかしません。
通勤ストレスを弱める工夫を
人事は、ストレスチェックなんて形式よりも、通勤状況のチェックをしたほうがいいのではないでしょうか。
通勤こそ、ストレスの元凶だと考えるからです。
通勤時間の長さ、電車やバスの混み具合、などを聞き取り調査し、それによりストレス度合いを数値におきかえるのです。
数値が高い社員には、リモートワークを増やすとか、長時間通勤手当を出すとか、週イチでビジホの使用を会社持ちで認めるとか、やったらどうでしょう。
生産性が上がること、間違いなしだと思います。
コストに見合う、いやそれを遥かに上回るメリットが生まれるはずです。
それほど、通勤というストレスは無視できないのです。
野呂 一郎
清和大学教授
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